令和元年9月 月例インターネット句会 Vol.91結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

封筒に宛名の窓や秋つばめ(星野 裕子)

鰯雲神の描きし精密画(岩佐 晴子)

欠けたるは愛すべきもの松虫草(杉山 加織)

黒猫の小首かしげて秋の草(松本由美子)

抽出の過去を取り出したる雨月(杉山 加織)

人生に影置くばかり秋日傘(鈴木由里子)

らふそくを消せば恋の香月鈴子(里村 閑)

駆け回り手のコスモスの疲れきる(堤 かがり)

秋蝶の羽の一部を減らすまで(阿部ひで希)

母恋し伝えたきこと天の川(椎名 桂秀)


〇入選 29句 

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声(稲葉 京閑)

走り根の長きは光り居待月(鈴木由里子)

水平に山下りて行く蜻蛉かな(南雲 和夫)

アトリエに残りしカウチ月の影(里村 閑)

じやがいものやうな膝よせ地蔵盆(ななさと紅緒)

狐雨まだ台風は海の上(中野 千秋)

刻の影どこにも無くて秋澄みぬ(杉山 加織)

夕暮れの稲田の中の阿弥陀堂(竹俣 修)

どの畑も傾斜を持ちて蕎麦の花(稲葉 京閑)

貝殻に真珠一つぶ天の川(星野 裕子)

ちちろ鳴く湿れる土を思ひたる(南雲 和夫)

秋の声十四歳の白装束(鬼形 瑞枝)

またたいて星はちちろと交信す(里村 閑)

赤とんぼ刃先のような葉に止まる(椎名 桂秀)

月を待つ独りで生きて生かされて(星野 裕子)

一碧の湖へひとひら秋の雲(須藤恵美子)

台風のきてゐる夜のカレーかな(ななさと紅緒)

露けしやサンダル履きの足の甲(堤 かがり)

ペアルック彼氏彼女の案山子かな(松本由美子)

秋の蚊にまとはり付かれ大手門(阿部ひで希)

ワンオクターブあがる挨拶秋の朝(鬼形 瑞枝)

爽やかに湖上オペラの幕が開く(須藤恵美子)

鰯雲古き映画のワンシ一ン(松本由美子)

薄皮の破れの青さだだちゃ豆(南雲 和夫)

パドックに嘶き満ちて天高し(森田 遊馬)

曇天の黒竹にある愁思かな(岩佐 晴子)

鬼やんまがき大将のゐなくなり(里村 閑)

けがれなき日を咲き継ぎて白芙蓉(ななさと紅緒)

颱風の去りし夕映えどこまでも(堤 かがり)


互選

4票

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声(稲葉 京閑)

鰯雲神の描きし精密画(岩佐 晴子)

鬼やんまがき大将のゐなくなり(里村 閑)

秋草やまだ日の残る川向う(中野 千秋)


3票

画仙紙に滲む絵筆や秋の色(清水 檀)

貝殻に真珠一つぶ天の川(星野 裕子)

秋の声十四歳の白装束(鬼形 瑞枝)

バス停をくだつて生家虫しぐれ(堤 かがり)

天空の風の十字架赤とんぼ(木暮陶句郎)

刻の影どこにも無くて秋澄みぬ (杉山 加織)


2票

どの畑も傾斜を持ちて蕎麦の花(稲葉 京閑)

人生に影置くばかり秋日傘(鈴木由里子)

あの雲に乗つてみたいときりぎりす (星野 裕子)

虫時雨里は大きな耳となる(星野 裕子)

またたいて星はちちろと交信す(里村 閑)

らふそくを消せば恋の香月鈴子(里村 閑)

露草の露のひとみやちひろの絵(須藤恵美子)

台風のきてゐる夜のカレーかな (ななさと紅緒)

夕日より生まれてきたる赤とんぼ(椎名 桂秀)

この先は立入禁止鶏頭花 (堤 かがり)

草の花暗渠の出口見つけたり(中野 千秋)

倒木の木の香水の香野分あと(木暮陶句郎)

遠山の紺塗り替へて雁渡し(木暮陶句郎)

窓閉めて無月の酒を注ぎ足せる(木暮陶句郎)

裏側も横側もなく月満ちる(杉山 加織)


1票

夕暮れの稲田の中の阿弥陀堂 (竹俣 修)

日焼けせず退屈な日々重ねけり(稲葉 京閑)

一雨過ぎ何事も無き秋の空(清水 檀)

面影に馳せし想い出実むらさき(清水 檀)

黒猫の小首かしげて秋の草(松本由美子)

鰯雲古き映画のワンシ一ン(松本由美子)

秋蝶の羽の一部を減らすまで( 阿部ひで希)

走り根の長きは光り居待月(鈴木由里子)

封筒に宛名の窓や秋つばめ(星野 裕子)

月を待つ独りで生きて生かされて(星野 裕子)

水平に山下りて行く蜻蛉かな(南雲 和夫)

運動会行進曲は風の中(髙橋千登世)

パドックに嘶き満ちて天高し(森田 遊馬)

アトリエに残りしカウチ月の影 (里村 閑)

小鳥来る信濃路ちひろ美術館(須藤恵美子)

一碧の湖へひとひら秋の雲(須藤恵美子)

爽やかに湖上オペラの幕が開く(須藤恵美子)

山姥のそっと摘みゆく月夜茸 (須藤恵美子)

じやがいものやうな膝よせ地蔵盆(ななさと紅緒)

返せぬまま秋の扇となりにけり(ななさと紅緒)

けがれなき日を咲き継ぎて白芙蓉(ななさと紅緒)

けがれなき日を咲き継ぎて白芙蓉(椎名 桂秀)

駆け回り手のコスモスの疲れきる(堤 かがり)

狐雨まだ台風は海の上(中野 千秋)

月今宵心の底にある鏡(木暮陶句郎)

抽出の過去を取り出したる雨月(杉山 加織)


互選結果

◎須藤恵美子 選

バス停をくだつて生家虫しぐれ

貝殻に真珠一つぶ天の川

窓閉めて無月の酒を注ぎ足せる

パドックに嘶き満ちて天高し

鬼やんまがき大将のゐなくなり


◎松本由美子 選

走り根の長きは光り居待月

夕暮れの稲田の中の阿弥陀堂

露草の露のひとみやちひろの絵

月を待つ独りで生きて生かされて

母恋し伝えたきこと天の川


◎森田遊馬 選

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声

倒木の木の香水の香野分あと

台風のきてゐる夜のカレーかな

日焼けせず退屈な日々重ねけり

鬼やんまがき大将のゐなくなり


◎竹俣修 選

アトリエに残りしカウチ月の影

秋の声十四歳の白装束

遠山の紺塗り替へて雁渡し

画仙紙に滲む絵筆や秋の色

山姥のそっと摘みゆく月夜茸


◎星野裕子 選

鰯雲神の描きし精密画

またたいて星はちちろと交信す

画仙紙に滲む絵筆や秋の色

月今宵心の底にある鏡

天空の風の十字架赤とんぼ


◎堤かがり 選

一碧の湖へひとひら秋の雲

画仙紙に滲む絵筆や秋の色

人生に影置くばかり秋日傘

爽やかに湖上オペラの幕が開く

けがれなき日を咲き継ぎて白芙蓉


◎椎名桂秀 選

鰯雲神の描きし精密画

刻の影どこにも無くて秋澄みぬ

またたいて星はちちろと交信す

秋蝶の羽の一部を減らすまで

裏側も横側もなく月満ちる


◎南雲和夫 選

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声

倒木の木の香水の香野分あと

どの畑も傾斜を持ちて蕎麦の花

秋草やまだ日の残る川向う

草の花暗渠の出口見つけたり


◎稲葉京閑 選

水平に山下りて行く蜻蛉かな

じやがいものやうな膝よせ地蔵盆

狐雨まだ台風は海の上

台風のきてゐる夜のカレーかな

天空の風の十字架赤とんぼ


◎阿部ひで希 選

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声

刻の影どこにも無くて秋澄みぬ

遠山の紺塗り替へて雁渡し

あの雲に乗つてみたいときりぎりす

草の花暗渠の出口見つけたり


◎鬼形瑞枝 選

バス停をくだつて生家虫しぐれ

貝殻に真珠一つぶ天の川

黒猫の小首かしげて秋の草

駆け回り手のコスモスの疲れきる

鬼やんまがき大将のゐなくなり


◎清水檀 選

鰯雲神の描きし精密画

露草の露のひとみやちひろの絵

この先は立入禁止鶏頭花

人生に影置くばかり秋日傘

鬼やんまがき大将のゐなくなり


◎ななさと紅緒 選

小鳥来る信濃路ちひろ美術館

この先は立入禁止鶏頭花

夕日より生まれてきたる赤とんぼ

秋草やまだ日の残る川向う

裏側も横側もなく月満ちる


◎里村閑 選

貝殻に真珠一つぶ天の川

夕日より生まれてきたる赤とんぼ

秋草やまだ日の残る川向う

あの雲に乗つてみたいときりぎりす

鰯雲古き映画のワンシ一ン


◎鈴木由里子 選

秋の声十四歳の白装束

秋草やまだ日の残る川向う

らふそくを消せば恋の香月鈴子

運動会行進曲は風の中

天空の風の十字架赤とんぼ


◎髙橋千登世 選

眠られぬ一夜途切れぬ虫の声

鰯雲神の描きし精密画

刻の影どこにも無くて秋澄みぬ

面影に馳せし想い出実むらさき

窓閉めて無月の酒を注ぎ足せる


◎中野千秋 選

一雨過ぎ何事も無き秋の空

バス停をくだつて生家虫しぐれ

どの畑も傾斜を持ちて蕎麦の花

抽出の過去を取り出したる雨月

虫時雨里は大きな耳となる


◎杉山加織 選

封筒に宛名の窓や秋つばめ

秋の声十四歳の白装束

らふそくを消せば恋の香月鈴子

返せぬまま秋の扇となりにけり

虫時雨里は大きな耳となる

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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