平成29年2月 月例インターネット句会 Vol.60結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 5句

雲の色ほどの重さに薄氷(星野 裕子)

春節や潮の香もせる中華街(鈴木由里子)

凍解や心の隅の言葉吐く(杉山 加織)

早春の夢語りゐる目のひかり(杉山 加織)

折れ易きもの水仙と吾が心(岩佐 晴子)


〇入選 27句 

鼈甲の櫛やかんざし春立ぬ(中野 千秋)

水色の詩を奏で来る雪解風(杉山 加織)

遅咲きという誉め言葉春立ちぬ(安部じゅん)

老舗宿玻璃の歪みへ寒椿(阿部ひで希)

雪降るを羨ましいと言はれても(岩佐 晴子)

昼月の遠くかかりて冬木立(はたのとしはる)

春埃拭ふ本屋の店主かな(鈴木由里子)

臘梅の香る階段滑り易(阿部ひで希)

秒針のやうな焦りや冴返る(星野 裕子)

冴返る碧空を透く昼の月(稲葉 京閑)

絡みつく大地の匂ひ下萌ゆる(杉山 加織)

冴返る今日頬紅を高く入れ(中野 千秋)

亀鳴くや女傘にて夫帰宅(中野 千秋)

山里のかくれ家めきて梅の宿(峯岸 俊江)

裸木や武蔵野の空果てしなく(はたのとしはる)

廊狭し壺の臘梅触れまじく(阿部ひで希)

初蝶や見えない風の弧を捉ふ(星野 裕子)

一輪といふ気高さよ花椿(中野 千秋)

ポップコーン次々爆ぜて春立つ日(岩佐 晴子)

春立ちてピアノ弾く音はずみけり(髙橋千登世)

漫画本広げてゐたる春の風邪(鈴木由里子)

燭ゆらす仏の吐息春の闇(稲葉 京閑)

ファッション誌折り曲げ入るや春トート(鈴木由里子)

豆まきの声懐かしむ父の事(清水 檀)

春近し平仮名ぜんぶおぼえたよ(堤 かがり)

春燈やまだたけなはの舞踏会(中野 千秋)

キャンセルの声くぐもりて春の風邪(峯岸 俊江)

ひろそ火 句会.com

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