令和元年7月 月例インターネット句会 Vol.89結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

太陽へ翼のやうに日傘さす(星野 裕子)

空色の溶けだしてゆくサングラス(鈴木由里子)

百合香る庭に鳥居のある住まい(森田 遊馬)

スパイラル負から正へと文字摺草(岩佐 晴子)

水底に影の重なるあめんぼう(南雲 和夫)

神輿去り葉風の街にもどりけり(里村 閑)

麦星やオートミールは父の味(鈴木由里子)

夏風邪や薄荷の強き舌下錠(稲葉 京閑)


〇入選 35句 

伊香保社の子安地蔵の夏薊(竹俣 修)

山梔子の白き香りに雨の影(清水 檀)

水切りの石よく跳ねて梅雨晴間(須藤恵美子)

夏料理庭のバジルでドレッシング(岩佐 晴子)

夏風邪や河童に足を引つぱられ(ななさと紅緒)

鈍色の風に乱れて梅雨の蝶(杉山 加織)

上州へ近づくほどに雷激し(阿部ひで希)

利根川の鮎簗脇の地蔵かな(竹俣 修)

夏燕造り酒屋の長き土間(清水 檀)

着こなしの女将とわかる単帯(星野 裕子)

風炉点前紫陽花色の平茶碗(稲葉 京閑)

合歓の花母の優しさ揺れてゐる(岩佐 晴子)

ハイヒールの形の足や夜の秋(里村 閑)

あらはなる娘盛りの夏蒲団(堤 かがり)

かたづけから始まる一日南吹く(鬼形 瑞枝)

夜は星の囁き抱き蓮眠る(杉山 加織)

心太甘酸つぱさは伊豆の海(髙橋千登世)

眼裏に消えぬ深紅の立葵(清水 檀)

朝涼し我が家の犬は聞き上手(松本由美子)

びよおんと修正テープ昼寝覚(岩佐 晴子)

吟行の梅雨傘散つて行きにけり(南雲 和夫)

初蟬や作陶展の案内くる(里村 閑)

駅裏にモスクと神社木槿咲く(中野 千秋)

錆色の伊香保湯の川青楓(竹俣 修)

もののけの居さうな気配梅雨の森(須藤恵美子)

動かざる背のジッパー百合重し(ななさと紅緒)

バカンスの話弾ませ大南風(杉山 加織)

紫蘇を揉む姉の額に皺のよる(髙橋千登世)

鬼怒川の供養地蔵や木下闇(竹俣 修)

生漆の機嫌良さそう梅雨の底(星野 裕子)

梅雨明けの近しハーレーダビッドソン(里村 閑)

ソーダ水いまも昔も聞き役で(ななさと紅緒)

梅雨深し喘き声たてプリンター(中野 千秋)

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ(杉山 加織)


互選

6票

夏燕造り酒屋の長き土間(清水 檀)

太陽へ翼のやうに日傘さす(星野 裕子)

空色の溶けだしてゆくサングラス(鈴木由里子)


5票

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し(木暮陶句郎)

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ(杉山 加織)


4票

もののけの居さうな気配梅雨の森(須藤恵美子)

吟行の梅雨傘散つて行きにけり(南雲 和夫)

水底に影の重なるあめんぼう(南雲 和夫)


3票

百合香る庭に鳥居のある住まい(森田 遊馬)

倒木も根つこも岩も苔の森(鬼形 瑞枝)

アクセルを踏んで坂道雲の峰(中野 千秋)


2票

ごきぶりを仕留める母や鬼の顔(松本由美子)

朝涼し我が家の犬は聞き上手(松本由美子)

息継ぎもせず滝音の轟けり(星野 裕子)

宝くじ先ずは試しにアイスバー(森田 遊馬)

夜涼やかけ湯の月を掬いけり(森田 遊馬)

海の日や波に崩るる砂の城(須藤恵美子)

初蟬や作陶展の案内くる(里村 閑)

上履きに置くラブレター合歓の花(鈴木由里子)

夜濯の一日の労を流しけり(ななさと紅緒)

雲の峰自由を怖れ憧れて(中野 千秋)

海の日の海沈黙の鉛いろ(木暮陶句郎)

五月雨や無尽蔵なるものに水(木暮陶句郎)

白南風や翻りたる蚊帳ふきん(杉山 加織)


1票

上州へ近づくほどに雷激し(阿部ひで希)

伊香保社の子安地蔵の夏薊(竹俣 修)

眼裏に消えぬ深紅の立葵(清水 檀)

白百合や隣家の庭のコンサート(松本由美子)

遠雷や歌に踊りにアコ一ディオン(松本由美子)

着こなしの女将とわかる単帯(星野 裕子)

咲き続くことに飽きあき百日紅(星野 裕子)

夏風邪や薄荷の強き舌下錠(稲葉 京閑)

水切りの石よく跳ねて梅雨晴間(須藤恵美子)

合歓の花母の優しさ揺れてゐる(岩佐 晴子)

スパイラル負から正へと文字摺草(岩佐 晴子)

ハイヒールの形の足や夜の秋(里村 閑)

梅雨明けの近しハーレーダビッドソン(里村 閑)

麦星やオートミールは父の味(鈴木由里子)

かたづけから始まる一日南吹く(鬼形 瑞枝)

片頰の畳目かゆし昼寝覚(ななさと紅緒)

ソーダ水いまも昔も聞き役で(ななさと紅緒)

夏の蝶姉さん被りのほつれ髪(安部じゅん)

梅雨深し喘き声たてプリンター(中野 千秋)

鈍色の風に乱れて梅雨の蝶(杉山 加織)

夜は星の囁き抱き蓮眠る(杉山 加織)


互選結果

◎岩佐晴子 選

空色の溶けだしてゆくサングラス

倒木も根っこも岩も苔の森

雲の峰自由を怖れ憧れて

海の日の海沈黙の鉛いろ

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ


◎須藤恵美子 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

空色の溶けだしてゆくサングラス

夏燕造り酒屋の長き土間

吟行の梅雨傘散つて行きにけり

麦星やオートミールは父の味


◎星野裕子 選

空色の溶けだしてゆくサングラス

鈍色の風に乱れて梅雨の蝶

夏燕造り酒屋の長き土間

スパイラル負から正へと文字摺草

五月雨や無尽蔵なるものに水


◎稲葉京閑 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

空色の溶けだしてゆくサングラス

かたづけから始まる一日南吹く

息継ぎもせず滝音の轟けり

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し


◎松本由美子 選

水切りの石よく跳ねて梅雨晴間

夏の蝶姉さん被りのほつれ髪

百合香る庭に鳥居のある住まい

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ


◎堤かがり 選

海の日や波に崩るる砂の城

アクセルを踏んで坂道雲の峰

吟行の梅雨傘散つて行きにけり

もののけの居さうな気配梅雨の森

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し


◎髙橋千登世 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

夏燕造り酒屋の長き土間

アクセルを踏んで坂道雲の峰

眼裏に消えぬ深紅の立葵

息継ぎもせず滝音の轟けり


◎阿部ひで希 選

ごきぶりを仕留める母や鬼の顔

倒木も根っこも岩も苔の森

夜は星の囁き抱き蓮眠る

吟行の梅雨傘散つて行きにけり

梅雨深し喘き声たてプリンター


◎清水檀 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

海の日や波に崩るる砂の城

初蟬や作陶展の案内くる

もののけの居さうな気配梅雨の森

ソーダ水いまも昔も聞き役で


◎竹俣修 選

宝くじ先ずは試しにアイスバー

夏燕造り酒屋の長き土間

初蟬や作陶展の案内くる

夜濯の一日の労を流しけり

白百合や隣家の庭のコンサート


◎中野千秋 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

吟行の梅雨傘散つて行きにけり

白南風や翻りたる蚊帳ふきん

水底に影の重なるあめんぼう

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ


◎森田遊馬 選

空色の溶けだしてゆくサングラス

倒木も根っこも岩も苔の森

片頰の畳目かゆし昼寝覚

咲き続くことに飽きあき百日紅

水底に影の重なるあめんぼう


◎南雲和夫 選

伊香保社の子安地蔵の夏薊

合歓の花母の優しさ揺れてゐる

アクセルを踏んで坂道雲の峰

白南風や翻りたる蚊帳ふきん

もののけの居さうな気配梅雨の森


◎里村閑 選

上州へ近づくほどに雷激し

夏燕造り酒屋の長き土間

朝涼し我が家の犬は聞き上手

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ


◎鈴木由里子 選

宝くじ先ずは試しにアイスバー

着こなしの女将とわかる単帯

ハイヒールの形の足や夜の秋

水底に影の重なるあめんぼう

夏風邪や薄荷の強き舌下錠


◎鬼形瑞枝 選

上履きに置くラブレター合歓の花

夜濯の一日の労を流しけり

百合香る庭に鳥居のある住まい

遠雷や歌に踊りにアコ一ディオン

梅雨明けの近しハーレーダビッドソン


◎ななさと紅緒 選

太陽へ翼のやうに日傘さす

雲の峰自由を怖れ憧れて

夜涼やかけ湯の月を掬いけり

朝涼し我が家の犬は聞き上手

風鈴や鳴るより鳴くといふ調べ


◎安部じゅん 選

ごきぶりを仕留める母や鬼の顔

夏燕造り酒屋の長き土間

夜涼やかけ湯の月を掬いけり

上履きに置くラブレター合歓の花

海の日の海沈黙の鉛いろ


◎杉山加織 選

空色の溶けだしてゆくサングラス

百合香る庭に鳥居のある住まい

水底に影の重なるあめんぼう

傘を持つ肘尖らせて梅雨深し

五月雨や無尽蔵なるものに水

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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