令和4年6月 月例インターネット句会 Vol.124

木暮陶句郎 選

◎特選 11句

時の日やかつてはめてた腕時計(松本由美子)

虹消えてピカソの青が現るる(星野 裕子)

万緑やブナの木肌の艶めきぬ(安部じゅん)

夫酔ひて腹に掛けたる夏布団(堤 かがり)

水辺恋ふ思ひは青葉風に似て(稲葉 京閑)

階段を踏み外すとき昼寝覚む(下境 洋子)

飛魚の背に空の色海の色(木村 佑)

ハンモック雲に飛び乗る心地かな(星野 裕子)

緑蔭や祠の中の願い石(安部じゅん)

抜きん出る時風に逢う青薄(稲葉 京閑)

取り敢えず冷凍してしまえバナナ(小須賀正幸)


○入選 27句

夏咽ぶ夜風になりぬ歌舞伎町(鈴木由里子)

小吉の人生で好し蛍飛ぶ(岩佐 晴子)

曇り止め効かぬ鏡や梅雨の宿(杉山 加織)

藩主に添う殉死の墓や夏あざみ(竹俣 修)

菖蒲湯や傘寿の父と語り合う(佐藤 聡)

芍薬や水あげ丸く広がりぬ(高橋ちとせ)

紙風船息が四角になってゆく(星野 裕子)

足止めて汗拭いまた歩きけり(森田 遊馬)

句碑いくつ湖へ傾るる夏木立(太田 直史)

入れ換へる額の裏にも黴潜み(岩佐 晴子)

青芒君は笛吹く転校子(安部じゅん)

網戸してこころ落ち着く夜風かな(堤 かがり)

さみだるる記憶ハスキーのシンガー(杉山 加織)

昼寝覚重力強き午後三時(大渕 洋)

薫風や小人の国のやうな庭(松本由美子)

雨もいや年取るもいや濃紫陽花(下境 洋子)

皺の手に十薬の香の濃くありぬ(木村 佑)

軟弱な上腕白く更衣(大渕 洋)

白萩と呼ばれ愛され晶子の忌(中島 圭子)

エメラルド色の風飲むソーダ水(星野 裕子)

秘やかに湖畔の躑躅咲きにけり(下境 洋子)

南風吹く谷中銀座のメンチカツ(木村 佑)

フロントへ交換たのむ宿浴衣(大渕 洋)

夏川と君の瞳の透明度(佐々木一栗)

喉潤ふ古民家カフェのレモネード(松本由美子)

夏蝶や植ゑ替へられた花時計(小暮 肇)

百足虫出づ熊目撃の回覧も(岩佐 晴子)

飛び込みて魚となりぬ夏の川(堤 かがり)

階の罅へ夏草立ちにけり(木村 佑)


互選

7点句

紙風船息が四角になってゆく(星野 裕子)


6点句

飛魚の背に空の色海の色(木村 佑)


5点句

南風吹く谷中銀座のメンチカツ(木村 佑)


4点句

白シャツの風を集めてゐる渚(木暮陶句郎)


3点句

夕端居父にこの座の在つたやら(大渕 洋)

風薫る百名山に百の空(佐藤 聡)

無防備になげだす腕や更衣(佐々木一栗)

虹消えてピカソの青が現るる(星野 裕子)

エメラルド色の風飲むソーダ水(星野 裕子)

階の罅へ夏草立ちにけり(木村 佑)

六点の影を従へ水馬(井野 紫)

青芝を蹴つてナイキもアディダスも(木暮陶句郎)

雨止みし朝の十薬明かりかな(木暮陶句郎)

青嵐地球一掃してゆけり(杉山 加織)


2点句

ベランダに知らぬ鳥来てアンドゥトワ(中島 圭子)

異次元に入りし気分や麦の秋(清水 檀)

小吉の人生で好し蛍飛ぶ(岩佐 晴子)

万緑やブナの木肌の艶めきぬ(安部じゅん)

網戸してこころ落ち着く夜風かな(堤 かがり)

うなぎ屋の一匹逃げて暖簾のう(木村 佑)

皺の手に十薬の香の濃くありぬ(木村 佑)

夕まぐれ間伸びしてゐる蟻の影(井野 紫)

濡れ色の灯を滲ませて梅雨の街(木暮陶句郎)

ダンサーの白シャツに魂透けゐたり(杉山 加織)


1点句

藩主に添う殉死の墓や夏あざみ(竹俣 修)

十薬や一服の間の庭に見ゆ(竹俣 修)

おほぶりのメロン頬張る上戸かな(中島 圭子)

菖蒲湯や傘寿の父と語り合う(佐藤 聡)

老いてなほ恋仇あり鉄線花(佐々木一栗)

六月やさみしさにまた横向ひて(佐々木一栗)

芍薬や水あげ丸く広がりぬ(高橋ちとせ)

利根川の水かさ増えて梅雨に入る(高橋ちとせ)

金銀の栄華に縋るすいかづら(稲葉 京閑)

水辺恋ふ思ひは青葉風に似て(稲葉 京閑)

緑陰の静寂浮きくる鯉の口(稲葉 京閑)

夏来る鎮守の森の霊芝かな(松本由美子)

薫風や小人の国のやうな庭(松本由美子)

単衣さらり着付けて夕の街(清水 檀)

どくだみの咽せるにほひも画仙紙に(清水 檀)

雨音はピアノの調べ梅雨のカフェ(清水 檀)

水無月や腕も時計も重くなる(星野 裕子)

夏咽ぶ夜風になりぬ歌舞伎町(鈴木由里子)

また変はる恋人とゐる夏の朝(鈴木由里子)

鉛筆の転がり出して三尺寝(鈴木由里子)

ハンカチを振る仔にひかる涙かな(森田 遊馬)

足止めて汗拭いまた歩きけり(森田 遊馬)

君を待つ窓の外には七変化(小暮 肇)

入れ換へる額の裏にも黴潜み(岩佐 晴子)

青芒君は笛吹く転校子(安部じゅん)

緑蔭や祠の中の願ひ石(安部じゅん)

夏の空球児の声の轟ぬ(井野 紫)

帰り路夏の夕陽を真横から(井野 紫)

白球を日焼けの顔が追ひ駆ける(井野 紫)

腹這ひの猫点々と夕薄暑(杉山 加織)


互選結果

◎佐藤聡 選

(10) 虹消えてピカソの青が現るる

(15) 君を待つ窓の外には七変化

(29) 芍薬や水あげ丸く広がりぬ

(34) また変はる恋人とゐる夏の朝

(45) 白シャツの風を集めてゐる渚


◎岩佐晴子 選

(7) 金銀の栄華に縋るすいかづら

(19) うなぎ屋の一匹逃げて暖簾のう

(25) 藩主に添う殉死の墓や夏あざみ

(68) 青芝を蹴つてナイキもアディダスも

(101) 雨音はピアノの調べ梅雨のカフェ


◎星野裕子 選

(32) 異次元に入りし気分や麦の秋

(54) 薫風や小人の国のやうな庭

(69) ダンサーの白シャツに魂透けゐたり

(91) 濡れ色の灯を滲ませて梅雨の街

(115) 青嵐地球一掃してゆけり


◎稲葉京閑 選

(11) 夏咽ぶ夜風になりぬ歌舞伎町

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(45) 白シャツの風を集めてゐる渚

(79) エメラルド色の風飲むソーダ水

(111) 階の罅へ夏草立ちにけり


◎小暮肇 選

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(44) 夏の空球児の声の轟ぬ

(88) 南風吹く谷中銀座のメンチカツ

(90) 六点の影を従へ水馬

(115) 青嵐地球一掃してゆけり


◎大渕洋 選

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(68) 青芝を蹴つてナイキもアディダスも

(90) 六点の影を従へ水馬

(99) 抜きん出る時風に逢う青薄

(111) 階の罅へ夏草立ちにけり


◎竹俣修 選

(40) 青芒君は笛吹く転校子

(50) 風薫る百名山に百の空

(53) 緑陰の静寂浮きくる鯉の口

(67) 帰り路夏の夕陽を真横から

(113) 白球を日焼けの顔が追ひ駆ける


◎堤かがり 選

(39) 入れ換へる額の裏にも黴潜み

(45) 白シャツの風を集めてゐる渚

(50) 風薫る百名山に百の空

(55) どくだみの咽せるにほひも画仙紙に

(114) 雨止みし朝の十薬明かりかな


◎松本由美子 選

(10) 虹消えてピカソの青が現るる

(45) 白シャツの風を集めてゐる渚

(63) 緑蔭や祠の中の願い石

(74) 無防備になげだす腕や更衣

(80) 鉛筆の転がり出して三尺寝


◎太田直史 選

(1) 夕端居父にこの座の在ったやら

(3) ベランダに知らぬ鳥来てアンドゥトワ

(21) 夕まぐれ間伸びしている蟻の影

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(91) 濡れ色の灯を滲ませて梅雨の街


◎佐々木一栗 選

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(56) ハンモック雲に飛び乗る心地かな

(68) 青芝を蹴つてナイキもアディダスも

(92) 腹這ひの猫点々と夕薄暑


◎下境洋子 選

(1) 夕端居父にこの座の在ったやら

(32) 異次元に入りし気分や麦の秋

(69) ダンサーの白シャツに魂透けゐたり

(74) 無防備になげだす腕や更衣

(88) 南風吹く谷中銀座のメンチカツ


◎中島圭子 選

(19) うなぎ屋の一匹逃げて暖簾のう

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(88) 南風吹く谷中銀座のメンチカツ

(90) 六点の影を従へ水馬

(111) 階の罅へ夏草立ちにけり


◎高橋ちとせ 選

(1) 夕端居父にこの座の在ったやら

(16) 小吉の人生で好し蛍飛ぶ

(17) 万緑やブナの木肌の艶めきぬ

(41) 網戸してこころ落ち着く夜風かな

(65) 皺の手に十薬の香の濃くありぬ


◎清水檀 選

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(65) 皺の手に十薬の香の濃くありぬ

(88) 南風吹く谷中銀座のメンチカツ

(115) 青嵐地球一掃してゆけり


◎井野紫 選

(9) 単衣さらり着付けて夕の街

(16) 小吉の人生で好し蛍飛ぶ

(28) 老ひてなほ恋仇あり鉄線花

(50) 風薫る百名山に百の空

(114) 雨止みし朝の十薬明かりかな


◎木村佑 選

(10) 虹消えてピカソの青が現るる

(21) 夕まぐれ間伸びしている蟻の影

(30) 水辺恋ふ思ひは青葉風に似て

(74) 無防備になげだす腕や更衣

(114) 雨止みし朝の十薬明かりかな


◎小須賀正幸 選

(17) 万緑やブナの木肌の艶めきぬ

(31) 夏来る鎮守の森の霊芝かな

(41) 網戸してこころ落ち着く夜風かな

(52) 利根川の水かさ増えて梅雨に入る

(71) 十薬や一服の間の庭に見ゆ


◎鈴木由里子 選

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(51) 六月やさみしさにまた横向ひて

(79) エメラルド色の風飲むソーダ水

(102) 水無月や腕も時計も重くなる


◎金子幸藏 選

(3) ベランダに知らぬ鳥来てアンドゥトワ

(13) ハンカチを振る仔にひかる涙かな

(27) 菖蒲湯や傘寿の父と語り合う

(36) 足止めて汗拭いまた歩きけり

(49) おほぶりのメロン頬張る上戸かな


◎杉山加織 選

(22) 初恋の残像白シャツの残像

(33) 紙風船息が四角になってゆく

(42) 飛魚の背に空の色海の色

(79) エメラルド色の風飲むソーダ水

(88) 南風吹く谷中銀座のメンチカツ

ひろそ火 句会.com

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