平成30年6月 月例インターネット句会 Vol.76結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 6句

涼やかや老舗の和菓子泪色(清水 檀)

今日と言ふひと日を消して梅雨烟る(清水 檀)

短夜や壊れ易きは砂の城(鈴木由里子)

黒南風や水漏れ続くエコキュート(安部じゅん)

漱石の文庫を閉じて焚く蚊遣(清水 檀)

毛虫焼く今宵は仮面舞踏会(ななさと紅緒)


〇入選 26句 

竹皮を脱ぐ天空にまだ余白(星野 裕子)

無機質な朝のポストや明易し(鈴木由里子)

円陣の真ん中あたり青葉風(堤 かがり)

落ちさうな釦をちぎる溽暑かな(ななさと紅緒)

運針のあとの痺れや梅雨兆す(杉山 加織)

切りし時ことに香りし百合の花(大貫ひすゐ)

駅前のバスの発着風緑(稲葉 京閑)

ジョギングの髪を揺らして夏木立(星野 裕子)

拝観はシニア料金梅雨晴れ間(水上 一葉)

パン皿に名も無き小鳥夏の島(鈴木由里子)

黴嗅いで太き柱の映画館(安部じゅん)

湘南のホテル育ちや燕の子(ななさと紅緒)

さくらんぼ従姉妹同士で同い年(中野 千秋)

梅雨湿り画面走らすスマートホン(稲葉 京閑)

カーボン紙の色の澱みの五月闇(星野 裕子)

噴水や若き涙のかはくまで(里村 閑)

蝸牛あすには取れるギブスかな(ななさと紅緒)

濡れるとも無くて濡れゆく梅雨の街(清水 檀)

目高池雨に溢れんばかりなり(堤 かがり)

縁の下月面のごとく蟻地獄(岩佐 晴子)

単衣着て目もとは母に似てきたる(大貫ひすゐ)

真夜中の帰宅金魚に迎えらる(星野 裕子)

梅雨晴れ間待ってましたとテニスかな(髙橋千登世)

林間に星の滴る夏野かな(鈴木由里子)

逆しまに雲むくむくと植田かな(岩佐 晴子)

梅雨寒し閉店といふレストラン(大貫ひすゐ)


互選

5票

さくらんぼ従姉妹同士で同い年(中野 千秋)

竹皮を脱ぐ天空にまだ余白(星野 裕子)


4票

落ちさうな釦をちぎる溽暑かな(ななさと紅緒)

湘南のホテル育ちや燕の子(ななさと紅緒)

短夜や少しがたつくバーの椅子 (木暮陶句郎)


3票

さくらんぼ従姉妹同士で同い年(中野 千秋)

七変化俳人意気な嘘を言ふ(中野 千秋)

サングラスかけても嘘の下手な人 (大貫ひすゐ)

涼やかや老舗の和菓子泪色 (清水 檀)

黴嗅いで太き柱の映画館 (安部じゅん)

運針のあとの痺れや梅雨兆す(杉山 加織)


2票

六月や開店前のヴィヴァルディ (中野 千秋)

紫陽花の手折りて零す雨の粒 (清水 檀)

漱石の文庫を閉じて焚く蚊遣 (清水 檀)

水もまた香を立たせけり紅薔薇 (星野 裕子)

円陣の真ん中あたり青葉風(堤 かがり)

ででむしや今日の仕事を先送る (堤 かがり)

蝸牛あすには取れるギブスかな(ななさと紅緒)

毛虫焼く今宵は仮面舞踏会(ななさと紅緒)


1票

切りし時ことに香りし百合の花(大貫ひすゐ)

梅雨寒し閉店といふレストラン(大貫ひすゐ)

単衣着て目もとは母に似てきたる(大貫ひすゐ)

梅雨の蚊のおもむろに人刺さむとす(稲葉 京閑)

駅前のバスの発着風緑(稲葉 京閑)

今日と言ふひと日を消して梅雨烟る(清水 檀)

濡れるとも無くて濡れゆく梅雨の街(清水 檀)

拝観はシニア料金梅雨晴れ間(水上 一葉)

本堂の襖はづして読経かな(水上 一葉)

短夜や壊れ易きは砂の城(鈴木由里子)

薔薇二輪引き合ふごとくゆるるかな(里村 閑)

小判草浮世の風にをどりけり(里村 閑)

鬼灯の花夕暮れに生まれたり(安部じゅん)

老犬と歩く夕暮れ夏椿(安部じゅん)

遠雷や匍匐前進猫の尻(石川 祐司)

過疎の地に二人ぼつちや時鳥(岩佐 晴子)

縁の下月面のごとく蟻地獄(岩佐 晴子)

逆しまに雲むくむくと植田かな(岩佐 晴子)

湧水のこんもりとして緑の夜(木暮陶句郎)

好きなんて言はない絶対七変化(杉山 加織)

思ひ出の色青みつつ梅雨に入る(杉山 加織)

カーナビの心なきこゑ梅雨じめり(杉山 加織)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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