平成29年11月 月例インターネット句会 Vol.69結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 7句

狐火を誰も気づかず六本木(里村 閑)

マスクして何でも言つてしまひそう(中野 千秋)

漱石忌一灯ともす書斎かな(星野 裕子)

さりさりと鉛筆削る夜寒かな(ななさと紅緒)

木の実雨詩人は旅に行つたきり(中野 千秋)

林檎もぐ少年の空揺れやすし(星野 裕子)

まだ夢の途中下車なり冬銀河(星野 裕子)


〇入選 22句 

冬林檎置いて詩人の部屋らしく(中野 千秋)

未来へと委ねる命木の実落つ(清水 檀)

神無月バウムクーヘン芯は空(安部じゅん)

空き箱にたまるリボンや小鳥くる(ななさと紅緒)

落日に色うつりゆく芒原(椎名 桂秀)

不器用は吾だけで無く冬菫(鈴木由里子) 

ビル群のなかに城壁冬ぬくし(中野 千秋)

立冬の祈祷に受ける火伏札(稲葉 京閑)

せんべいに百人一首秋深し(鬼形 瑞枝)

神の旅積読の山くづれけり(ななさと紅緒)

枝折り戸に続く飛び石石蕗明かり(清水 檀)

廃宿の壁に広がる蔦紅葉(髙橋千登世)

舞台終了十一月の雨やさし(安部じゅん)

冬の山重ねて描くシルエット(水上 一葉)

過去ひかる冬のにほひを吸ひ込めば(杉山 加織)

十年分のほこり重たし冬銀河(鬼形 瑞枝)

分け入れば浮力生まれるる芒原(椎名 桂秀)

美辞麗句云わぬ家風や烏瓜(鈴木由里子)

鍋蓋の漏らすため息神の留守(杉山 加織)

マティーニに浮かんで溶けて冬灯(中野 千秋)

ゆりかもめ浮くといふより弾かれて(里村 閑)

偶然といふ必然や神渡(杉山 加織)


互選

6票

林檎もぐ少年の空揺れやすし(星野 裕子)


5票

冬林檎置いて詩人の部屋らしく(中野 千秋)

空き箱にたまるリボンや小鳥くる(ななさと紅緒)

解体の重機の爪や冬ざるる(木暮陶句郎)


4票

木の実雨詩人は旅に行つたきり(中野 千秋)

マティーニに浮かんで溶けて冬灯(中野 千秋)

冬もみぢ光の底を歩みけり(星野 裕子)

まだ夢の途中下車なり冬銀河(星野 裕子)


3票

マスクして何でも言つてしまひそう(中野 千秋)

時刻む音はもう過去冬立ちぬ(稲葉 京閑)

さりさりと鉛筆削る夜寒かな(ななさと紅緒)

銀杏散る影とぶつかる音立てて(木暮陶句郎)


2票

頂きし葉付き大根もてあまし(岩佐 晴子)

狐火を誰も気づかず六本木(里村 閑)

落日に色うつりゆく芒原(椎名 桂秀)

分け入れば浮力生まれるる芒原(椎名 桂秀)

白鳥を見に行く野良の無き日には(鈴木由里子)

初霜や命あるもの膨らみて(杉山 加織)

過去ひかる冬のにほひを吸ひ込めば(杉山 加織)


1票

立冬の祈祷に受ける火伏札(稲葉 京閑)

未来へと委ねる命木の実落つ(清水 檀)

枝折り戸に続く飛び石石蕗明かり(清水 檀)

食ひしばる事も人生冬薔薇(清水 檀)

廃宿の壁に広がる蔦紅葉(髙橋千登世)

自刃せし十六七歳ちちろ虫(鬼形 瑞枝)

ゆりかもめ浮くといふより弾かれて(里村 閑)

立冬や明日迎へる誕生日(水上 一葉)

たわわなる枝を残して柿落葉(堤 かがり)

みほとりの皆いとほしく冬に入る(ななさと紅緒)

還暦の自転車二台小春凪(ななさと紅緒)

芒野を走り抜けゆく銀の風(椎名 桂秀)

美辞麗句云わぬ家風や烏瓜(鈴木由里子)

身のどこか引き締まる音冬来る(杉山 加織)

鍋蓋の漏らすため息神の留守(杉山 加織)

偶然といふ必然や神渡(杉山 加織)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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