平成29年8月 月例インターネット句会 Vol.66結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 7句

かなかなの膨らましたる森の闇(杉山 加織)

銀漢の横たふ海の暗さかな(安部じゅん)

新涼の黒髪胸をながれけり(里村 閑)

日陰にもどつかと秋の暑さかな(稲葉 京閑)

朝を捥ぐ青き香を捥ぐトマト捥ぐ(岩佐 晴子)

ときをりは凭れてゐたり秋の風(里村 閑)

逢ふときは思い出すとき走馬灯(星野 裕子)


〇入選 23句 

早桃や各駅停車の里帰り(髙橋千登世)

花火見の臨時バス出る最寄駅(堤 かがり)

空の彩連れて転がる芋の露(稲葉 京閑)

柩には折り鶴も入れ天の川(岩佐 晴子)

銀漠や木にも寿命があるといふ(中野 千秋)

余生まだ頭上にありて蝉の声(阿部ひで希)

君と居て心安らぐコロンの香(清水 檀)

遠花火儚き恋も二度三度(はたのとしはる)

夕菅のこぼす日の色風の色(杉山 加織)

泣きもせず口応へせず蟻を見る(ななさと紅緒)

ホスピスの母を看取りて夏終わる(髙橋千登世)

月涼し迎への夫と渡る橋(岩佐 晴子)

ビル越しに見え隠れして遠花火(はたのとしはる)

我が町の誇る並木路夏柳(清水 檀)

鎮魂の蝉鳴き止まぬ原爆忌(清水 檀)

又同じ夢より目覚め終戦日(鈴木由里子)

変りなく雄弁多弁生身霊(中野 千秋)

桐一葉ゆらりと落ちてからの風(星野 裕子)

花屋から花屋へ急ぐ盆支度(鈴木由里子)

繪らふそく灯す夕べや終戦日(中野 千秋)

リズムよく森を突き抜け蝉の声(阿部ひで希)

蜩や傾く日差し惜しみつつ(岩佐 晴子)

手花火の耳元にある君の声(杉山 加織)


互選

7票

空の彩連れて転がる芋の露(稲葉 京閑)


4票

命とは水でありけり原爆忌(木暮陶句郎)

日陰にもどつかと秋の暑さかな(稲葉 京閑)


3票

銀漢の横たふ海の暗さかな(安部じゅん)

新涼の黒髪胸をながれけり(里村 閑)

稲妻に浮かぶ都会の無彩色 (木暮陶句郎)


2票

踊笠うなじに娘盛りかな (ななさと紅緒)

余生まだ頭上にありて蝉の声(阿部ひで希)

夕菅のこぼす日の色風の色 (杉山 加織)

泣きもせず口応へせず蟻を見る(ななさと紅緒)

逢ふときは思い出すとき走馬灯(星野 裕子)

露草の人恋ふ如く靴濡らす (木暮陶句郎)

南国の果実も供へ魂祭(木暮陶句郎)


1票

早桃や各駅停車の里帰り(髙橋千登世)

柩には折り鶴も入れ天の川(岩佐 晴子)

かなかなの膨らましたる森の闇 (杉山 加織)

とぎれたる会話のあはひ秋扇(ななさと紅緒)

輪をつくり語り部を待つ星月夜(中野 千秋)

月涼し迎への夫と渡る橋(岩佐 晴子)

剣岳明日は頂上雲の峰(堤 かがり)

銀漢や繋ぎたき手は遠くなり(杉山 加織)

凪ぐ海の綺羅の重たき晩夏かな(稲葉 京閑)

みんみんの声に揺るぎぬ城址森(清水 檀)

桐一葉仰向けのまま落ちゆけり(安部じゅん)

朝を捥ぐ青き香を捥ぐトマト捥ぐ(岩佐 晴子)

人ぐすり日にち薬や桔梗咲く(中野 千秋)

かなかなや後腐れなき恋をして(杉山 加織)

ときをりは凭れてゐたり秋の風(里村 閑)

三代の横顔の似て盆の月(堤 かがり)

変りなく雄弁多弁生身霊(中野 千秋)

あさがほや寄辺なき身は地に咲きて(ななさと紅緒)

写経紙の墨の香りや夜の秋(星野 裕子)

蟷螂や腕立て伏せはできるかい(岩佐 晴子)

蜩や傾く日差し惜しみつつ(岩佐 晴子)

スカートに風孕ませて秋に入る(里村 閑)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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