令和4年4月 月例インターネット句会 Vol.122

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

彼岸会や母に似てきたねと云はれ(下境 洋子)

壊れたるままのパソコン鳥雲に(里村 閑)

子供にも作れしゼリー日曜日(小須賀正幸)

山葵田の石に揺らめく水の影(中島 圭子)

澄みきつて桜になつてゆく私(星野 裕子)

発掘の九谷古窯やすみれ草(竹俣 修)

波音も春を深むるものとして(稲葉 京閑)

駄菓子屋で金の指輪を四月馬鹿(星野 裕子)

結局は味噌汁にする浅利かな(岩佐 晴子)

蕗の薹土の匂ひも混じりけり(大渕 洋)

渡されて回り続けし風車(堤 かがり)


〇入選 32句

コロナ禍の駅の接吻春の雷(竹俣 修)

牡丹の芽朽ち木のごとき幹の先(大渕 洋)

春疾風ジェットコースターの悲鳴(小暮 肇)

鉢植えをまた玄関に春の雪(岩佐 晴子)

ふらここの地面こすれて水溜り(堤 かがり)

木の根開く根曲り竹の待ち遠し(太田 直史)

春の田へ兵どものトラクター(大渕 洋)

昼月の弓厳然と雪の果(稲葉 京閑)

神々しき朝の洗礼雪柳(下境 洋子)

牧開き水も光も放つもの(鈴木由里子)

直進可桜蘂降る信号機(安部じゅん)

公園に眠るD 51朧月(佐々木一栗)

春惜しむ夫のスーツの捨てられず(堤 かがり)

言葉にも重さありけりさくら散る(杉山 加織)

囀りや無の一文字の小津の墓(太田 直史)

月曜のゴルフまたぞろ春の雨(森田 遊馬)

風光るダム湖バンジージャンプ台(中島 圭子)

ゴーカートのゴール祝ふ花吹雪(小暮 肇)

散り敷きて名残りの色や花の塵(清水 檀)

花びらの触れ合はずして花吹雪(岩佐 晴子)

夕朧巡回バスの客ひとり(佐々木一栗)

軸ほどに開けある花の書院かな(ななさと紅緒)

風光る京大数理工学部(安部じゅん)

桜蕊もう誰も居ぬ園に散る(清水 檀)

春風がリサのボサノバ運びをり(佐々木一栗)

敷石の雨に溺るる菫かな(里村 閑)

猫の餌催促される朝寝かな(堤 かがり)

朝の畑じゃが芋の芽が出たと夫(下境 洋子)

麗かや笑顔のメリーゴーランド(小暮 肇)

ロゼワイン越しの恋人春日めく(鈴木 由里子)

傘たたむ花屑はそのままにして(木村 佑)

野うさぎの貌して独活を齧りけり(ななさと紅緒)


互選

5点句

山葵田の石に揺らめく水の影(中島 圭子)

ラの音の転がるラッパ春の風(鈴木由里子)


4点句

囀りや無の一文字の小津の墓(太田 直史)

花びらの触れ合はずして花吹雪(岩佐 晴子)

傘たたむ花屑はそのままにして(木村 佑)

高原の水のにほひのレタスかな(ななさと紅緒)

野うさぎの貌して独活を齧りけり(ななさと紅緒)

筍の地球を破る穂先かな(木暮陶句郎)


3点句

波音も春を深むるものとして(稲葉 京閑)

牧開き水も光も放つもの(鈴木由里子)

新幹線春愁の黙運びをり(岩佐 晴子)

チューリップの高さに笑顔ならびけり(木村 佑)

よく笑ふ女弟子増え蝶の昼(杉山 加織)

母の立つ厨賑やかなる日永(杉山 加織)


2点句

石工屋ののみ音忙し雪解風(太田 直史)

駄菓子屋で金の指輪を四月馬鹿(星野 裕子)

一村を包み込むほど桃の花(中島 圭子)

眉尻の揃はぬ長さ春愁(中島 圭子)

散り敷きて名残りの色や花の塵(清水 檀)

蒲公英の空や綿毛の雲となり(佐々木一栗)

公園に眠るD 51朧月(佐々木一栗)

ふらここの地面こすれて水溜り(堤 かがり)

春愁や物置小屋の薄湿り(杉山 加織)

言葉にも重さありけりさくら散る(杉山 加織)

春埃大学ノートの走り書き(杉山 加織)


1点句

コロナ禍の駅の接吻春の雷(竹俣 修)

桜蘂降る届け書に署名する(竹俣 修)

発掘の九谷古窯やすみれ草(竹俣 修)

羽搏いて雉の高鳴き地震来る(太田 直史)

花の山ダム湖の底の託ち言(太田 直史)

大事すら些事と思ひぬ春の宵(稲葉 京閑)

松原の囀を聴く蕪村句碑(稲葉 京閑)

初投句震へる指に花吹雪(下境 洋子)

生きるとは偽善の連鎖桜散る(星野 裕子)

澄みきつて桜になつてゆく私(星野 裕子)

月曜のゴルフまたぞろ春の雨(森田 遊馬)

乗り越しに目をつぶろうよ春眠し(森田 遊馬)

母の手をひいてふらこここいでみせ(高橋ちとせ)

風光るダム湖バンジージャンプ台(中島 圭子)

春疾風ジェットコースターの悲鳴(小暮 肇)

鯉の群れ山となりけり春小川(小暮 肇)

麗かや笑顔のメリーゴーランド(小暮 肇)

行く春や子に向き合へぬ母も居て(鈴木由里子)

風光る京大数理工学部(安部じゅん)

春愁やワクチンの熱長引ける(安部じゅん)

夕朧巡回バスの客ひとり(佐々木一栗)

粟島の賑わう船や桜鯛(佐々木一栗)

花ひとひら通過列車を待つ座席(木村 佑)

街の音静もりてよりさくらちる(木村 佑)

就職といふステージや春の土(井野 紫)

うつかりと乗り間違えて花曇(井野 紫)

名も知らぬ人の石碑に花吹雪(井野 紫)

春惜しむ夫のスーツの捨てられず(堤 かがり)

猫の餌催促される朝寝かな(堤 かがり)

渡されて回り続けし風車(堤 かがり)

空堀を埋め尽くしたる諸葛菜(木暮陶句郎)


互選結果

◎稲葉京閑 選

(20) 高原の水のにほひのレタスかな

(34) 牧開き水も光も放つもの

(37) 新幹線春愁の黙運びをり

(60) 花びらの触れ合はずして花吹雪

(112)野うさぎの貌して独活を齧りけり


◎中島圭子 選

(4) 大事すら些事と思ひぬ春の宵

(22) 春愁や物置小屋の薄湿り

(48) 囀りや無の一文字の小津の墓

(69) 空堀を埋め尽くしたる諸葛菜

(108) 傘たたむ花屑はそのままにして


◎下境洋子 選

(34) 牧開き水も光も放つもの

(41) 就職といふステージや春の土

(55) 風光るダム湖バンジージャンプ台

(57) 行く春や子に向き合へぬ母も居て

(92) 筍の地球を破る穂先かな


◎小須賀正幸 選

(2) 石工屋ののみ音忙し雪解風

(20) 高原の水のにほひのレタスかな

(61) 夕朧巡回バスの客ひとり

(76) 乗り越しに目をつぶろうよ春眠し

(91) 春埃大学ノートの走り書き


◎岩佐晴子 選

(11) ラの音の転がるラッパ春の風

(22) 春愁や物置小屋の薄湿り

(38) 公園に眠るD 51朧月

(92) 筍の地球を破る穂先かな

(94) 花の山ダム湖の底の託ち言


◎竹俣修 選

(2) 石工屋ののみ音忙し雪解風

(42) 春惜しむ夫のスーツの捨てられず

(53) 月曜のゴルフまたぞろ春の雨

(75) 駄菓子屋で金の指輪を四月馬鹿

(114) 母の立つ厨賑やかなる日永


◎星野裕子 選

(11) ラの音の転がるラッパ春の風

(32) 山葵田の石に揺らめく水の影

(45) 言葉にも重さありけりさくら散る

(60) 花びらの触れ合はずして花吹雪

(104) 春愁やワクチンの熱長引ける


◎高橋ちとせ 選

(9) 一村を包み込むほど桃の花

(19) ふらここの地面こすれて水溜り

(64) うつかりと乗り間違えて花曇

(88) 猫の餌催促される朝寝かな

(110) 名も知らぬ人の石碑に花吹雪


◎太田直史 選

(15) 蒲公英の空や綿毛の雲となり

(32) 山葵田の石に揺らめく水の影

(59) 散り敷きて名残りの色や花の塵

(100) 母の手をひいてふらこここいでみせ

(114) 母の立つ厨賑やかなる日永


◎鈴木由里子 選

(33) 鯉の群れ山となりけり春小川

(37) 新幹線春愁の黙運びをり

(78) 眉尻の揃はぬ長さ春愁

(81) 風光る京大数理工学部

(102) 麗かや笑顔のメリーゴーランド


◎小暮肇 選

(20) 高原の水のにほひのレタスかな

(24) 桜蘂降る届け書に署名する

(34) 牧開き水も光も放つもの

(38) 公園に眠るD 51朧月

(85) チューリップの高さに笑顔ならびけり


◎里村閑 選

(20) 高原の水のにほひのレタスかな

(60) 花びらの触れ合はずして花吹雪

(70) 発掘の九谷古窯やすみれ草

(71) 羽搏ひて雉の高鳴き地震来る

(112) 野うさぎの貌して独活を齧りけり


◎堤かがり 選

(11) ラの音の転がるラッパ春の風

(32) 山葵田の石に揺らめく水の影

(85) チューリップの高さに笑顔ならびけり

(91) 春埃大学ノートの走り書き

(108) 傘たたむ花屑はそのままにして


◎大渕洋 選

(45) 言葉にも重さありけりさくら散る

(48) 囀りや無の一文字の小津の墓

(59) 散り敷きて名残りの色や花の塵

(78) 眉尻の揃はぬ長さ春愁

(114) 母の立つ厨賑やかなる日永


◎木村佑 選

(9) 一村を包み込むほど桃の花

(50) 松原の囀を聴く蕪村句碑

(52) 澄みきつて桜になつてゆく私

(73) 波音も春を深むるものとして

(107) 粟島の賑わう船や桜鯛


◎清水檀 選

(10) 春疾風ジェットコースターの悲鳴

(15) 蒲公英の空や綿毛の雲となり

(68) よく笑ふ女弟子増え蝶の昼

(92) 筍の地球を破る穂先かな

(112) 野うさぎの貌して独活を齧りけり


◎安部じゅん 選

(1) コロナ禍の駅の接吻春の雷

(29) 生きるとは偽善の連鎖桜散る

(48) 囀りや無の一文字の小津の墓

(74) 初投句震える指に花吹雪

(112) 野うさぎの貌して独活を齧りけり


◎ななさと紅緒 選

(11) ラの音の転がるラッパ春の風

(16) 花ひとひら通過列車を待つ座席

(68) よく笑ふ女弟子増え蝶の昼

(85) チューリップの高さに笑顔ならびけり

(92) 筍の地球を破る穂先かな


◎佐々木一栗 選

(19) ふらここの地面こすれて水溜り

(48) 囀りや無の一文字の小津の墓

(60) 花びらの触れ合はずして花吹雪

(68) よく笑ふ女弟子増え蝶の昼

(108) 傘たたむ花屑はそのままにして


◎井野紫 選

(32) 山葵田の石に揺らめく水の影

(37) 新幹線春愁の黙運びをり

(62) 街の音静もりてよりさくらちる

(73) 波音も春を深むるものとして

(108) 傘たたむ花屑はそのままにして


◎杉山加織 選

(11) ラの音の転がるラッパ春の風

(32) 山葵田の石に揺らめく水の影

(73) 波音も春を深むるものとして

(75) 駄菓子屋で金の指輪を四月馬鹿

(111) 渡されて回り続けし風車

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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