令和6年11月 月例インターネット句会 Vol.153
木暮陶句郎 選
◎特選 10句
切干や母は筆まめ筆達者(太田 直史)
フラッシュの光に散りぬ秋薔薇(稲葉 京閑)
日向ぼこ遠くに海の見える街(木村 佑)
水に生き水に死ぬ魚冬銀河(星野 裕子)
紅葉踏むタイムスリップばかりして(下境 洋子)
ヴィオロンや枯葉の匂ひ奏でつつ(鈴木由里子)
鰭酒や風邪を治してくれないか(安部 呑歩)
冬桜埴輪に彩の有りしこと(渡辺 真澄)
朝寒の声掛け合うて集積所(中島 圭子)
羽ばたける陽だまり色の冬の蝶(佐々木一栗)
○入選 28句
よく揉みて蜜柑剥く祖母香に満ちて(木下美樹枝)
人はなほ迷宮にあり憂国忌(星野 裕子)
物忘れ気付く一と日や冬に入る(清水 檀)
百年の土蔵の匂秋深し(岩佐 晴子)
犬の名を犬に問うたり神無月(中島 圭子)
調弦の音の顕や冬に入る(鈴木由里子)
留守番の猫を気遣ふ七五三(堤 かがり)
丸窓の切り取る埠頭小六月(杉山 加織)
逝く秋やエンドロールを見ぬままに(木下美樹枝)
葱買うて葱の長さを持ち帰る(星野 裕子)
回り道初冠雪の富士見むと(岩佐 晴子)
返り花陽気な妻の手招きす(中島 圭子)
鍵盤を探る指先霜の夜(鈴木由里子)
凩や跡継ぎ耐えし桑畑(安部 呑歩)
冗談に笑へぬひと日神の留守(杉山 加織)
袖口を小さくひつぱり秋惜しむ(木下美樹枝)
駅伝の神在月の地を繋ぐ(小暮 蓮生)
朴落葉砕く走行ギアチェンジ(稲葉 京閑)
空青し崖をつかみし冬紅葉(堤 かがり)
玻璃ごしに紅葉且つ散る美術館(星野 裕子)
庭照らす石蕗の明かりにしづ心(清水 檀)
瀬戸内海あをさの残る檸檬買ふ(吉田 春代)
覚えなき合鍵ひとつ返り花(星野 裕子)
起きてまづ薪を焚きけり今朝の冬(高橋ちとせ)
池辺のベンチを覆ふ落ち葉かな(岩佐 晴子)
真冬日や手に一冊の文庫本(鈴木由里子)
燗熱くして遠き日を近づけり(木村 佑)
冬日和茶室へ続く石畳(杉山 加織)
互選
8点句
燗熱くして遠き日を近づけり(木村 佑)
6点句
丸窓の切り取る埠頭小六月(杉山 加織)
4点句
冬に入る水の硬さを喉が知る(吉田 春代)
凩や跡継ぎ耐えし桑畑(安部 呑歩)
冬林檎磨く詩ごころ育てつつ(木暮陶句郎)
3点句
葱買うて葱の長さを持ち帰る(星野 裕子)
水に生き水に死ぬ魚冬銀河(星野 裕子)
覚えなき合鍵ひとつ返り花(星野 裕子)
羽ばたける陽だまり色の冬の蝶(佐々木一栗)
2点句
逝く秋やエンドロールを見ぬままに(木下美樹枝)
袖口を小さくひつぱり秋惜しむ(木下美樹枝)
冬来るバニラシェイクの濃き甘さ(木下美樹枝)
老犬のまつ毛の長し日向ぼこ(木下美樹枝)
人はなほ迷宮にあり憂国忌(星野 裕子)
玻璃ごしに紅葉且つ散る美術館(星野 裕子)
冬茜負けし試合の帰り道(小暮 蓮生)
木守柿ねぐらへ帰る鳥の群(小暮 蓮生)
薪割りを父にほめられ冬構(佐々木一栗)
鍵盤を探る指先霜の夜(鈴木由里子)
小きざみに揺るる忠治の菊人形(堤 かがり)
情念の色とも冬の蔦紅葉(木暮陶句郎)
銀座の灯滲み易くて小夜時雨(木暮陶句郎)
1点句
よく揉みて蜜柑剥く祖母香に満ちて(木下美樹枝)
パエリアの中に黄落みたやうな(吉田 春代)
薄紅葉光溢るゝ午後の庭(下境 洋子)
紅葉踏むタイムスリップばかりして(下境 洋子)
冬立ちぬ日向ひなたを歩きけり(高橋ちとせ)
冬桜埴輪に彩の有りしこと(渡辺 真澄)
切干や母は筆まめ筆達者(太田 直史)
池辺のベンチを覆ふ落ち葉かな(岩佐 晴子)
犬の名を犬に問うたり神無月(中島 圭子)
フラッシュの光に散りぬ秋薔薇(稲葉 京閑)
朴落葉砕く走行ギアチェンジ(稲葉 京閑)
花時計中心に置く小菊の黄(稲葉 京閑)
調弦の音の顕や冬に入る(鈴木由里子)
マフラーを締めて一人が上手な子(鈴木由里子)
木の影の直立不動冬落暉(木村 佑)
初冬の帰宅の首を温めつつ(杉山 加織)
神経のごとき回路や神の留守(杉山 加織)
さはさはと赤城颪の冬菜畑(木暮陶句郎)
互選結果
◎渡辺真澄 選
(16) 調弦の音の顕や冬に入る
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(63) 冬林檎磨く詩ごころ育てつつ
(82) 木の影の直立不動冬落暉
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎竹俣修 選
(8) 冬茜負けし試合の帰り道
(36) 薪割りを父にほめられ冬構
(48) 洗顔の水に湯をたす冬の朝
(56) 朴落葉砕く走行ギアチェンジ
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎稲葉京閑 選
(4) 人はなほ迷宮にあり憂国忌
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(39) 凩や跡継ぎ耐えし桑畑
(46) 水に生き水に死ぬ魚冬銀河
(99) 羽ばたける陽だまり色の冬の蝶
◎中島圭子 選
(4) 人はなほ迷宮にあり憂国忌
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(42) 情念の色とも冬の蔦紅葉
(62) 初冬の帰宅の首を温めつつ
(67) 玻璃ごしに紅葉且つ散る美術館
◎星野裕子 選
(14) フラッシュの光に散りぬ秋薔薇
(37) 鍵盤を探る指先霜の夜
(63) 冬林檎磨く詩ごころ育てつつ
(84) 銀座の灯滲み易くて小夜時雨
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎小暮蓮生 選
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(22) 逝く秋やエンドロールを見ぬままに
(39) 凩や跡継ぎ耐えし桑畑
(88) 覚えなき合鍵ひとつ返り花
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎吉田春代 選
(29) 木守柿ねぐらへ帰る鳥の群
(43) 袖口を小さくひつぱり秋惜しむ
(80) 小きざみに揺るる忠治の菊人形
(99) 羽ばたける陽だまり色の冬の蝶
(105) さはさはと赤城颪の冬菜畑
◎下境洋子 選
(12) 犬の名を犬に問うたり神無月
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(36) 薪割りを父にほめられ冬構
(43) 袖口を小さくひつぱり秋惜しむ
(88) 覚えなき合鍵ひとつ返り花
◎堤かがり 選
(25) 葱買うて葱の長さを持ち帰る
(45) 冬に入る水の硬さを喉が知る
(48) 洗顔の水に湯をたす冬の朝
(68) 紅葉踏むタイムスリップばかりして
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎高橋ちとせ 選
(26) 薄紅葉光溢るゝ午後の庭
(39) 凩や跡継ぎ耐えし桑畑
(42) 情念の色とも冬の蔦紅葉
(77) 花時計中心に置く小菊の黄
(95) 池辺のベンチを覆ふ落ち葉かな
◎岩佐晴子 選
(8) 冬茜負けし試合の帰り道
(29) 木守柿ねぐらへ帰る鳥の群
(39) 凩や跡継ぎ耐えし桑畑
(67) 玻璃ごしに紅葉且つ散る美術館
(91) 冬桜埴輪に彩の有りしこと
◎木村佑 選
(37) 鍵盤を探る指先霜の夜
(45) 冬に入る水の硬さを喉が知る
(58) マフラーを締めて一人が上手な子
(85) 老犬のまつ毛の長し日向ぼこ
(99) 羽ばたける陽だまり色の冬の蝶
◎佐々木一栗 選
(20) 丸窓の切り取る埠頭小六月
(45) 冬に入る水の硬さを喉が知る
(63) 冬林檎磨く詩ごころ育てつつ
(88) 覚えなき合鍵ひとつ返り花
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎小須賀正幸 選
(1) よく揉みて蜜柑剥く祖母香に満ちて
(22) 逝く秋やエンドロールを見ぬままに
(25) 葱買うて葱の長さを持ち帰る
(46) 水に生き水に死ぬ魚冬銀河
(80) 小きざみに揺るる忠治の菊人形
◎清水檀 選
(9) 切干や母は筆まめ筆達者
(25) 葱買うて葱の長さを持ち帰る
(64) 冬来るバニラシェイクの濃き甘さ
(84) 銀座の灯滲み易くて小夜時雨
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎鈴木由里子 選
(45) 冬に入る水の硬さを喉が知る
(46) 水に生き水に死ぬ魚冬銀河
(64) 冬来るバニラシェイクの濃き甘さ
(83) 神経のごとき回路や神の留守
(85) 老犬のまつ毛の長し日向ぼこ
◎木下美樹枝 選
(3) パエリアの中に黄落みたやうな
(27) 冬立ちぬ日向ひなたを歩きけり
(48) 洗顔の水に湯をたす冬の朝
(63) 冬林檎磨く詩ごころ育てつつ
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
◎杉山加織 選
(4) 人はなほ迷宮にあり憂国忌
(12) 犬の名を犬に問うたり神無月
(37) 鍵盤を探る指先霜の夜
(88) 覚えなき合鍵ひとつ返り花
(103) 燗熱くして遠き日を近づけり
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