平成29年12月 月例インターネット句会 Vol.70結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

モナリザの手に動かざる冬の蝿(星野 裕子)

冬夕焼ぶだう畑の急斜面(中野 千秋)

一本が広げる世界毛糸編む(岩佐 晴子)

春星忌かくんと閉ぢし貝の口(星野 裕子)

寒風や生きる実感頬にあり(岩佐 晴子)

一匙の砂糖下さい冬銀河(鈴木由里子)

坂道を漕ぎて少年息白し(安部じゅん)

テレピンの匂ふアトリエ冬薔薇(鈴木由里子)


〇入選 25句 

静けさに淋しさ重ね夜半の雪(星野 裕子)

凍結の大地を走り根が抱く(稲葉 京閑)

ワイナリーその奥はカフェ山眠る(中野 千秋)

数へ日の投資話の頓挫して(杉山 加織)

前向きに生きる一日や小六月(清水 檀)

出航の笑顔弾ける小春かな(稲葉 京閑)

手水鉢秘密閉じ込め初氷(岩佐 晴子)

力なき日を支へをり枯木立(椎名 桂秀)

待つ日々は幸せの日々冬木の芽(はたのとしはる)

奥信濃朝日に霜を解きにけり(清水 檀)

冬の蝶ピカソの青の中に消ゆ(星野 裕子)

解き放つ繋留ロープ波止小春(稲葉 京閑)

冬晴やビルを映してビルの窓(中野 千秋)

悪者のみな死ぬ噺きつね啼く(ななさと紅緒)

本能に遊ぶ子どもよ雪催い(鈴木由里子)

じやんけんぽんおしくらまんじゆうふゆぎのめ(はたのとしはる)

写実画の色彩暗き十二月(稲葉 京閑)

白妙の雪に眠るやブナの森(安部じゅん)

年忘れ今さら聞けぬ名前かな(ななさと紅緒)

石投げて硬き音する冬の川(堤 かがり)

息白く湯町の星と語りつつ(杉山 加織)

冬晴や五十二階のティールーム(中野 千秋)

イヤリング赤き片方雪の道(岩佐 晴子)

廃坑に屹然と立つ大冬木(椎名 桂秀)

ほろ酔ひて夢路に遊ぶ膝毛布(はたのとしはる)


互選

5票

モナリザの手に動かざる冬の蝿(星野 裕子)

画材屋の古きレジなり冬薔薇(鈴木由里子)


4票

冬芽みな祈りの形崩さざる(木暮陶句郎)


3票

ワイナリーその奥はカフェ山眠る(中野 千秋)

冬晴やビルを映してビルの窓(中野 千秋)

紙漉の水の一瞬怒涛めく(木暮陶句郎)

初雪や靴跡罪のごとくある(木暮陶句郎)


2票

春星忌かくんと閉ぢし貝の口(星野 裕子)

手水鉢秘密閉じ込め初氷(岩佐 晴子)

いつせいに電飾ともる五時師走(椎名 桂秀)

力なき日を支へをり枯木立(椎名 桂秀)

一匙の砂糖下さい冬銀河(鈴木由里子)

待つ日々は幸せの日々冬木の芽(はたのとしはる)

眉月の切つ先尖る霜の夜(木暮陶句郎)

ポインセチア胸を焦がせる人と居て(杉山 加織)


1票

前向きに生きる一日や小六月(清水 檀)

冬の蝶ピカソの青の中に消ゆ(星野 裕子)

半眼の仏の黙や年詰まる(稲葉 京閑)

冬夕焼ぶだう畑の急斜面(中野 千秋)

大奥のあたり冬日のあつまれり(中野 千秋)

冬晴や五十二階のティールーム(中野 千秋)

梟や芝居小屋ある祖父の家(安部じゅん)

悪者のみな死ぬ噺きつね啼く(ななさと紅緒)

くノ一のやうな嫁なり煤払(ななさと紅緒)

北風やらんぷのやうに日のゆれて(里村 閑)

サイレントナイトひとつ狐火うごきだす(里村 閑)

眉月を引つかけている大枯木(椎名 桂秀)

テレピンの匂ふアトリエ冬薔薇(鈴木由里子)

十まではかぞへられます柚湯かな(堤 かがり)

白菜のヒップずらりと姸競ふ(はたのとしはる)

ほろ酔ひて夢路に遊ぶ膝毛布(はたのとしはる)

窯出しの小さき残り火月冴ゆる(杉山 加織)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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