令和3年12月 月例インターネット句会 Vol.118
木暮陶句郎 選
◎特選 10句
思ひ出を折り畳みては年用意(小暮 肇)
冬の夜や薬の落ちぬ喉の奥(松本由美子)
小米雪硝子引戸の額縁屋(鈴木由里子)
裸木の影と光の不文律(中村 東子)
桜木のイルミネーション冬の川(里村 閑)
牧の冬バージンウールまだ刈らず(中島 圭子)
生まれたる水に死ぬ魚冬銀河(星野 裕子)
湯冷めするほど星ながめをりし頃(大渕 洋)
冬帝の削ぎたる銀の給水塔(中村 東子)
カレー南蛮冬ざれの腑を充たす(里村 閑)
極月のひと息をつくラ・フランス(里村 閑)
〇入選 30句
コロナ禍の歌舞伎町にも雪が降る(竹俣 修)
赤レンガクリスマスリース彩りぬ(小暮 肇)
心身の傷を隠せる冬帽子(松本由美子)
水鳥の濠鎮まりて夕暮るる(清水 檀)
二十年余夜間急病除夜を聞く(安部じゅん)
押しくら饅頭北風に負けにけり(里村 閑)
鴨助走水面の光蹴散らして(岩佐 晴子)
大雪のしじまの底の古時計(安部じゅん)
枯葦を器用に避けて鳥の行く(井野 紫)
友の背の遠くなりたる冬野かな(杉山 加織)
始発駅コートの膝の単行本(大渕 洋)
病み細る猫短日の医者通ひ(稲葉 京閑)
葉を落とし幹隆々と冬木立(清水 檀)
仕立て屋の窓辺に凭れ冬の猫(鈴木由里子)
知らぬ事まだ数多あり枇杷の花(岩佐 晴子)
裸木や泣いて笑つてはや六十路(中村 東子)
冬の水ゆるく攪拌させる鯉(井野 紫)
若さとは眠る力や冬木の芽(里村 閑)
甲斐犬の差し尾ゆたかに猟期来る(ななさと紅緒)
芯にまだ青き息透け冬紅葉(杉山 加織)
海見ゆる方へ方寄る暖房車(星野 裕子)
知恵の輪に苛立ちてをり置炬燵(稲葉 京閑)
マフラーに顎を埋めて女学生(清水 檀)
寒禽の声あちこちで鳴き交はす(井野 紫)
クリスマス気合ひの飾りキラキラと(竹俣 修)
冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ(星野 裕子)
東京に鬼平居らぬ年の暮れ(大渕 洋)
数へ日や空気が薄くなってゆく(稲葉 京閑)
米袋解く夫の手師走来る(鈴木由里子)
梟のいざなふ森の出入口(堤 かがり)
目の合ひてやさしくなりぬ冬の雨(杉山 加織)
互選
5点句
まだ渦を残す葛湯の匙まはす(堤 かがり)
始発駅コートの膝の単行本(大渕 洋)
つなぐ手の冷たきほどに愛しけり(木村 佑)
4点句
鴨助走水面の光蹴散らして(岩佐 晴子)
目で語り目で笑ひ合ふマスクかな(佐々木一栗)
冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ(星野 裕子)
3点句
極月や無理を承知のたのみごと(ななさと紅緒)
裸婦像の乳房あやふや冬ぬくし(木暮陶句郎)
思ひ出を折り畳みては年用意(小暮 肇)
冬の夜や薬の落ちぬ喉の奥(松本由美子)
裸木の影と光の不文律(中村 東子)
鳰潜る雨の水輪をこはしつつ(木暮陶句郎)
生まれたる水に死ぬ魚冬銀河(星野 裕子)
若さとは眠る力や冬木の芽(里村 閑)
甲斐犬の差し尾ゆたかに猟期来る(ななさと紅緒)
「あ」地球が冬満月を食ぶるかな(竹俣 修)
2点句
走り根のなほも枯れ葉を抱へけり(木村 佑)
大雪のしじまの底の古時計(安部じゅん)
友の背の遠くなりたる冬野かな(杉山 加織)
裸木や泣いて笑つてはや六十路(中村 東子)
重力は平等のはず雪蛍(堤 かがり)
芯にまだ青き息透け冬紅葉(杉山 加織)
海見ゆる方へ方寄る暖房車(星野 裕子)
冬の蜂血走った眼で睨みをり(森田 遊馬)
1点句
物の怪が出るやも知れぬ冬の月(星野 裕子)
心身の傷を隠せる冬帽子(松本由美子)
散る銀杏終の住処を探しをり(佐々木一栗)
手袋を忘れ赤き手持て余す(井野 紫)
悴みて躓いてゐる十七音(杉山 加織)
山茶花や光こぼしながら散る(星野 裕子)
荒れまくり挙句絵の様に冬の虹(稲葉 京閑)
小米雪硝子引戸の額縁屋(鈴木由里子)
振り向けば薄き影あり冬の月(佐々木一栗)
冬さうび無理難題を言はれけり(ななさと紅緒)
牧の冬バージンウールまだ刈らず(中島 圭子)
冬の夜や全てを忘れ爆睡す(松本由美子)
彩を丸ごと脱ぎし冬木立(佐々木一栗)
ほどほどのしあわせ猫と置炬燵(安部じゅん)
切り干しの甘味滲み出る役者かな(小須賀正幸)
極月の轆轤軋ませ壺を挽く(木暮陶句郎)
湯冷めするほど星ながめをりし頃(大渕 洋)
知恵の輪に苛立ちてをり置炬燵(稲葉 京閑)
冬日向終はりの見えぬ立ち話(松本由美子)
マフラーに顎を埋めて女学生(清水 檀)
友逝きて今年届かぬ沢庵漬(安部じゅん)
冬帝の削ぎたる銀の給水塔(中村 東子)
枯蔦や空を目指してまだ途上(木村 佑)
カレー南蛮冬ざれの腑を充たす(里村 閑)
大丈夫出来ると君の海鼠切る(木暮陶句郎)
手袋の温みを貸してもらひけり(杉山 加織)
アーチ窓より冬日射る礼拝堂(小暮 肇)
東京に鬼平居らぬ年の暮れ(大渕 洋)
大枯野静かに眠る命あり(清水 檀)
米袋解く夫の手師走来る(鈴木由里子)
眩しげに目をつむりけり小春猫(木暮陶句郎)
目の合ひてやさしくなりぬ冬の雨(杉山 加織)
互選結果
◎森田遊馬 選
(12) 散る銀杏終の住処を探しをり
(16) 走り根のなほも枯れ葉を抱へけり
(20) 極月や無理を承知のたのみごと
(34) 振り向けば薄き影あり冬の月
(36) 裸木の影と光の不文律
◎小須賀正幸 選
(4) 物の怪が出るやも知れぬ冬の月
(48) 生まれたる水に死ぬ魚冬銀河
(52) 冬の夜や全てを忘れ爆睡す
(71) 冬の蜂血走った眼で睨みをり
(79) 友逝きて今年届かぬ沢庵漬
◎小暮肇 選
(26) 山茶花や光こぼしながら散る
(30) 冬の夜や薬の落ちぬ喉の奥
(43) 鳰潜る雨の水輪をこはしつつ
(44) 友の背の遠くなりたる冬野かな
(50) 始発駅コートの膝の単行本
◎中島圭子 選
(15) まだ渦を残す葛湯の匙まはす
(21) 裸婦像の乳房あやふや冬ぬくし
(36) 裸木の影と光の不文律
(43) 鳰潜る雨の水輪をこはしつつ
(87) 大丈夫出来ると君の海鼠切る
◎星野裕子 選
(25) 思ひ出を折り畳みては年用意
(59) 重力は平等のはず雪蛍
(68) 「あ」地球が冬満月を食ぶるかな
(78) 目で語り目で笑い合うマスクかな
(94) 東京に鬼平居らぬ年の暮れ
◎大渕洋 選
(25) 思ひ出を折り畳みては年用意
(65) 極月の轆轤軋ませ壺を挽く
(88) 手袋の温みを貸してもらひけり
(98) 米袋解く夫の手師走来る
(104) つなぐ手の冷たきほどに愛しけり
◎竹俣修 選
(8) 心身の傷を隠せる冬帽子
(29) 荒れまくり挙句絵の様に冬の虹
(42) 冬さうび無理難題を言はれけり
(50) 始発駅コートの膝の単行本
(75) マフラーに顎を埋めて女学生
◎松本由美子 選
(15) まだ渦を残す葛湯の匙まはす
(20) 極月や無理を承知のたのみごと
(45) 牧の冬バージンウールまだ刈らず
(58) 裸木や泣いて笑つてはや六十路
(72) 湯冷めするほど星ながめをりし頃
◎稲葉京閑 選
(15) まだ渦を残す葛湯の匙まはす
(64) 甲斐犬の差し尾ゆたかに猟期来る
(71) 冬の蜂血走った眼で睨みをり
(78) 目で語り目で笑い合うマスクかな
(92) 冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ
◎岩佐晴子 選
(20) 極月や無理を承知のたのみごと
(22) 悴みて躓いてゐる十七音
(63) 若さとは眠る力や冬木の芽
(73) 知恵の輪に苛立ちてをり置炬燵
(104) つなぐ手の冷たきほどに愛しけり
◎清水檀 選
(15) まだ渦を残す葛湯の匙まはす
(44) 友の背の遠くなりたる冬野かな
(57) ほどほどのしあわせ猫と置炬燵
(68) 「あ」地球が冬満月を食ぶるかな
(85) カレー南蛮冬ざれの腑を充たす
◎木村佑 選
(15) まだ渦を残す葛湯の匙まはす
(33) 鴨助走水面の光蹴散らして
(70) 海見ゆる方へ方寄る暖房車
(78) 目で語り目で笑い合うマスクかな
(97) 大枯野静かに眠る命あり
◎堤かがり 選
(18) 手袋を忘れ赤き手持て余す
(30) 冬の夜や薬の落ちぬ喉の奥
(33) 鴨助走水面の光蹴散らして
(48) 生まれたる水に死ぬ魚冬銀河
(63) 若さとは眠る力や冬木の芽
◎井野紫 選
(33) 鴨助走水面の光蹴散らして
(36) 裸木の影と光の不文律
(56) 彩を丸ごと脱ぎし冬木立
(63) 若さとは眠る力や冬木の芽
(78) 目で語り目で笑い合うマスクかな
◎佐々木一栗 選
(50) 始発駅コートの膝の単行本
(64) 甲斐犬の差し尾ゆたかに猟期来る
(74) 冬日向終はりの見えぬ立ち話
(91) アーチ窓より冬日射る礼拝堂
(104) つなぐ手の冷たきほどに愛しけり
◎鈴木由里子 選
(30) 冬の夜や薬の落ちぬ喉の奥
(70) 海見ゆる方へ方寄る暖房車
(104) つなぐ手の冷たきほどに愛しけり
(109) 眩しげに目をつむりけり小春猫
(110) 目の合ひてやさしくなりぬ冬の雨
◎中村東子 選
(33) 鴨助走水面の光蹴散らして
(64) 甲斐犬の差し尾ゆたかに猟期来る
(66) 芯にまだ青き息透け冬紅葉
(68) 「あ」地球が冬満月を食ぶるかな
(82) 枯蔦や空を目指してまだ途上
◎安部じゅん 選
(16) 走り根のなほも枯れ葉を抱へけり
(32) 小米雪硝子引戸の額縁屋
(50) 始発駅コートの膝の単行本
(59) 重力は平等のはず雪蛍
(92) 冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ
◎ななさと紅緒 選
(21) 裸婦像の乳房あやふや冬ぬくし
(35) 大雪のしじまの底の古時計
(43) 鳰潜る雨の水輪をこはしつつ
(48) 生まれたる水に死ぬ魚冬銀河
(66) 芯にまだ青き息透け冬紅葉
◎里村閑 選
(35) 大雪のしじまの底の古時計
(50) 始発駅コートの膝の単行本
(58) 裸木や泣いて笑つてはや六十路
(61) 切り干しの甘味滲み出る役者かな
(92) 冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ
◎杉山加織 選
(21) 裸婦像の乳房あやふや冬ぬくし
(25) 思ひ出を折り畳みては年用意
(80) 冬帝の削ぎたる銀の給水塔
(92) 冬帽の凹みにぽんと鍵ひとつ
(104) つなぐ手の冷たきほどに愛しけり
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