令和5年7月 月例インターネット句会 Vol.137
木暮陶句郎 選
◎特選 10句
かなかなの空濡れ色に暮れにけり(杉山 加織)
目を閉づる目蓋を持たず蝉逝けり(岩佐 晴子)
青芝や音無く回る散水機(稲葉 京閑)
バッティングセンターの音夏の星(木下美樹枝)
薄暗き茶房垣根の灸花(稲葉 京閑)
人の世を語る短冊星祭(小暮 蓮生)
髪洗ふ思考を磨き直すごと(杉山 加織)
工場の昼のサイレン夾竹桃(稲葉 京閑)
踏切の音に始まる夏景色(鈴木由里子)
朝涼やリネンクロスの靡く空(杉山 加織)
○入選 22句
梅雨湿り記憶媒体整理する(大渕 洋)
救急車行き交ふ街の百日紅(森田 遊馬)
大学の全き蒼き夏休(木村 佑)
竹皮を脱げリ臍の緒まだ取れず(稲葉 京閑)
棄てきれぬ遠き思ひ出香水壜(清水 檀)
好々爺子に借りて塗る日焼止め(中島 圭子)
山開ひらき癖ある時刻表(木村 佑)
打ち返すテニスボールや雲の峰(木下美樹枝)
百合の香の宴の余韻持ち帰る(杉山 加織)
ドック無事終へて貪る水羊羹(大渕 洋)
水無月や爪生き生きと伸びるのみ(清水 檀)
河童忌やオールバックにしてみたら(中島 圭子)
球体といふ永遠を金魚かな(木村 佑)
星涼し銀彫刻の手巻き時計(杉山 加織)
緑蔭に風の怒濤の生まれたる(星野 裕子)
迅雷やすんとも鳴けぬ猫を抱く(安部 呑歩)
喜びにはち切れさうなトマトかな(岩佐 晴子)
カルピスとコップの汗と風鈴と(佐々木一栗)
無記名の本音あかして落し文(堤 かがり)
チュニックを孕ます風や夏木立(木下美樹枝)
父と子と風鈴見上ぐ縁の端(天田あすなろう)
夏の海買ったばかりのワンピース(木下美樹枝)
互選
9点句
かなかなの空濡れ色に暮れにけり(杉山 加織)
4点句
踏切の音に始まる夏景色(鈴木由里子)
釣舟草揺れて夢二の夢の果て(木暮陶句郎)
3点句
棄てきれぬ遠き思ひ出香水壜(清水 檀)
人の世を語る短冊星祭(小暮 蓮生)
次男坊膝下だけの海開き(佐々木一栗)
一重帯締めて夢二に逢ひにゆく(木暮陶句郎)
髪洗ふ思考を磨き直すごと(杉山 加織)
2点句
合歓の花子と共に寝てしまいけり(高橋ちとせ)
錆びてゆく色も味わひ七変化(清水 檀)
上州や桑の実の味忘れたる(星野 裕子)
夕立きて街を斜めに切り裂けり(星野 裕子)
行く夏のサンダル忘れたる渚(星野 裕子)
梅雨明けや流線型のヘルメット(佐々木一栗)
夏帽の風を起こして待つホーム(佐々木一栗)
おしゃべりな口を蓋する酷暑かな(森田 遊馬)
球体といふ永遠を金魚かな(木村 佑)
夏帽やボックス席に弾む声(木村 佑)
隣人と笑みを分け合ふ朝の虹(堤 かがり)
甚平の立膝で切る爪の音(堤 かがり)
打ち返すテニスボールや雲の峰(木下美樹枝)
バッティングセンターの音夏の星(木下美樹枝)
サラダ記念日君とゐる避暑の宿(木暮陶句郎)
百合の香の宴の余韻持ち帰る(杉山 加織)
1点句
前日便残るポストや女梅雨(大渕 洋)
ドック無事終へて貪る水羊羹(大渕 洋)
透け透けの夜の暮らしや古簾(大渕 洋)
真っ白な卵を運ぶ蟻の列(稲葉 京閑)
薄暗き茶房垣根の灸花(稲葉 京閑)
工場の昼のサイレン夾竹桃(稲葉 京閑)
十薬の匂いの庭を草をひく(高橋ちとせ)
朝靄の尾瀬あやめ浮き立ちてをり(下境 洋子)
過ぎゆきて山梔子の香に振り返る(清水 檀)
山梔子の白き命に夕日影(清水 檀)
避雷小屋主の蜥蜴と間を過ごし(安部 呑歩)
子の手前掴んで見せる油蝉(岩佐 晴子)
目を閉づる目蓋を持たず蝉逝けり(岩佐 晴子)
喜びにはち切れさうなトマトかな(岩佐 晴子)
短夜や合衆国の地図ひろぐ(鈴木由里子)
一枚岩を絹敷く流れえごの花(太田 直史)
郭公や抜け来た森の深さかな(太田 直史)
カルピスとコップの汗と風鈴と(佐々木一栗)
ワンピース追ひかけ回す夏の風(佐々木一栗)
大学の全き蒼き夏休(木村 佑)
武蔵野の一隅を借り昼寝かな(木村 佑)
一口の水のうるほひ玉の汗(堤 かがり)
無記名の本音あかして落し文(堤 かがり)
釣忍後妻がぽつり水をやり(小須賀正幸)
代議士が全てをほっぽり平泳ぎ(小須賀正幸)
チュニックを孕ます風や夏木立(木下美樹枝)
はたた神眠りし妻の深睫毛(木暮陶句郎)
星涼し銀彫刻の手巻き時計(杉山 加織)
朝涼やリネンクロスの靡く空(杉山 加織)
互選結果
◎小須賀正幸 選
(3) 真っ白な卵を運ぶ蟻の列
(7) 上州や桑の実の味忘れたる
(80) カルピスとコップの汗と風鈴と
(89) 透け透けの夜の暮らしや古簾
(92) 十薬の匂いの庭を草をひく
◎小暮蓮生 選
(28) 棄てきれぬ遠き思ひ出香水壜
(34) 短夜や合衆国の地図ひろぐ
(41) 釣忍後妻がぽつり水をやり
(64) バッティングセンターの音夏の星
(83) 武蔵野の一隅を借り昼寝かな
◎稲葉京閑 選
(21) 一重帯締めて夢二に逢ひにゆく
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(33) 目を閉づる目蓋を持たず蝉逝けり
(44) 百合の香の宴の余韻持ち帰る
(61) 球体といふ永遠を金魚かな
◎中島圭子 選
(14) 次男坊膝下だけの海開き
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(45) ドック無事終へて貪る水羊羹
(91) 工場の昼のサイレン夾竹桃
(109) 釣舟草揺れて夢二の夢の果て
◎高橋ちとせ 選
(28) 棄てきれぬ遠き思ひ出香水壜
(30) 紫陽花の色乗せながら風のゆく
(40) 一口の水のうるほひ玉の汗
(42) 打ち返すテニスボールや雲の峰
(72) 錆びてゆく色も味わひ七変化
◎岩佐晴子 選
(17) 大学の全き蒼き夏休
(43) サラダ記念日君とゐる避暑の宿
(51) 行く夏のサンダル忘れたる渚
(57) 郭公や抜け来た森の深さかな
(70) 合歓の花子と共に寝てしまいけり
◎大渕洋 選
(21) 一重帯締めて夢二に逢ひにゆく
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(35) 一枚岩を絹敷く流れえごの花
(44) 百合の香の宴の余韻持ち帰る
(64) バッティングセンターの音夏の星
◎天田あすなろう 選
(6) 過ぎゆきて山梔子の香に振り返る
(18) 隣人と笑みを分け合ふ朝の虹
(23) 前日便残るポストや女梅雨
(59) おしゃべりな口を蓋する酷暑かな
(100) 踏切の音に始まる夏景色
◎清水檀 選
(7) 上州や桑の実の味忘れたる
(14) 次男坊膝下だけの海開き
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(29) 夕立きて街を斜めに切り裂けり
(109) 釣舟草揺れて夢二の夢の果て
◎木下美樹枝 選
(30) 紫陽花の色乗せながら風のゆく
(36) 梅雨明けや流線型のヘルメット
(58) 夏帽の風を起こして待つホーム
(70) 合歓の花子と共に寝てしまいけり
(105) 夏帽やボックス席に弾む声
◎堤かがり 選
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(28) 棄てきれぬ遠き思ひ出香水壜
(59) おしゃべりな口を蓋する酷暑かな
(77) 喜びにはち切れさうなトマトかな
(88) 髪洗ふ思考を磨き直すごと
◎太田直史 選
(29) 夕立きて街を斜めに切り裂けり
(36) 梅雨明けや流線型のヘルメット
(66) 星涼し銀彫刻の手巻き時計
(74) 人の世を語る短冊星祭
(84) 無記名の本音あかして落し文
◎竹俣修 選
(9) 避雷小屋主の蜥蜴と間を過ごし
(11) 子の手前掴んで見せる油蝉
(14) 次男坊膝下だけの海開き
(27) 朝靄の尾瀬あやめ浮き立ちてをり
(58) 夏帽の風を起こして待つホーム
◎安部吞歩 選
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(51) 行く夏のサンダル忘れたる渚
(62) 甚平の立膝で切る爪の音
(87) はたた神眠りし妻の深睫毛
(105) 夏帽やボックス席に弾む声
◎木村佑 選
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(63) 代議士が全てをほっぽり平泳ぎ
(74) 人の世を語る短冊星祭
(88) 髪洗ふ思考を磨き直すごと
(100) 踏切の音に始まる夏景色
◎佐々木一栗 選
(18) 隣人と笑みを分け合ふ朝の虹
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(62) 甚平の立膝で切る爪の音
(94) 山梔子の白き命に夕日影
(100) 踏切の音に始まる夏景色
◎鈴木由里子 選
(21) 一重帯締めて夢二に逢ひにゆく
(42) 打ち返すテニスボールや雲の峰
(86) チュニックを孕ます風や夏木立
(102) ワンピース追ひかけ回す夏の風
(110) 朝涼やリネンクロスの靡く空
◎星野裕子 選
(22) かなかなの空濡れ色に暮れにけり
(61) 球体といふ永遠を金魚かな
(72) 錆びてゆく色も味わひ七変化
(88) 髪洗ふ思考を磨き直すごと
(109) 釣舟草揺れて夢二の夢の果て
◎杉山加織 選
(43) サラダ記念日君とゐる避暑の宿
(69) 薄暗き茶房垣根の灸花
(74) 人の世を語る短冊星祭
(100) 踏切の音に始まる夏景色
(109) 釣舟草揺れて夢二の夢の果て
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