平成29年10月 月例インターネット句会 Vol.68結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 6句

ページ繰る指に寄り添ふ秋の声(杉山 加織)

命あるやうに転びて式部の実(清水 檀)

流されて透けゆく雲や天高し(堤 かがり)

赤福の金の看板天高し(中野 千秋)

名月や微かな電子音を聴く(稲葉 京閑)

鰯雲いつか離れていく子らも(椎名 桂秀)


〇入選 27句 

居酒屋のメニュー変はりて深む秋(星野 裕子)

萩散るやその一瞬を生き続け(稲葉 京閑)

秋薔薇けだるく甘い午後のこと(中野 千秋)

小鳥くる本の四隅に子の歯形(ななさと紅緒)

大楠は樹齢千年天高し(岩佐 晴子)

風生まれ芒の原の胎動す(椎名 桂秀)

言葉にはならず眼裏初紅葉(清水 檀)

虫時雨星空までも届きさう(星野 裕子)

屋根の猫尾を満月に伸ばしたり(鈴木由里子) 

仲秋の月に近づく飛機の影(稲葉 京閑)

少年少女の声まつすぐに愛の羽根(ななさと紅緒)

たてがみののごとくに靡く芒原(椎名 桂秀)

蕎麦すする最果ての駅雁渡し(ななさと紅緒)

身に入むや薬缶の水の沸けるまで(鈴木由里子)

閉ぢ込めし想ひよ石榴割れないで(星野 裕子)

月の友あまた集ふや城今宵(はたのとしはる)

古民家の玻璃にゆがみし月ひとつ(椎名 桂秀)

秋の空こんなに明るくて静か(星野 裕子)

風のなき夜の深さを虫時雨(星野 裕子)

十六夜やサイドミラーになほす紅(ななさと紅緒)

秋晴や天使の羽根を描く空(杉山 加織)

吹き出され籾殻の山豊の秋(岩佐 晴子)

山葡萄父の愛には気づかずに(鈴木由里子)

木犀や回り終はりし回覧板(稲葉 京閑)

句敵の面々揃ふ観月会(はたのとしはる)

初紅葉触れれば毀れさうな空(杉山 加織)

ジーンズの蹴る空き缶や秋の声(鈴木由里子)


互選

7票

ページ繰る指に寄り添ふ秋の声 (杉山 加織)


4票

卓の灯をまた散らかして落花生(木暮陶句郎)

過去ばかり耀く午後や金木犀(木暮陶句郎)


3票

隙間より地球広ごる松手入(清水 檀)

赤福の金の看板天高し(中野 千秋)

少年少女の声まつすぐに愛の羽根(ななさと紅緒)

山葡萄父の愛には気づかずに(鈴木由里子)

秋風や少し痩せたる膝頭(木暮陶句郎)

想ひとは終りなきもの秋時雨(杉山 加織)


2票

外に出れば虫の音わつと取り囲む(清水 檀)

虫時雨星空までも届きさう(星野 裕子)

閉ぢ込めし想ひよ石榴割れないで(星野 裕子)

秋の空こんなに明るくて静か(星野 裕子)

萩散るやその一瞬を生き続け(稲葉 京閑)

長き夜や空気のごとく妻のゐて(はたのとしはる)

けふのこと明日のことなど長き夜(はたのとしはる)

一枚づつ風の剝ぎゆく愁思かな(里村 閑)

眠る子の乳を離さざる良夜かな(里村 閑)

風生まれ芒の原の胎動す(椎名 桂秀)

林檎食む怪しき蜜の匂して(堤 かがり)

コスモスの彩の触れ合ふ無音界(木暮陶句郎)


1票

木犀に誘われて行く廻り道(髙橋千登世)

帰りてもだあれもいない蜜柑食ぶ(髙橋千登世)

命あるやうに転びて式部の実(清水 檀)

名月や微かな電子音を聴く(稲葉 京閑)

句敵の面々揃ふ観月会(はたのとしはる)

街へ散る空港バスの良夜かな(里村 閑)

小鳥くる本の四隅に子の歯形(ななさと紅緒)

大楠は樹齢千年天高し(岩佐 晴子)

都をば遠しと思ふ鹿の声(岩佐 晴子)

天空の我が家となりぬ朝の霧(岩佐 晴子)

古民家の玻璃にゆがみし月ひとつ(椎名 桂秀)

たてがみののごとくに靡く芒原(椎名 桂秀)

天高し愛の言葉を叫びけり(堤 かがり)

流されて透けゆく雲や天高し(堤 かがり)

独り居て武士は食はずに過ぐ夜寒(安部じゅん)

屋根の猫尾を満月に伸ばしたり(鈴木由里子)

雨音の消しゆく今日やそぞろ寒(木暮陶句郎)

初紅葉触れれば毀れさうな空(杉山 加織)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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