令和4年1月 月例インターネット句会 Vol.119

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

生きている生かされている日向ぼこ(小暮 肇)

寒晴やごみ収集車追ひかけて(里村 閑)

よくとほる声は伯母なり初笑(堤 かがり)

大枯野ゆらめくものは光りけり(木村 佑)

読初の大き文字より追ひにけり(杉山 加織)

繭玉や小さな幸も連なれば(里村 閑)

大橋の羽搏きそむる初明り(ななさと紅緒)

納め所の空を見つめし福達磨(木村 佑)

人日の椀ひからせし朝日かな(堤 かがり)

古井戸に水汲む音の淑気かな(ななさと紅緒)


〇入選 32句

手伝ってくれる人あり雪を掻く(稲葉 京閑)

今年こそ会ひたし友の初電話(堤 かがり)

雪催心の負荷は無重力(鈴木由里子)

ワイパーのゆるり消し去る六花(稲葉 京閑)

新春を祝うレースの多かりき(森田 遊馬)

堰越えてより待春の水の音(星野 裕子)

セーターの毛玉気になる冬日向(清水 檀)

北窓に小さき手のあと雪催(木村 佑)

冴え返り中古レコードなどを買ふ(小須賀正幸)

女正月宅配便がまたひとつ(里村 閑)

葛湯吹く己小さく見ゆる夜は(ななさと紅緒)

女正月メールの会話留処なく(杉山 加織)

郵便の銀輪速し虎落笛(小暮 肇)

いま遠き星の消えゆく寒の夜(星野 裕子)

秘めたるは愛しきものよ寒椿(清水 檀) 

白障子顔を洗いし猫の影(佐々木一栗)

枯蓮私は夢の中生きて(鈴木由里子)

晩飯に素饂飩すする三日かな(大渕 洋)

着膨れて気骨忘れてゐる笑顔(稲葉 京閑)

大晦日立ちっぱなしの厨かな(高橋ちとせ)

雲一つなき初春を寿げり(森田 遊馬)

川風や光を紡ぐ枯芒(小暮 肇)

難聴の祖母へ短き初電話(木村 佑)

まだ明けぬ時より山の淑気かな(井野 紫)

小寒の耳奥不意に塞がれて(杉山 加織)

墨染のさやかに僧の年始かな(大渕 洋)

小寒の遠嶺白々荼毘煙(稲葉 京閑)

吹きすさぶ渡り廊下の寒さかな(森田 遊馬)

ひと言の気遣ひ君の年賀状(清水 檀)

冬の月頬杖つきし古机(佐々木一栗)

真冬日の影を踏むなり白拍子(鈴木由里子)

寒月や森の形の獣めく(杉山 加織)


互選

8点句

月冴ゆる窯場灯りを消してより(木暮陶句郎)


6点句

寒月や森の形の獣めく(杉山 加織)


5点句

北窓に小さき手のあと雪催(木村 佑)

葛湯吹く己小さく見ゆる夜は(ななさと紅緒)


4点句

生きている生かされている日向ぼこ(小暮 肇)

堰越えてより待春の水の音(星野 裕子)

よくとほる声は伯母なり初笑(堤 かがり)

古井戸に水汲む音の淑気かな(ななさと紅緒)

日脚伸ぶ翼持つもの高々と(木暮陶句郎)


3点句

難聴の祖母へ短き初電話(木村 佑)

まだ明けぬ時より山の淑気かな(井野 紫)

けふをよく生き抜くための初笑(杉山 加織)

なまはげの児の泣き声に負けてをり(木暮陶句郎)


2点句

コロナ禍の町に破魔矢を放ちたり(竹俣 修)

冬の月頬杖つきし古机(佐々木一栗)

大枯野ゆらめくものは光りけり(木村 佑)

冴え返り中古レコードなどを買ふ(小須賀正幸)


1点句

春小袖大発会の鐘を打つ(竹俣 修)

ワイパーのゆるり消し去る六花(稲葉 京閑)

着膨れて気骨忘れてゐる笑顔(稲葉 京閑)

いつの間に亡霊がごと冬の月(森田 遊馬)

郵便の銀輪速し虎落笛(小暮 肇)

川風や光を紡ぐ枯芒(小暮 肇)

青天に網目ありけり枯木立(小暮 肇)

秘めたるは愛しきものよ寒椿(清水 檀)

ひと言の気遣ひ君の年賀状(清水 檀)

静寂が白てふ色に雪となる(岩佐 晴子)

淑気満つ木木は只只立つてをり(佐々木一栗)

旧姓へ馳せし想ひや賀状来る(木村 佑)

納め所の空を見つめし福達磨(木村 佑)

頑なは弱さのしるし鏡餅(安部じゅん)

冬菫遠くで人が呼んでいる(小須賀正幸)

早春と名の付く映画検索す(小須賀正幸)

人日の椀ひからせし朝日かな(堤 かがり)

寒晴やごみ収集車追ひかけて(里村 閑)

背後より昏るる雑煮を喰ひながら(鈴木由里子)

真冬日の影を踏むなり白拍子(鈴木由里子)

電車から著ぷくれの人吐き出しぬ(井野 紫)

過去問をひらくスタバや日脚伸ぶ(ななさと紅緒)

大先生の礼美しや初稽古(ななさと紅緒)

読初の大き文字より追ひにけり(杉山 加織)

コバルトの涙よ夜の雪達磨(木暮陶句郎)

初旅の一直線に句座目指し(木暮陶句郎)


互選結果

◎小須賀正幸 選

(7) 生きている生かされている日向ぼこ

(16) 寒晴やごみ収集車追ひかけて

(21) 日脚伸ぶ翼持つもの高々と

(48) いつの間に亡霊がごと冬の月

(104) 寒月や森の形の獣めく


◎星野裕子 選

(7) 生きている生かされている日向ぼこ

(40) 葛湯吹く己小さく見ゆる夜は

(73) 静寂が白てふ色に雪となる

(104) 寒月や森の形の獣めく

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎中島圭子 選

(22) コロナ禍の町に破魔矢を放ちたり

(33) 北窓に小さき手のあと雪催

(64) 春小袖大発会の鐘を打つ

(75) 難聴の祖母へ短き初電話

(99) 人日の椀ひからせし朝日かな


◎堤かがり 選

(21) 日脚伸ぶ翼持つもの高々と

(29) 堰越えてより待春の水の音

(75) 難聴の祖母へ短き初電話

(104) 寒月や森の形の獣めく

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎大渕洋 選

(22) コロナ禍の町に破魔矢を放ちたり

(63) 初旅の一直線に句座目指し

(75) 難聴の祖母へ短き初電話

(80) 背後より昏るる雑煮を喰ひながら

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎稲葉京閑 選

(12) 旧姓へ馳せし想ひや賀状来る

(20) けふをよく生き抜くための初笑

(29) 堰越えてより待春の水の音

(40) 葛湯吹く己小さく見ゆる夜は

(84) なまはげの児の泣き声に負けてをり


◎小暮肇 選

(33) 北窓に小さき手のあと雪催

(51) 秘めたるは愛しきものよ寒椿

(95) 冬の月頬杖つきし古机

(98) 早春と名の付く映画検索す

(104) 寒月や森の形の獣めく


◎鈴木由里子 選

(36) よくとほる声は伯母なり初笑

(49) 郵便の銀輪速し虎落笛

(70) 川風や光を紡ぐ枯芒

(91) 青天に網目ありけり枯木立

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎清水檀 選

(14) 冬菫遠くで人が呼んでいる

(25) ワイパーのゆるり消し去る六花

(29) 堰越えてより待春の水の音

(33) 北窓に小さき手のあと雪催

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎竹俣修 選

(18) 電車から著ぷくれの人吐き出しぬ

(36) よくとほる声は伯母なり初笑

(61) 大先生の礼美しや初稽古

(101) 真冬日の影を踏むなり白拍子

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎森田遊馬 選

(20) けふをよく生き抜くための初笑

(33) 北窓に小さき手のあと雪催

(36) よくとほる声は伯母なり初笑

(54) 大枯野ゆらめくものは光りけり

(103) 古井戸に水汲む音の淑気かな


◎佐々木一栗 選

(19) 過去問をひらくスタバや日脚伸ぶ

(36) よくとほる声は伯母なり初笑

(54) 大枯野ゆらめくものは光りけり

(81) まだ明けぬ時より山の淑気かな

(96) 納め所の空を見つめし福達磨


◎岩佐晴子 選

(29) 堰越えてより待春の水の音

(33) 北窓に小さき手のあと雪催

(93) ひと言の気遣ひ君の年賀状

(103) 古井戸に水汲む音の淑気かな

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎木村佑 選

(20) けふをよく生き抜くための初笑

(40) 葛湯吹く己小さく見ゆる夜は

(81) まだ明けぬ時より山の淑気かな

(84) なまはげの児の泣き声に負けてをり

(105) 月冴ゆる窯場灯りを消してより


◎里村閑 選

(21) 日脚伸ぶ翼持つもの高々と

(35) 冴え返り中古レコードなどを買ふ

(40) 葛湯吹く己小さく見ゆる夜は

(74) 淑気満つ木木は只只立つてをり

(81) まだ明けぬ時より山の淑気かな


◎安部じゅん 選

(7) 生きている生かされている日向ぼこ

(35) 冴え返り中古レコードなどを買ふ

(67) 着膨れて気骨忘れてゐる笑顔

(95) 冬の月頬杖つきし古机

(104) 寒月や森の形の獣めく


◎ななさと紅緒 選

(13) 頑なは弱さのしるし鏡餅

(42) コバルトの涙よ夜の雪達磨

(62) 読初の大き文字より追ひにけり

(103) 古井戸に水汲む音の淑気かな

(104) 寒月や森の形の獣めく


◎杉山加織 選

(7) 生きている生かされている日向ぼこ

(21) 日脚伸ぶ翼持つもの高々と

(40) 葛湯吹く己小さく見ゆる夜は

(84) なまはげの児の泣き声に負けてをり

(103) 古井戸に水汲む音の淑気かな

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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