平成29年7月 月例インターネット句会 Vol.65結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 5句

まだ誰も帰つて来ない涼しさよ(星野 裕子)

月涼し欠徳利に花挿して(ななさと紅緒)

荒梅雨をバスうなだれて曲がりけり(里村 閑)

黒鉄の仏目つむる朝曇り(稲葉 京閑)

碑に蚕の文字や梅雨寒し(鬼形 瑞枝)


〇入選 26句 

夕涼み鼻緒のゆるき男下駄(堤 かがり)

風鈴や箱が欲しくて菓子を買ふ(中野 千秋)

梅雨深し川の向かうに過去未来(中野 千秋)

明易の街角消えてゆくジゴロ(鈴木由里子)

貨車過ぎる音に目覚めし雨蛙(清水 檀)

国宝の城へ一撃はたた神(稲葉 京閑)

君の声聞き分けてゐる海の家(鈴木由里子)

松蝉の谷底へ降る聲の嵩(杉山 加織)

異次元に迷ひ込みをり麦の秋(清水 檀)

薄き闇ふはり浮かぶや月見草(清水 檀)

鵜篝や滾る川面となりし闇(稲葉 京閑)

夏座敷ぽつんと空の蹲(里村 閑)

誘ふよに逃れるやうに舞ふ蛍(星野 裕子)

昼寝子に大物の相ありにけり(ななさと紅緒) 

土の匂ひ草の匂ひや避暑の家(髙橋千登世)

短冊にアラビアの文字星祭(星野 裕子)

棟梁の見上ぐ大空百日紅(鈴木由里子)

白玉になる一瞬の浮き沈み(堤 かがり)

妻とゐて逢引めくや貴船川床(里村 閑)

吹割の滝の土産に箒かな(安部じゅん)

ほおずき市毘沙門天の虎に恋(安部じゅん)

ガラクタの何れも玩具や夏の雲(鈴木由里子)

朝練の自転車の列夏つばめ(ななさと紅緒)

風鈴に短冊回るだけの風(岩佐 晴子)

急流に砕け散る岩夏祓(杉山 加織)

鵜飼果つ岸に拾ひし黒き羽根(稲葉 京閑)


互選

5票

短冊にアラビアの文字星祭 (星野 裕子)

夕涼み鼻緒のゆるき男下駄(堤 かがり)


4票

白玉になる一瞬の浮き沈み(堤 かがり)

朝練の自転車の列夏つばめ(ななさと紅緒)


3票

ひややかに我見る我や明易し(ななさと紅緒)

風鈴や箱が欲しくて菓子を買ふ(中野 千秋)

想ひとはつのるものなり髪洗ふ (木暮陶句郎)


2票

短夜や死に逝く猫を撫で尽し(安部じゅん)

まだ誰も帰つて来ない涼しさよ (星野 裕子)

風止まり刻の止まりて蝉時雨 (稲葉 京閑)

ひややかに我見る我や明易し(ななさと紅緒)

夏館銀の取つ手のティーカップ(木暮陶句郎)


1票

足元の気遣ふ闇や蛍狩 (清水 檀)

灯を映す皿を選びて夏料理 (星野 裕子)

誘ふよに逃れるやうに舞ふ蛍 (星野 裕子)

風鈴に短冊回るだけの風 (岩佐 晴子)

国宝の城へ一撃はたた神(稲葉 京閑)

月涼し欠徳利に花挿して(ななさと紅緒)

荒梅雨をバスうなだれて曲がりけり (里村 閑)

暗がりに昭和の重さ夏館(中野 千秋)

それぞれの日傘の個室持ち歩く(中野 千秋)

ガラクタの何れも玩具や夏の雲(鈴木由里子)

明易の街角消えてゆくジゴロ(鈴木由里子)

君の声聞き分けてゐる海の家(鈴木由里子)

棟梁の見上ぐ大空百日紅(鈴木由里子)

潮風とジャズ掻き鳴らす夏の海(鈴木由里子)

むらさきは滅びの色や梅雨夕焼 (木暮陶句郎)

子燕の神より貰ひたる勇気(木暮陶句郎)

夕顔やをんなの意地も揺らぎをり(木暮陶句郎)

口角を上げ続けたるサングラス(杉山 加織)


ひろそ火 句会.com

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