令和7年1月 月例インターネット句会 Vol.155

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

せち料理子を待つ心味付けに(渡辺 真澄)

初御空祈れば叶ひさうな夢(堤 かがり)

マスクして母の後ろに隠れる子(佐々木一栗)

幸せの形まんまる浮寝鳥(木村 佑)

年の瀬や喫水深き貨物船(太田 直史)

マフラーをぐるぐる巻きて友を待つ(木下美樹枝)

緑青の風鐸冬の日が止まる(稲葉 京閑)

むらさきに滲む山の端雪催(杉山 加織)

加速するポルシェ淑気の西麻布(木村 佑)

寒紅や嘘つくときも泣くときも(杉山 加織)


○入選 26句

蝋梅の明日にふくらむ蕾かな(下境 洋子)

自販機を押せばことりと初明り(吉田 春代)

やまぬ雪ため息ばかりついてをり(高橋ちとせ)

かくれんぼの鬼も帰るよ冬夕焼(木下美樹枝)

野菜干す冬日の甘さ貰ひけり(中島 圭子)

枯芭蕉廃工場の裏に立つ(小須賀正幸)

一点の雲なき空の寒さかな(星野 裕子)

女正月頬を滑らす化粧筆(杉山 加織)

一筋に畦道晴れて初景色(下境 洋子)

初夢の扉を開く中華街(鈴木由里子)

山住みの友の溜息暮早し(中島 圭子)

主役なき雑炊へ塩ひとつまみ(木村 佑)

寒林や靴音のほか何もなし(星野 裕子)

淑気満つ盃の渦てふ小宇宙(杉山 加織)

除夜の鐘あの人も吾も老いてゆく(竹俣 修)

やっと子に懐きし猫やお正月(渡辺 真澄)

悪餓鬼の正座して餅丸めけり(高橋 菜活)

風邪三日夫の持ち来るココア飲む(中島 圭子)

投光器全て冬至の塔へ向く(稲葉 京閑)

セーターの網目飛ばしてSサイズ(吉田 春代)

珈琲の香を際立たせ寒の水(清水 檀)

二日早や帰る子送る山静か(渡辺 真澄)

締切りを急かせてをりぬ風邪の神(中島 圭子)

暖房や表紙の反りし文庫本(星野 裕子)

お飾りの鶴艶々と頸伸ばし(杉山 加織)

友は皆年下なりて冬うらら(清水 檀)

霜柱あれば必ず踏んでみる(岩佐 晴子)

冬の陽の川面の綾となりにけり(小暮 蓮生)

着ぶくれて娘も着ぶくれて笑ひ合ふ(木下美樹枝)


互選

8点句

待春のペンに満たせる青インク(木暮陶句郎)


6点句

淑気満つ盃の渦てふ小宇宙(杉山 加織)


4点句

蝋梅の明日にふくらむ蕾かな(下境 洋子)

落書きは児の詩心や春を待つ(木暮陶句郎)


3点句

賀状来るいつもの人のいつもの字(清水 檀)

去年今年くびれ滑らか砂時計(堤 かがり)

さつぱりと一つを捨てて厄落し(中島 圭子)

寒椿生涯ひとり愛し抜く(木暮陶句郎)


2点句

セーターの網目飛ばしてSサイズ(吉田 春代)

霜柱あれば必ず踏んでみる(岩佐 晴子)

浮雲や春の近づく歩道橋(鈴木由里子)

冬の陽の川面の綾となりにけり(小暮 蓮生)

着ぶくれて娘も着ぶくれて笑ひ合ふ(木下美樹枝)

悪餓鬼の正座して餅丸めけり(高橋 菜活)

春近し海の窪みに光あり(佐々木一栗)

マスクして母の後ろに隠れる子(佐々木一栗)

蝋梅の光を透かし零さざる(木村 佑)

ふるさとの土芳しき薺粥(木暮陶句郎)

一点の雲なき空の寒さかな(星野 裕子)

潮騒の海峡はるか冬銀河(星野 裕子)

むらさきに滲む山の端雪催(杉山 加織)

寒紅や嘘つくときも泣くときも(杉山 加織)


1点句

悲しみの地震も出水も除夜の鐘(竹俣 修)

除夜の鐘あの人も吾も老いてゆく(竹俣 修)

茜富士太平洋の初日の出(竹俣 修)

半眼の仏の足下年の市(稲葉 京閑)

投光器全て冬至の塔へ向く(稲葉 京閑)

駅伝で始まる新年上州路(清水 檀)

珈琲の香を際立たせ寒の水(清水 檀)

友は皆年下なりて冬うらら(清水 檀)

初鏡新しき紅つけてみる(高橋ちとせ)

せち料理子を待つ心味付けに(渡辺 真澄)

二日早や帰る子送る山静か(渡辺 真澄)

俳句てふ趣味を続けて去年今年(岩佐 晴子)

句仲間の一句添へある年賀状(岩佐 晴子)

少子化や赤ちゃん見れば冬温し(岩佐 晴子)

初御空祈れば叶ひさうな夢(堤 かがり)

去年今年柱時計は十二回(堤 かがり)

松過や論語読み伏し母眠る(鈴木由里子)

遠山の近くなりたり冬の朝(小暮 蓮生)

かくれんぼの鬼も帰るよ冬夕焼(木下美樹枝)

野菜干す冬日の甘さ貰ひけり(中島 圭子)

締切りを急かせてをりぬ風邪の神(中島 圭子)

月冴えて艏の影の潔し(佐々木一栗)

冬館老いた役者の唸り声(小須賀正幸)

幸せの形まんまる浮寝鳥(木村 佑)

寒四郎風に研がれし波の先(木村 佑)

あなぐまや賀状じまいのやるせなさ(安部 呑歩)

流感のてんやわんやの駐車場(安部 呑歩)

一礼し苦味飲干す年酒かな(安部 呑歩)

碧落の降る探梅の小径かな(木暮陶句郎)

一点の雲なき空の寒さかな(星野 裕子)

暖房や表紙の反りし文庫本(星野 裕子)

雪模様くもりガラスに人の影 (星野 裕子)

初氷芭蕉の句碑のひびにかな(太田 直史)

消炭を火除けに貰ふどんど焼(太田 直史)

炉灯りや赤い顔してほら話(太田 直史)

スイングするクラリネットや春そこに(太田 直史)

お飾りの鶴艶々と頸伸ばし(杉山 加織)


互選結果

◎星野裕子 選

(9) 初御空祈れば叶ひさうな夢

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(55) 去年今年くびれ滑らか砂時計

(69) むらさきに滲む山の端雪催

(115) 寒紅や嘘つくときも泣くときも


◎小暮蓮生 選

(3) 蝋梅の明日にふくらむ蕾かな

(63) 蝋梅の光を透かし零さざる

(65) 寒椿生涯ひとり愛し抜く

(66) 潮騒の海峡はるか冬銀河

(107) 春近し海の窪みに光あり


◎小須賀正幸 選

(5) 駅伝で始まる新年上州路

(18) あなぐまや賀状じまいのやるせなさ

(51) 賀状来るいつもの人のいつもの字

(111) 待春のペンに満たせる青インク

(112) 雪模様くもりガラスに人の影


◎稲葉京閑 選

(42) 落書きは児の詩心や春を待つ

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(51) 賀状来るいつもの人のいつもの字

(73) セーターの網目飛ばしてSサイズ

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎竹俣修 選

(12) かくれんぼの鬼も帰るよ冬夕焼

(41) 流感のてんやわんやの駐車場

(56) 松過や論語読み伏し母眠る

(76) 二日早や帰る子送る山静か

(98) 初鏡新しき紅つけてみる


◎堤かがり 選

(79) 浮雲や春の近づく歩道橋

(100) 霜柱あれば必ず踏んでみる

(104) 着ぶくれて娘も着ぶくれて笑ひ合ふ

(106) さつぱりと一つを捨てて厄落し

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎木下美樹枝 選

(3) 蝋梅の明日にふくらむ蕾かな

(8) 俳句てふ趣味を続けて去年今年

(31) 句仲間の一句添へある年賀状

(65) 寒椿生涯ひとり愛し抜く

(73) セーターの網目飛ばしてSサイズ


◎高橋菜活 選

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(61) 月冴えて艏の影の潔し

(63) 蝋梅の光を透かし零さざる

(91) 炉灯りや赤い顔してほら話

(115) 寒紅や嘘つくときも泣くときも


◎高橋ちとせ 選

(3) 蝋梅の明日にふくらむ蕾かな

(43) 寒林や靴音のほか何もなし

(66) 潮騒の海峡はるか冬銀河

(74) 珈琲の香を際立たせ寒の水

(106) さつぱりと一つを捨てて厄落し


◎岩佐晴子 選

(14) 野菜干す冬日の甘さ貰ひけり

(20) 一点の雲なき空の寒さかな

(51) 賀状来るいつもの人のいつもの字

(103) 冬の陽の川面の綾となりにけり

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎木村佑 選

(20) 一点の雲なき空の寒さかな

(42) 落書きは児の詩心や春を待つ

(89) 暖房や表紙の反りし文庫本

(107) 春近し海の窪みに光あり

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎吉田春代 選

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(55) 去年今年くびれ滑らか砂時計

(92) お飾りの鶴艶々と頸伸ばし

(106) さつぱりと一つを捨てて厄落し

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎下境洋子 選

(42) 落書きは児の詩心や春を待つ

(47) 除夜の鐘あの人も吾も老いてゆく

(55) 去年今年くびれ滑らか砂時計

(59) 悪餓鬼の正座して餅丸めけり

(104) 着ぶくれて娘も着ぶくれて笑ひ合ふ


◎渡辺真澄 選

(3) 蝋梅の明日にふくらむ蕾かな

(15) マスクして母の後ろに隠れる子

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(68) 消炭を火除けに貰ふどんど焼

(103) 冬の陽の川面の綾となりにけり


◎太田直史 選

(1) 悲しみの地震も出水も除夜の鐘

(7) せち料理子を待つ心味付けに

(88) ふるさとの土芳しき薺粥

(93) 茜富士太平洋の初日の出

(110) 一礼し苦味飲干す年酒かな


◎中島圭子 選

(15) マスクして母の後ろに隠れる子

(45) 初氷芭蕉の句碑のひびにかな

(59) 悪餓鬼の正座して餅丸めけり

(111) 待春のペンに満たせる青インク

(114) スイングするクラリネットや春そこに


◎清水檀 選

(17) 幸せの形まんまる浮寝鳥

(65) 寒椿生涯ひとり愛し抜く

(69) むらさきに滲む山の端雪催

(88) ふるさとの土芳しき薺粥

(111) 待春のペンに満たせる青インク


◎鈴木由里子 選

(71) 投光器全て冬至の塔へ向く

(77) 少子化や赤ちゃん見れば冬温し

(83) 締切りを急かせてをりぬ風邪の神

(101) 去年今年柱時計は十二回

(108) 冬館老ひた役者の唸り声


◎佐々木一栗 選

(46) 淑気満つ盃の渦てふ小宇宙

(79) 浮雲や春の近づく歩道橋

(80) 遠山の近くなりたり冬の朝

(100) 霜柱あれば必ず踏んでみる

(109) 寒四郎風に研がれし波の先


◎杉山加織 選

(2) 半眼の仏の足下年の市

(19) 碧落の降る探梅の小径かな

(42) 落書きは児の詩心や春を待つ

(97) 友は皆年下なりて冬うらら

(111) 待春のペンに満たせる青インク

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。 【NEW】陶芸家としても活躍中の陶句郎主宰の個展が2024年9月18日(水)~24(火)に「あべのハルカス近鉄本店」にて開催されます!

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