令和4年5月 月例インターネット句会 Vol.123

木暮陶句郎 選

◎特選 11句

マーガレット少女の恋のやうに揺れ(清水 檀)

ポケットは夢でふくらむ子供の日(佐々木一栗)

矢車のひとつ回らぬ空の罅(中島 圭子)

老鶯の声せせらぎを伴奏に(岩佐 晴子)

飲み干して記憶塗り替へソーダ水(杉山 加織)

母の日やすがりつきたる割烹着(堤 かがり)

母の日の空のティファニーブルーかな(ななさと紅緒)

夏めくや影の透けたる白シーツ(杉山 加織)

燥ぐ子に急かされて行く祭かな(堤 かがり)

引潮のさらふ足跡夕薄暑(佐々木一栗)

桐の花ロケの舞台の長屋門(太田 直史)


○入選 26句

新緑や赤子の笑ふ乳母車(小暮 肇)

更衣してネクタイを解き放す(堤 かがり)

軽暖やロンドンバスの心地よく(鈴木由里子)

石楠花を縫うて新婦の小走りに(里村 閑)

群れ咲きて風を呼びけり姫女苑(清水 檀)

夏めきて恋は加速度増してをり(佐々木一栗)

法螺貝や奥千本も花は葉に(太田 直史)

草笛や川の向かうの土手あたり(堤 かがり)

夕さればまろき浜風鯵を干す(木村 佑)

新茶汲む母の手の皺わらひ皺(ななさと紅緒)

鯉のぼり仕舞ふころほひ勇み立つ(中島 圭子)

春惜しむショートボブへと変はる君(小暮 肇)

万緑や風を切りゆく山ガール(下境 洋子)

背中にはバット右手にカーネーション(木村 佑)

上州の空塗り替へて夏燕(鈴木由里子)

午後からは半袖でよし夏隣(高橋ちとせ)

薫風や揺り椅子に聴くカンッオーネ(稲葉 京閑)

鳥居立つ鳥獣保護区青葉光(佐々木一栗)

かくれんぼ厠の裏に著峩の花(岩佐 晴子)

行く春を天目碗にまはしけり(ななさと紅緒)

PKに息を殺すや青蛙(里村 閑)

風の香の透き高原の夏蕨(杉山 加織)

石楠花のざんげ橋とふ橋渡る(中島 圭子)

若者の腕の白さや夏来たる(清水 檀)

若葉風ささくれの身の丸洗ひ(下境 洋子)

花栗の噎せる頃には兄戻る(小須賀正幸)

風強き町に育ちぬ鯉のぼり(ななさと紅緒)

今年また同じ服より更衣(杉山 加織)


互選

7点句

ポケットは夢でふくらむ子供の日(佐々木一栗)


5点句

行く春を天目碗にまはしけり(ななさと紅緒)


4点句

新茶汲む母の手の皺わらひ皺(ななさと紅緒)

星屑に触れて矢車止まりけり(木暮陶句郎)

風に肘少し尖りて更衣(木暮陶句郎)


3点句

矢車のひとつ回らぬ空の罅(中島 圭子)

春惜しむショートボブへと変はる君(小暮 肇)

風強き町に育ちぬ鯉のぼり(ななさと紅緒)

風薫る的を捉えし弓の音(佐々木一栗)

引潮のさらふ足跡夕薄暑(佐々木一栗)

春耕や夫は赤城を掘り上げて(下境 洋子)

上州の空塗り替へて夏燕(鈴木由里子)

籐椅子の軋みて過去を呼びにけり(木暮陶句郎)

想ひ出に香のあるならば若葉風(杉山 加織)

夏めくや影の透けたる白シーツ(杉山 加織)

後戻り出来ぬ人生蝸牛(星野 裕子)


2点句

七色の紙のうろこや鯉のぼり(竹俣 修)

おもむろに背筋を伸ばし団子蟲(稲葉 京閑)

大口は元気の証鯉幟(稲葉 京閑)

マーガレット少女の恋のやうに揺れ(清水 檀)

万緑や風を切りゆく山ガール(下境 洋子)

母の日やすがりつきたる割烹着(堤 かがり)

夕さればまろき浜風鯵を干す(木村 佑)

背中にはバット右手にカーネーション(木村 佑)

「女心教えてあげる」雨蛙(里村 閑)


1点句

路地裏のポンポンダリア婆の家(竹俣 修)

隅隅にサックスの宵初夏の宿(中島 圭子)

石楠花のざんげ橋とふ橋渡る(中島 圭子)

午後からは半袖でよし夏隣(高橋ちとせ)

腕にぶら下がりたがる子さくらんぼ(稲葉 京閑)

母の日や母と呼ばれし事のなく(清水 檀)

水を得たやうに大空鯉のぼり(清水 檀)

若者の腕の白さや夏来たる(清水 檀)

新緑や赤子の笑ふ乳母車(小暮 肇)

鳥居立つ鳥獣保護区青葉光(佐々木一栗)

咲き初むるつゝじ初恋は遠き日(下境 洋子)

さわやかな新茶の薫る茶舗の道(森田 遊馬)

ラジオから新茶の話題香り立つ(森田 遊馬)

かくれんぼ厠の裏に著峩の花(岩佐 晴子)

著峩の花一夜城址を埋め尽くす(岩佐 晴子)

法螺貝や奥千本も花は葉に(太田 直史)

更衣してネクタイを解き放す(堤 かがり)

草笛や川の向かうの土手あたり(堤 かがり)

麦の穂の黄金色こそウクライナ(安部じゅん)

風波の光り輝く立夏かな(木村 佑)

月涼し雲を近づけ遠ざけて(木村 佑)

髪洗ひ渋川駅へ迎へゆく(小須賀正幸)

テキト―という確かさよ母の日来(ななさと紅緒)

いつの間にか露台の風が本を読む(里村 閑)

呼ぶ声も飛ばされ初夏の風岬(木暮陶句郎)

飲み干して記憶塗り替へソーダ水(杉山 加織)

今年また同じ服より更衣(杉山 加織)

百色の若葉を巡り風無色(星野 裕子)

葉桜や木洩れ日といふ星零す(星野 裕子)

更衣へて私海へ行くつもり(星野 裕子)


互選結果

◎稲葉京閑 選

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(20) 星屑に触れて矢車止まりけり

(42) 籐椅子の軋みて過去を呼びにけり

(49) 母の日や母と呼ばれし事のなく

(108) 風に肘少し尖りて更衣


◎星野裕子 選

(5) マーガレット少女の恋のやうに揺れ

(24) 矢車のひとつ回らぬ空の罅

(42) 籐椅子の軋みて過去を呼びにけり

(65) 夏めくや影の透けたる白シーツ

(90) 石楠花のざんげ橋とふ橋渡る


◎小暮肇 選

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(26) 乳牛の咀嚼のリズム夏に入る

(53) 万緑や風を切りゆく山ガール

(60) 髪洗ひ渋川駅へ迎えゆく

(62) 上州の空塗り替へて夏燕


◎鈴木由里子 選

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(13) 更衣してネクタイを解き放す

(52) 風薫る的を捉えし弓の音

(105) 風強き町に育ちぬ鯉のぼり

(108) 風に肘少し尖りて更衣


◎中島圭子 選

(9) 春耕や夫は赤城を掘り上げて

(20) 星屑に触れて矢車止まりけり

(37) 夕さればまろき浜風鯵を干す

(39) 新茶汲む母の手の皺わらひ皺

(83) 行く春を天目碗にまはしけり


◎太田直史 選

(21) 想ひ出に香のあるならば若葉風

(39) 新茶汲む母の手の皺わらひ皺

(57) 母の日やすがりつきたる割烹着

(66) 百色の若葉を巡り風無色

(86) 呼ぶ声も飛ばされ初夏の風岬


◎小須賀正幸 選

(4) おもむろに背筋を伸ばし団子蟲

(5) マーガレット少女の恋のやうに揺れ

(26) 乳牛の咀嚼のリズム夏に入る

(53) 万緑や風を切りゆく山ガール

(107) 「女心教えてあげる」雨蛙


◎竹俣修 選

(21) 想ひ出に香のあるならば若葉風

(35) 草笛や川の向かうの土手あたり

(51) 春惜しむショートボブへと変はる君

(62) 上州の空塗り替へて夏燕

(83) 行く春を天目碗にまはしけり


◎岩佐晴子 選

(48) 腕にぶら下がりたがる子さくらんぼ

(51) 春惜しむショートボブへと変はる君

(52) 風薫る的を捉えし弓の音

(62) 上州の空塗り替へて夏燕

(83) 行く春を天目碗にまはしけり


◎木村佑 選

(30) 夏めきて恋は加速度増してをり

(39) 新茶汲む母の手の皺わらひ皺

(88) 葉桜や木洩れ日といふ星零す

(93) 若者の腕の白さや夏来たる

(110) 更衣へて私海へ行くつもり


◎高橋ちとせ 選

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(17) テキト―という確かさよ母の日来

(32) ラジオから新茶の話題香り立つ

(81) 風波の光り輝く立夏かな

(96) 引潮のさらふ足跡夕薄暑


◎清水檀 選

(1) 七色の紙のうろこや鯉のぼり

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(22) 後戻り出来ぬ人生蝸牛

(41) いつの間にか露台の風が本を読む

(108) 風に肘少し尖りて更衣


◎下境洋子 選

(4) おもむろに背筋を伸ばし団子蟲

(22) 後戻り出来ぬ人生蝸牛

(43) 飲み干して記憶塗り替へソーダ水

(51) 春惜しむショートボブへと変はる君

(71) 水を得たやうに大空鯉のぼり


◎ななさと紅緒 選

(9) 春耕や夫は赤城を掘り上げて

(20) 星屑に触れて矢車止まりけり

(26) 乳牛の咀嚼のリズム夏に入る

(99) 著峩の花一夜城址を埋め尽くす

(103) 月涼し雲を近づけ遠ざけて


◎里村閑 選

(30) 夏めきて恋は加速度増してをり

(83) 行く春を天目碗にまはしけり

(89) 路地裏のポンポンダリア婆の家

(92) 大口は元気の証鯉幟

(96) 引潮のさらふ足跡夕薄暑


◎堤かがり 選

(9) 春耕や夫は赤城を掘り上げて

(52) 風薫る的を捉えし弓の音

(65) 夏めくや影の透けたる白シーツ

(105) 風強き町に育ちぬ鯉のぼり

(108) 風に肘少し尖りて更衣


◎大渕洋 選

(21) 想ひ出に香のあるならば若葉風

(37) 夕さればまろき浜風鯵を干す

(83) 行く春を天目碗にまはしけり

(105) 風強き町に育ちぬ鯉のぼり

(109) 今年また同じ服より更衣


◎安部じゅん 選

(22) 後戻り出来ぬ人生蝸牛

(59) 背中にはバット右手にカーネーション

(75) 咲き初むるつゝじ初恋は遠き日

(92) 大口は元気の証鯉幟

(107) 「女心教えてあげる」雨蛙


◎佐々木一栗 選

(2) 隅隅にサックスの宵初夏の宿

(39) 新茶汲む母の手の皺わらひ皺

(59) 背中にはバット右手にカーネーション

(65) 夏めくや影の透けたる白シーツ

(102) 麦の穂の黄金色こそウクライナ


◎森田遊馬 選

(24) 矢車のひとつ回らぬ空の罅

(34) 法螺貝や奥千本も花は葉に

(69) 午後からは半袖でよし夏隣

(77) かくれんぼ厠の裏に著峩の花

(96) 引潮のさらふ足跡夕薄暑


◎杉山加織 選

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(20) 星屑に触れて矢車止まりけり

(42) 籐椅子の軋みて過去を呼びにけり

(57) 母の日やすがりつきたる割烹着

(74) 鳥居立つ鳥獣保護区青葉光


◎佐藤聡 選

(1) 七色の紙のうろこや鯉のぼり

(2) 隅隅にサックスの宵初夏の宿

(7) 新緑や赤子の笑ふ乳母車

(8) ポケットは夢でふくらむ子供の日

(10) さわやかな新茶の薫る茶舗の道


「令和4年5月 ひろそ火インターネット句会 Vol.123」投句者数22名、選句者数23名。

結果は2022年ひろそ火6月号に掲載予定です。

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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