令和7年12月 月例インターネット句会 Vol.166

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

青春も老いもこの海冬鴎(渡辺 真澄)

冬の池風のひとつに引き締まる(木村 佑)

自己評価少し上げたる十二月(杉山 加織)

水底の落葉水面の落葉かな(アンサトウ)

抱き合ふ虫の骸や冬の薔薇(さくら悠日)

そりかへる睫毛にふはり初雪す(佐々木一栗)

遊具から遊具へ子等の小六月(稲葉 京閑)

行く年や我が心臓に聴診器(安部 呑歩)

冬鹿の群れの動かずたじろがず(小川 りつ)

ヨコハマの街の丸ごとクリスマス(木村 佑)


○入選 25句

おでん屋の女将の艶とゆで卵(竹俣 修)

鍵穴にひそむ寒気をまはしけり(星野 裕子)

わたアメの鼻うずめたる小春の日(高橋ちとせ)

恙なき日々を重ねて年の暮(吉田 春代)

幼な児の寝息しづかな聖夜かな(下境 洋子)

梟の闇に一村呑まれけり(堤 かがり)

シクラメン飾り玄関らしくなり(星野 裕子)

夕暮れて大人ばかりのクリスマス(下境 洋子)

山眠る星のかたちの音楽堂(小川 りつ)

浅間嶺に白きを置きて師走晴(清水 檀)

冴ゆる夜や「イランイラン」の香の中に(中島 圭子)

十二月予定無理矢理詰め込んで(さくら悠日)

格式の千木高々と神迎(稲葉 京閑)

吹越す上毛三山見晴らせば(佐々木一栗)

冠雪の武尊に背筋正しけり(渡辺 真澄)

毛糸編むジムノペテイを聞きながら(安部 吞歩)

湖の日の濃し水鳥のゐるあたり(木村 佑)

下町は人情厚き一葉忌(高橋ちとせ)

閉ざされて自分を責める障子かな(下境 洋子)

野を駆くる子らへとびつく草虱(永 豪敏)

彼方より白鳥のこゑ無人駅(高橋 菜活)

新橋の夜を畳めるおでん酒(杉山 加織)

キッチンはひつちやかめつちやかクリスマス(さくら悠日)

スコップを立てかけてをく雪催(高橋 菜活)

焼藷を分かち指先より温む(堤 かがり)


互選

12点句

鍵穴にひそむ寒気をまはしけり(星野 裕子)


6点句

言の葉を手渡すやうに巻くマフラー(清水 檀)

梟の闇に一村呑まれけり(堤 かがり)

傷ついて柚子湯の柚子となりにけり(木暮陶句郎)


5点句

踏みだせば音たち上がる枯野かな(星野 裕子)

山眠る星のかたちの音楽堂(小川 りつ)

極月の磨き上げたる空の青(杉山 加織)


4点句

星見ゆるポインセチアの窓辺かな(アンサトウ)


3点句

おでん屋の女将の艶とゆで卵(竹俣 修)

焼藷を分かち指先より温む(堤 かがり)

襤褸市の中にひかりの多面体(木暮陶句郎)


2点句

午後の陽にまぶた落とすや冬ぬくし(佐藤 聡)

ひようひようとその日暮らしや干菜汁(小須賀正幸)

言ひ過ぎて明日は詫びやう障子の間(下境 洋子)

踏み行ける落葉の上に又落葉(清水 檀)

抱き合ふ虫の骸や冬の薔薇(さくら悠日)

キッチンはひつちやかめつちやかクリスマス(さくら悠日)

もう二度と会はぬと決めて懐手(鈴木由里子)

寒月や己が心に嘘をつき(安部 呑歩)

枇杷の花造り酒屋の格子窓(堤 かがり)

寝返りて風の声聞く冬の朝(堤 かがり)

贅沢な午後の退屈日向ぼこ(アンサトウ)

冬の池風のひとつに引き締まる(木村 佑)

自己評価少し上げたる十二月(杉山 加織)


1点句

外套を脇にをんなが駆け下る(竹俣 修)

冬の陽に背を丸めたる猫ひとつ(佐藤 聡)

檀の実はじけて風を運びけり(星野 裕子)

わたアメの鼻うづめたる小春の日(高橋ちとせ)

小春日にスキップで行くももちやんち(高橋ちとせ)

木枯しや山の端にあるヤソの墓(高橋ちとせ)

山茶花や老いてもピンク着たきかな(吉田 春代)

眺めては庭師気取りや年暮るる(下境 洋子)

青春も老いもこの海冬鴎(渡辺 真澄)

冠雪の武尊に背筋正しけり(渡辺 真澄)

枯野原人恋ふ猫を抱きあぐる(渡辺 真澄)

空無辺ただようふやうに冬桜(渡辺 真澄)

今もなほ遺恨の残る開戦日(永 豪敏)

サンシャインビルそのまつたきを冬天へ(小川 りつ)

冬鹿の群れの動かずたじろがず(小川 りつ)

冬ぬくし柚子の香満ちてジャムを煮る(清水 檀)

冬帽は毛糸の手編みミニ地蔵(清水 檀)

吾の書架は寝室の隅冬ぬくし(中島 圭子)

冴ゆる夜や「イランイラン」の香の中に(中島 圭子)

モンローのシャネルにあらず干蒲団(中島 圭子)

クリスマスカード書く夜の嬉しさよ(中島 圭子)

駅小春ドア開閉は手動なり(岩佐 晴子)

十二月ただそれだけで気忙しく(岩佐 晴子)

十二月予定無理矢理詰め込んで(さくら悠日)

遊具から遊具へ子等の小六月(稲葉 京閑)

山頂の光へ落葉踏みながら(高橋 菜活)

行く年や我が心臓に聴診器(安部 呑歩)

両手だし巻き取る母の毛糸玉(安部 呑歩)

日だまりにまだ働くか冬の蟻(アンサトウ)

凩やコーンスウプとホカッチャと(アンサトウ)

数へ日の待合室の賑はひぬ(木村 佑)

湖の日の濃し水鳥のゐるあたり(木村 佑)

拭けばすぐ曇る玻璃戸や雪催(木村 佑)

枯芝といふ日だまりに憩ひをり(木暮陶句郎)

初雪とハグの余白の軽井沢(木暮陶句郎)

新橋の夜を畳めるおでん酒(杉山 加織)


互選結果

◎小暮蓮生 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(82) 踏みだせば音たち上がる枯野かな

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー

(124) 両手だし巻き取る母の毛糸玉

(127) 星見ゆるポインセチアの窓辺かな


◎小川りつ 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(60) 冠雪の武尊に背筋正しけり

(69) もう二度と会はぬと決めて懐手

(112) 空無辺ただようふやうに冬桜


◎竹俣修 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(57) 木枯しや山の端にあるヤソの墓

(59) 言い過ぎて明日は詫びやう障子の間

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー


◎佐藤聡 選

(1) おでん屋の女将の艶とゆで卵

(26) 自己評価少し上げたる十二月

(52) 極月の磨き上げたる空の青

(91) クリスマスカード書く夜の嬉しさよ

(127) 星見ゆるポインセチアの窓辺かな


◎小須賀正幸 選

(1) おでん屋の女将の艶とゆで卵

(5) わたアメの鼻うずめたる小春の日

(52) 極月の磨き上げたる空の青

(65) モンローのシャネルにあらず干蒲団

(68) 抱き合ふ虫の骸や冬の薔薇


◎高橋ちとせ 選

(2) 午後の陽にまぶた落とすや冬ぬくし

(74) 寝返りて風の声聞く冬の朝

(81) ひょうひょうとその日暮らしや干菜汁

(113) 今もなお遺恨の残る開戦日

(115) 冬帽は毛糸の手編みミニ地蔵


◎稲葉京閑 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(75) 日だまりにまだ働くか冬の蟻

(82) 踏みだせば音たち上がる枯野かな

(114) 冬鹿の群れの動かずたじろがず

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり


◎星野裕子 選

(20) 寒月や己が心に嘘をつき

(36) 山眠る星のかたちの音楽堂

(52) 極月の磨き上げたる空の青

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー

(127) 星見ゆるポインセチアの窓辺かな


◎さくら悠日 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(50) 数へ日の待合室の賑はひぬ

(81) ひょうひょうとその日暮らしや干菜汁

(86) 枯野原人恋ふ猫を抱きあぐる

(126) 焼藷を分かち指先より温む


◎堤かがり 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(13) 吾の書架は寝室の隅冬ぬくし

(96) 遊具から遊具へ子等の小六月

(108) 檀の実はじけて風を運びけり

(110) 山茶花や老いてもピンク着たきかな


◎永豪敏 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(20) 寒月や己が心に嘘をつき

(24) 冬の池風のひとつに引き締まる

(45) 山頂の光へ落葉踏みながら

(66) 十二月ただそれだけで気忙しく


◎鈴木由里子 選

(36) 山眠る星のかたちの音楽堂

(53) 外套を脇にをんなが駆け下る

(77) 初雪とハグの余白の軽井沢

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー

(103) 襤褸市の中にひかりの多面体


◎岩佐晴子 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(11) 踏み行ける落葉の上に又落葉

(42) 十二月予定無理矢理詰め込んで

(59) 言い過ぎて明日は詫びやう障子の間

(101) 凩やコーンスウプとホカッチャと


◎アンサトウ 選

(48) 枇杷の花造り酒屋の格子窓

(52) 極月の磨き上げたる空の青

(76) 湖の日の濃し水鳥のゐるあたり

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー

(103) 襤褸市の中にひかりの多面体


◎下境洋子 選

(2) 午後の陽にまぶた落とすや冬ぬくし

(14) 駅小春ドア開閉は手動なり

(23) 贅沢な午後の退屈日向ぼこ

(26) 自己評価少し上げたる十二月

(127) 星見ゆるポインセチアの窓辺かな


◎清水檀 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(36) 山眠る星のかたちの音楽堂

(74) 寝返りて風の声聞く冬の朝

(82) 踏みだせば音たち上がる枯野かな

(98) 行く年や我が心臓に聴診器


◎吉田春代 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(24) 冬の池風のひとつに引き締まる

(39) 冴ゆる夜や「イランイラン」の香の中に

(63) 冬ぬくし柚子の香満ちてジャムを煮る

(120) キッチンはひつちやかめつちやかクリスマス


◎中島圭子 選

(31) 小春日にスキップで行くももちゃんち

(36) 山眠る星のかたちの音楽堂

(103) 襤褸市の中にひかりの多面体

(104) 新橋の夜を畳めるおでん酒

(126) 焼藷を分かち指先より温む


◎木村佑 選

(8) 青春も老いもこの海冬鴎

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(52) 極月の磨き上げたる空の青

(111) 眺めては庭師気取りや年暮るる

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり


◎高橋菜活 選

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(89) 言の葉を手渡すやうに巻くマフラー

(120) キッチンはひつちやかめつちやかクリスマス

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり


◎渡辺真澄 選

(11) 踏み行ける落葉の上に又落葉

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(69) もう二度と会はぬと決めて懐手

(82) 踏みだせば音たち上がる枯野かな

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり


◎佐々木一栗 選

(1) おでん屋の女将の艶とゆで卵

(4) 鍵穴にひそむ寒気をまはしけり

(10) サンシャインビルそのまつたきを冬天へ

(82) 踏みだせば音たち上がる枯野かな

(126) 焼藷を分かち指先より温む


◎安部吞歩 選

(22) 梟の闇に一村呑まれけり

(48) 枇杷の花造り酒屋の格子窓

(68) 抱き合ふ虫の骸や冬の薔薇

(106) 冬の陽に背を丸めたる猫ひとつ

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり


◎杉山加織 選

(23) 贅沢な午後の退屈日向ぼこ

(25) 枯芝といふ日だまりに憩ひをり

(36) 山眠る星のかたちの音楽堂

(102) 拭けばすぐ曇る玻璃戸や雪催

(129) 傷ついて柚子湯の柚子となりにけり

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