令和2年8月 月例インターネット句会 Vol.102

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

白南風の窓ピクルスの壜ならべ(ななさと紅緒)

正午告ぐ誤差なき時計終戦日(星野 裕子)

かなかなの途切れ夕闇澄みゆける(杉山 加織)

アラームのなき枕辺の秋めける(杉山 加織)

七夕の今年の願ひみな同じ(小暮 肇)

惜しみつつひと日をたたむ槿かな(星野 裕子)

一匹となりて沁みいる蟬の声(稲葉 京閑)

立秋や縁の黄ばんだ祖父の辞書(堤 かがり)


〇入選 32句

手掴みの岩魚みな腹見せてをり(竹俣 修)

無観客競馬のつづく初秋かな(森田 遊馬)

炎帝を避けての日課歩数計(阿部ひで希)

ディスタンス二秒遅れの遠花火(安部じゅん)

ビル出れば日照雨眩しき残暑かな(岩佐 晴子)

まどろみに波のささやく夏湖畔(須藤恵美子)

願ひの糸風つかまへて跳ねにけり(里村 閑)

ばつが丸まるがばつはも終戦忌(中村 東子)

夕焼や航跡残る伊予の海(竹俣 修)

切り分けて余りし西瓜のじやんけん(小暮 肇)

日盛やメラメラ燃ゆる交差点(清水 檀)

居眠りの帽子に停まれおにやんま(佐々木一栗)

リキュールに金粉光るかき氷(岩佐 晴子)

湖風と白百合の香と山ホテル(須藤恵美子)

あさがおの江戸むらさきに染まる庭(森田 遊馬)

温もりを寝床に残す今朝の秋(稲葉 京閑)

退屈なバスを待つ間に草いきれ(佐々木一栗)

有の実の果汁滴る早さかな(岩佐 晴子)

ドラえもん水色尽くし秋の空(鈴木由里子)

玄関へ棚引くけむり霊迎(中村 東子)

湖風に釣り糸を巻く日焼顔(阿部ひで希)

オリンピックは遠くなり草田男忌(小暮 肇)

高齢化進みて語る原爆忌(髙橋千登世)

洋犬に道開けられし花野かな(須藤恵美子)

まだ学ぶ事は忘れずトマト捥ぐ(鈴木由里子)

炎帝に挑むペディキュア選みけり(ななさと紅緒)

かなかなの庭たそがれの風立ちぬ(中村 東子)

菜園の見目形良き瓜の馬(松本由美子)

朝顔に癒されはげむテレワーク(森田 遊馬)

夏手套嫁ぐ日までを数へけり(ななさと紅緒)

蝉しぐれ響く城下の石畳(阿部ひで希)

新涼や木綿更紗の縞模様(杉山 加織)


互選

5票

正午告ぐ誤差なき時計終戦日(星野 裕子)

片方のピアスのゆくへ夏の果(ななさと紅緒)


4票

白南風の窓ピクルスの壜ならべ(ななさと紅緒)


3票

湖風に釣り糸を巻く日焼顔(阿部ひで希)

絵本読む窓辺に揺るる合歓の花(星野 裕子)

惜しみつつひと日をたたむ槿かな(星野 裕子)

問ひかけて返らぬ答へ墓洗ふ(稲葉 京閑)

炎天や萎えし心の置きどころ(清水 檀)

網を手に畔渡る子や青田波(佐々木一栗)

父の忌に家族総出の墓掃除(井野 紫)

まばたきのごとき十年天の川(木暮陶句郎)

新涼や鶴首を挽く指の先(木暮陶句郎)

新涼や木綿更紗の縞模様(杉山 加織)


2票

蝉しぐれ浅き午睡の耳奥へ(阿部ひで希)

蜜豆に湖風走る湖畔茶屋(阿部ひで希)

枝豆の個部屋に眠る三つ子かな(小暮 肇)

夢二館の灯が消えてより星月夜(星野 裕子)

一匹となりて沁みいる蟬の声(稲葉 京閑)

立秋や縁の黄ばんだ祖父の辞書(堤 かがり)

ひぐらしや動画は次のエピソード(佐々木一栗)

リキュールに金粉光るかき氷(岩佐 晴子)

湖風と白百合の香と山ホテル(須藤恵美子)

大波のさらふ叫声跣足の子(須藤恵美子)

まどろみに波のささやく夏湖畔(須藤恵美子)

うしろより包まれゆくや秋の風(里村 閑)

朝焼や水脈まだくらき漁舟(ななさと紅緒)

暮れてなほ小幡城下の蝉しぐれ(阿部ひで希)

縄文の小さき火守りて星月夜(木暮陶句郎)

掃除機の音迫りくる残暑かな(木暮陶句郎)

砂浜の影の灼き付きゐる残暑(杉山 加織)

かなかなの途切れ夕闇澄みゆける(杉山 加織)


1票

仕切る父今日は不在の墓参り(松本由美子)

あかつきの銀河をよぎるながれ星(森田 遊馬)

あさがほの江戸むらさきに染まる庭(森田 遊馬)

えも言はず絡む夏霧妙義山(阿部ひで希)

みつ豆や恋の予感の胸さわぎ(星野 裕子)

ディスタンス二秒遅れの遠花火(安部じゅん)

黒瀧を浴びて不動の残暑かな(安部じゅん)

残されし妻の好物盆供へ(堤 かがり)

やり遂げて鼓動昂まる星月夜(堤 かがり)

退屈なバスを待つ間に草いきれ(佐々木一栗)

湖風と白百合の香と山ホテル(須藤恵美子)

黒スワンボート現る山の湖(須藤恵美子)

願ひの糸風つかまへて跳ねにけり(里村 閑)

秋の蝶マリオネットの如く飛ぶ(井野 紫)

鐘撞きて散り黙らせし秋の蝉(井野 紫)

蒼穹に溺るる夏をドライブす(鈴木由里子)

まだ学ぶ事は忘れずトマト捥ぐ(鈴木由里子)

上州の闇夜にどよむ大雷雨(阿部ひで希)

祈り束ねて幾千の法師蝉(木暮陶句郎)

ばつが丸まるがばつはも終戦忌(中村 東子)

かなかなの庭たそがれの風立ちぬ(中村 東子)

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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