令和2年5月 月例インターネット句会 Vol.99

木暮陶句郎 選

◎特選 9句

スヌーピーいつも横向き若葉風(星野 裕子)

花菖蒲咲いて血筋をほこりけり(里村 閑)

初対面打ち解けぬまま夏薊(岩佐 晴子)

半夏生戦う相手見えずとも(鬼形 瑞枝)

草笛や手のぬくもりは姉のもの(堤 かがり)

若楓重なり風を呼びにけり(杉山 加織)

焼失の跡地の広さ夏の霧(鬼形 瑞枝)

高尾山狙ひのショット緑さす(森田 遊馬)

水分を含む宝石新樹光(星野 裕子)


〇入選 24句

黄昏や仄かに浮かぶ白躑躅(小暮 肇)

如雨露より水柔らかに罌粟の花(清水 檀)

桜まじ友のひとこと身に重ね(鬼形 瑞枝)

内にある熱満たされず紅い薔薇(堤 かがり)

初夏の水辺かがやく鳥の声(須藤恵美子)

シトラスのアロマ焚きしめ夏始(杉山 加織)

チューリップシャッター音の響きけり(小暮 肇)

マネキンの風のスカーフ夏立ちぬ(稲葉 京閑)

蛙鳴く富士も都も遠かりき(岩佐 晴子)

オレンジの光ふくらむ初夏の月(須藤恵美子)

蚕豆の莢押し拡ぐ細き指(杉山 加織)

青葦の風音となり雨意となり(稲葉 京閑)

ぬきえりや電車の窓の新樹光(里村 閑)

鉄塔の行くごと麦の畑戦ぐ(山本 彩)

ネモヒラの斜面の青き風の波(阿部ひで希)

少女吹く蒲公英の絮里の暮(小暮 肇)

葦切の声滾らせる河原風(稲葉 京閑)

紫蘭群れ風悠久の刻止む(清水 檀)

一輪車軽くこなす子春日影(阿部ひで希)

花器の青水に透けゐて夏始(杉山 加織)

いつまでも泣いていないで麦の秋(鬼形 瑞枝)

猫達と川の字になる木の芽風(山本 彩)

庭先の地面白々夏の月(阿部ひで希)

新緑の径に希望の生まれゆく(杉山 加織)


互選

7票

鯉幟たためば深き息もらす(星野 裕子)


5票

スヌーピーいつも横向き若葉風 (星野 裕子)

白が白翳らす月の月見草(木暮陶句郎)

蚕豆の莢押し拡ぐ細き指(杉山 加織)


3票

マネキンの風のスカーフ夏立ちぬ(稲葉 京閑)

若葉風洗濯物とダンスして(松本由美子)

麦笛の風にしたがひたる調べ(堤 かがり)

律儀さの一直線に茄子植うる(須藤恵美子)

臙脂濃き口紅ひいて晶子の忌 (ななさと紅緒)

ネモフィラのどこからが空風五月 (ななさと紅緒)

シトラスのアロマ焚きしめ夏始(杉山 加織)


2票

少女吹く蒲公英の絮里の暮(小暮 肇)

青葦の風音となり雨意となり(稲葉 京閑)

葦切の声滾らせる河原風(稲葉 京閑)

如雨露より水柔らかに罌粟の花(清水 檀)

五月来ぬホ一ルに響く五重奏(松本由美子)

水分を含む宝石新樹光(星野 裕子)

古絹に吹き込む命若葉雨(ななさと紅緒)

黄金週間ポストに落とす義理一つ (ななさと紅緒)

ネモヒラの斜面の青き風の波(阿部ひで希)

一輪車軽くこなす子春日影(阿部ひで希)


1票

風の乗る紙飛行機や夏の空(竹俣 修)

軽やかに道行くひとの夏めきぬ (森田 遊馬)

母の日やオムツ着替えよ九十路(安部じゅん)

初対面打ち解けぬまま夏薊(岩佐 晴子)

これも蛾や美しすぎる大水青(岩佐 晴子)

疫病の終息祈る夏の月(岩佐 晴子)

焼失の跡地の広さ夏の霧(鬼形 瑞枝)

いつまでも泣いていないで麦の秋 (鬼形 瑞枝)

内にある熱満たされず紅い薔薇 (堤 かがり)

花茨濃き朝影の清きかな(堤 かがり)

草笛や手のぬくもりは姉のもの(堤 かがり)

オレンジの光ふくらむ初夏の月 (須藤恵美子)

マスク取りたんぽぽの絮吹いてみる(須藤恵美子)

青梅や京の泊りの朝湿り (里村 閑)

ぬきえりや電車の窓の新樹光(里村 閑)

麦秋や自転車の君颯と抜く(里村 閑)

夜更けまで忘れたきこと羅に(鈴木由里子)

告白を決めかねてゐる祭あと(鈴木由里子)

水際をしかめ面して苗運 (鈴木由里子)

猫達と川の字になる木の芽風(山本 彩)

足元の蜥蜴に少女飛び跳ねて(阿部ひで希)

夏燕しなふ翼を楽しめる(木暮陶句郎)

薫風の彼方にひかる山上湖(木暮陶句郎)

地球てふ果実ざわめきゐる立夏(木暮陶句郎)

若楓重なり風を呼びにけり(杉山 加織)

新緑の径に希望の生まれゆく(杉山 加織)


互選結果

◎山本彩 選

(18) 白が白翳らす月の月見草

(47) 初対面打ち解けぬまま夏薊

(66) これも蛾や美しすぎる大水青

(84) 水分を含む宝石新樹光

(87) 麦笛の風にしたがひたる調べ


◎須藤恵美子 選

(8) スヌーピーいつも横向き若葉風

(38) 蚕豆の莢押し拡ぐ細き指

(51) ぬきえりや電車の窓の新樹光

(53) ネモフィラのどこからが空風五月

(61) 葦切の声滾らせる河原風


◎小暮肇 選

(14) 夜更けまで忘れたきこと羅に

(15) 古絹に吹き込む命若葉雨

(30) 花茨濃き朝影の清きかな

(44) 若葉風洗濯物とダンスして

(49) 草笛や手のぬくもりは姉のもの


◎稲葉京閑 選

(5) 如雨露より水柔らかに罌粟の花

(8) スヌーピーいつも横向き若葉風

(13) 青梅や京の泊りの朝湿り

(34) 臙脂濃き口紅ひいて晶子の忌

(88) 律儀さの一直線に茄子植うる

 

◎ 星野裕子 選

(5) 如雨露より水柔らかに罌粟の花

(34) 臙脂濃き口紅ひいて晶子の忌

(53) ネモフィラのどこからが空風五月

(72) 黄金週間ポストに落とす義理一つ

(87) 麦笛の風にしたがひたる調べ


◎堤かがり 選

(27) 牡丹切る純白といふ緋の時間

(42) 青葦の風音となり雨意となり

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(53) ネモフィラのどこからが空風五月

(72) 黄金週間ポストに落とす義理一つ


◎清水檀 選

(18) 白が白翳らす月の月見草

(23) マネキンの風のスカーフ夏立ちぬ

(38) 蚕豆の莢押し拡ぐ細き指

(87) 麦笛の風にしたがひたる調べ

(95) 新緑の径に希望の生まれゆく


◎竹俣修 選

(34) 臙脂濃き口紅ひいて晶子の忌

(38) 蚕豆の莢押し拡ぐ細き指

(44) 若葉風洗濯物とダンスして

(60) 少女吹く蒲公英の絮里の暮

(82) 五月来ぬホ一ルに響く五重奏


◎ななさと紅緒 選

(18) 白が白翳らす月の月見草

(23) マネキンの風のスカーフ夏立ちぬ

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(88) 律儀さの一直線に茄子植うる

(94) 地球てふ果実ざわめきゐる立夏


◎岩佐晴子 選

(17) 足元の蜥蜴に少女飛び跳ねて

(19) シトラスのアロマ焚きしめ夏始

(33) 告白を決めかねてゐる祭あと

(38) 蚕豆の莢押し拡ぐ細き指

(55) ネモヒラの斜面の青き風の波


◎松本由美子 選

(15) 古絹に吹き込む命若葉雨

(19) シトラスのアロマ焚きしめ夏始

(57) 若楓重なり風を呼びにけり

(74) 一輪車軽くこなす子春日影

(88) 律儀さの一直線に茄子植うる


◎森田遊馬 選

(18) 白が白翳らす月の月見草

(42) 青葦の風音となり雨意となり

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(67) 焼失の跡地の広さ夏の霧

(85) 疫病の終息祈る夏の月


◎鬼形瑞枝 選

(8) スヌーピーいつも横向き若葉風

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(69) マスク取りたんぽぽの絮吹いてみる

(70) 麦秋や自転車の君颯と抜く

(77) 風の乗る紙飛行機や夏の空


◎鈴木由里子 選

(11) 内にある熱満たされず紅い薔薇

(19) シトラスのアロマ焚きしめ夏始

(55) ネモヒラの斜面の青き風の波

(74) 一輪車軽くこなす子春日影

(92) 猫達と川の字になる木の芽風


◎里村閑 選

(23) マネキンの風のスカーフ夏立ちぬ

(56) 薫風の彼方にひかる山上湖

(61) 葦切の声滾らせる河原風

(82) 五月来ぬホ一ルに響く五重奏

(86) いつまでも泣いていないで麦の秋


◎安部じゅん 選

(8) スヌーピーいつも横向き若葉風

(31) オレンジの光ふくらむ初夏の月

(38) 蚕豆の莢押し拡ぐ細き指

(44) 若葉風洗濯物とダンスして

(46) 鯉幟たためば深き息もらす


◎阿部ひで希 選

(21) 軽やかに道行くひとの夏めきぬ

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(60) 少女吹く蒲公英の絮里の暮

(71) 水際をしかめ面して苗運

(83) 母の日やオムツ着替えよ九十路


◎杉山加織 選

(8) スヌーピーいつも横向き若葉風

(18) 白が白翳らす月の月見草

(37) 夏燕しなふ翼を楽しめる

(46) 鯉幟たためば深き息もらす

(84) 水分を含む宝石新樹光

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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