令和4年9月 月例インターネット句会 Vol.127

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

新涼や白衣新たな研究者(小暮 肇)

鰯雲引越し先は隣町(堤 かがり)

雨月かな祖母は囲炉裏で粥を炊き(小須賀正幸)

雨上がり新聞受けに虫の声(安部 呑歩)

木の実降る言の葉あふれ来る如く(星野 裕子)

山住や部屋にばつたの跳ねてをり(岩佐 晴子)

十六夜の渚に果つる銀波かな(木村 佑)

山雨来て花野の彩を濃くしたる(星野 裕子)

とんぼうの手前の空と奥の空(木村 佑)

その奥の彼の世透かして曼珠沙華(杉山 加織)


○入選 22句

(3) 文机の木目秋日の照り翳り(稲葉 京閑)

(4) 迎火に照らさるる吾子父さん似(竹俣 修)

(6) 回覧板汚さぬやうにこぼれ萩(鈴木由里子)

(7) 秋明菊母逝きし日も白き花(下境 洋子)

(11) 軽やかに下駄の音する花火の夜(清水 檀)

(16) 花すすき光の中へ撓みけり(木村 佑)

(23) 邯鄲のはかなき夢を見て鳴けり(中島 圭子)

(27) 空つぽのウスターソース鱗雲(鈴木由里子)

(32) 白粉花の何処か昭和のかをりして(清水 檀) 

(39) 鬼やんま剥き出しの目のぶつからず(山本 彩)

(43) ゴスペルを聴く秋の夜のユーチューブ(大渕 洋)

(53) あれこれと想ひ畳める秋扇(清水 檀)

(58) 秋の夜の灯りをつけてより一人(木村 佑)

(64) 文机の反故紙散らし初嵐(大渕 洋)

(67) 月光の雲間に望むジャンダルム(竹俣 修)

(71) 沈黙のをかしき間合上げ花火(安部 吞歩)

(82) 蚯蚓鳴くあんな良い子が亡くなりて(小須賀正幸)

(84) やり直し効かぬ人生鰯雲(杉山 加織)

(88) 白山へ伸びる夕べの苅田道(竹俣 修)

(91) 幼子の頬仄あかく桃熟るる(下境 洋子)

(99) 秋寒や待合室の黙数多(岩佐 晴子)

(101) 爽やかに行進曲の風にのり(堤 かがり)


互選

6点句

農協の帽誇らしく案山子立つ(木暮陶句郎)


5点句

その奥の彼の世透かして曼珠沙華(杉山 加織)


4点句

新涼や白衣新たな研究者(小暮 肇)

木の実降る言の葉あふれ来る如く(星野 裕子)

秋の夜の灯りをつけてより一人(木村 佑)

鈴虫やことわりもなく膝に猫(山本 彩)

青蜜柑放られて恋始まりぬ(木暮陶句郎)


3点句

秋だからそれだけで行く旧国道(大渕 洋)

伝言板復活したり小鳥来る(鈴木由里子)

星流る恐竜の声聞いたはず(安部 呑歩)

鰯雲引越し先は隣町(堤 かがり)

吾が影を横切る魚水澄めリ(堤 かがり)


2点句

裏木戸を鳴らしてきたり秋の風(大渕 洋)

文机の木目秋日の照り翳り(稲葉 京閑)

満月や原爆ドーム皓皓と(竹俣 修)

空つぽのウスターソース鱗雲(鈴木由里子)

香り来るこゝですこゝと金木犀(下境 洋子)

雨上がり新聞受けに虫の声(安部 吞歩)

夕刊のインクの匂ひ酔芙蓉(小暮 肇)

ことごとく闇に沈めて虫時雨(星野 裕子)

山雨来て花野の彩を濃くしたる(星野 裕子)

屋敷墓一族こぞる秋彼岸(太田 直史)

山住や部屋にばつたの跳ねてをり(岩佐 晴子)

花すすき光の中へ撓みけり(木村 佑)

燃え尽きる力残して曼珠沙華(木暮陶句郎)


1点句

文机の反故紙散らし初嵐(大渕 洋)

邯鄲のはかなき夢を見て鳴けり(中島 圭子)

雲切れ目嶺の切れ目の秋日濃し(稲葉 京閑)

花野行く虫の視点にときめきて(稲葉 京閑)

月光の雲間に望むジャンダルム(竹俣 修)

鶏頭やビロードのごと肌ざわり(高橋ちとせ)

慎ましく主張してをり吾亦紅(高橋ちとせ)

黒猫を抱いた女の夢二の忌(高橋ちとせ)

肌寒や一枚羽織りて厨立つ(高橋ちとせ)

ヴギウギのリズムに乗りて夜学の子(鈴木由里子)

秋思かな一塊のパンを切る(鈴木由里子)

玉の汗視界開けて安達太良山(下境 洋子)

軽やかに下駄の音する花火の夜(清水 檀)

あれこれと想ひ畳める秋扇(清水 檀)

台風の迷走やまぬ暴風雨(森田 遊馬)

大衆は気軽に買えぬ秋刀魚かな(佐々木一栗)

揉め事をまあるく治める月夜かな(佐々木一栗)

頬杖の土偶の虚ろ牛膝(太田 直史)

花芒野面積なる一夜城(太田 直史)

こほろぎの所在なさげに昼下がり(岩佐 晴子)

夫の寝て私一人の虫の声(岩佐 晴子)

秋空と青の濃淡島と海(岩佐 晴子)

十六夜の渚に果つる銀波かな(木村 佑)

とんぼうの手前の空と奥の空(木村 佑)

鬼灯を鳴らす口もと見つめられ(堤 かがり)

線香の煙ゆるがず彼岸花(堤 かがり)

爽やかに行進曲の風にのり(堤 かがり)

秋の蝉まづ腸を喰われをり(山本 彩)

秋の夜や猫のいびきと秒針と(山本 彩)

三次元使ひ果たしてゐる蜻蛉(木暮陶句郎)

力抜くことこそ大事秋の雲(木暮陶句郎)

やり直し効かぬ人生鰯雲(杉山 加織)


互選結果

◎大渕洋 選

(23) 邯鄲のはかなき夢を見て鳴けり

(53) あれこれと想ひ畳める秋扇

(79) 十六夜の渚に果つる銀波かな

(87) 花野行く虫の視点にときめきて

(104) 青蜜柑放られて恋始まりぬ


◎下境洋子 選

(1) 秋だからそれだけで行く旧国道

(16) 花すすき光の中へ撓みけり

(38) 鬼灯を鳴らす口もと見つめられ

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎竹俣修 選

(28) 玉の汗視界開けて安達太良山

(47) 黒猫を抱いた女の夢二の忌

(56) 屋敷墓一族こぞる秋彼岸

(68) 肌寒や一枚羽織りて厨立つ

(102) 秋の夜や猫のいびきと秒針と


◎木村佑 選

(41) 燃え尽きる力残して曼珠沙華

(59) 吾が影を横切る魚水澄めリ

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(94) 山雨来て花野の彩を濃くしたる

(101) 爽やかに行進曲の風にのり


◎堤かがり 選

(48) 伝言板復活したり小鳥来る

(50) 雨上がり新聞受けに虫の声

(58) 秋の夜の灯りをつけてより一人

(83) 力抜くことこそ大事秋の雲

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎岩佐晴子 選

(9) 新涼や白衣新たな研究者

(26) 慎ましく主張してをり吾亦紅

(48) 伝言板復活したり小鳥来る

(76) 揉め事をまあるく治める月夜かな

(104) 青蜜柑放られて恋始まりぬ


◎小暮肇 選

(15) こほろぎの所在なさげに昼下がり

(50) 雨上がり新聞受けに虫の声

(59) 吾が影を横切る魚水澄めリ

(60) 鈴虫やことわりもなく膝に猫

(84) やり直し効かぬ人生鰯雲


◎鈴木由里子 選

(9) 新涼や白衣新たな研究者

(17) 鰯雲引越し先は隣町

(46) 満月や原爆ドーム皓皓と

(59) 吾が影を横切る魚水澄めリ

(64) 文机の反故紙散らし初嵐


◎高橋ちとせ 選

(3) 文机の木目秋日の照り翳り

(11) 軽やかに下駄の音する花火の夜

(17) 鰯雲引越し先は隣町

(41) 燃え尽きる力残して曼珠沙華

(93) 夕刊のインクの匂ひ酔芙蓉


◎中島圭子 選

(1) 秋だからそれだけで行く旧国道

(14) 頬杖の土偶の虚ろ牛膝

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(92) 星流る恐竜の声聞いたはず

(104) 青蜜柑放られて恋始まりぬ


◎星野裕子 選

(20) 三次元使い果たしてゐる蜻蛉

(46) 満月や原爆ドーム皓皓と

(58) 秋の夜の灯りをつけてより一人

(92) 星流る恐竜の声聞いたはず

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎小須賀正幸 選

(5) 鶏頭やビロードのごと肌ざわり

(18) 秋の蝉まづ腸を喰われをり

(27) 空つぽのウスターソース鱗雲

(36) 夫の寝て私一人の虫の声

(78) 山住や部屋にばつたの跳ねてをり


◎清水檀 選

(16) 花すすき光の中へ撓みけり

(60) 鈴虫やことわりもなく膝に猫

(73) 木の実降る言の葉あふれ来る如く

(93) 夕刊のインクの匂ひ酔芙蓉

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎稲葉京閑 選

(16) 花すすき光の中へ撓みけり

(60) 鈴虫やことわりもなく膝に猫

(73) 木の実降る言の葉あふれ来る如く

(93) 夕刊のインクの匂ひ酔芙蓉

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎森田遊馬 選

(22) 裏木戸を鳴らしてきたり秋の風

(58) 秋の夜の灯りをつけてより一人

(67) 月光の雲間に望むジャンダルム

(70) 香り来るこゝですこゝと金木犀

(98) 花芒野面積なる一夜城


◎太田直史 選

(3) 文机の木目秋日の照り翳り

(45) 雲切れ目嶺の切れ目の秋日濃し

(57) 秋空と青の濃淡島と海

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(78) 山住や部屋にばつたの跳ねてをり


◎山本彩 選

(27) 空つぽのウスターソース鱗雲

(31) ことごとく闇に沈めて虫時雨

(58) 秋の夜の灯りをつけてより一人

(90) 秋思かな一塊のパンを切る

(92) 星流る恐竜の声聞いたはず


◎安部吞歩 選

(60) 鈴虫やことわりもなく膝に猫

(69) ヴギウギのリズムに乗りて夜学の子

(70) 香り来るこゝですこゝと金木犀

(73) 木の実降る言の葉あふれ来る如く

(104) 青蜜柑放られて恋始まりぬ


◎佐々木一栗 選

(48) 伝言板復活したり小鳥来る

(60) 鈴虫やことわりもなく膝に猫

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(100) とんぼうの手前の空と奥の空

(105) その奥の彼の世透かして曼珠沙華


◎佐藤聡 選

(1) 秋だからそれだけで行く旧国道

(13) 大衆は気軽に買えぬ秋刀魚かな

(56) 屋敷墓一族こぞる秋彼岸

(75) 台風の迷走やまぬ暴風雨

(80) 線香の煙ゆるがず彼岸花


◎杉山加織 選

(9) 新涼や白衣新たな研究者

(17) 鰯雲引越し先は隣町

(62) 農協の帽誇らしく案山子立つ

(73) 木の実降る言の葉あふれ来る如く

(100) とんぼうの手前の空と奥の空

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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