平成28年6月 月例インターネット句会 Vol.52結果発表
木暮陶句郎 選
◎特選 6句
滑り台五月闇へと落ち行きぬ(鈴木由里子)
のうぜんかずら家系図というドラマ(中野 千秋)
ほろ酔ひの夫助手席に蛍狩(岩佐 晴子)
芙蓉咲くカーブミラーの高さまで(峯岸 俊江)
手ぬぐひに町の歴史や走梅雨(中野 千秋)
夏館にてメディチ家の至宝展(中野 千秋)
〇入選 33句
赤茄子や恋は二の次三の次(鈴木由里子)
ぽつぽつと点字の如く五月雨(星野 裕子)
夏のれん裏口うすく透けてをり(堤 かがり)
ごきぶりやここにもペンキ塗りたてが(岩佐 晴子)
五月雨のイヤフォンに閉ぢ込めし過去(杉山 加織)
まだ水のただよひてをり田植あと(峯岸 俊江)
籐椅子や過去も未来も連れて来る(久保田晋一)
子育てや二の腕黒く日焼けして(鈴木由里子)
緑陰やピアノの森を調律し(安部じゅん)
飴色に魚を煮上げし白絣(鈴木由里子)
開け放つ廊下は奥へ麻のれん(堤 かがり)
雷鳴を切り裂いて飛ぶ鳶一羽(久保田晋一)
海にそら空にうみありヨットの帆(星野 裕子)
夏至夕べ命延びゆく心持ち(安部じゅん)
峠路や脚立踏ん張り実梅もぐ(阿部ひで希)
スケッチの滲みやすくて梅雨に入る(杉山 加織)
あぢさゐの分布を調べつつ散歩(中野 千秋)
覗きこむ吾の影よぎる目高かな(堤 かがり)
踝にからまる風や梅雨晴間(峯岸 俊江)
軽トラの実梅の箱を積む成果(阿部ひで希)
武蔵野の名残とどめて夏木立(はたの としはる)
物申す夏大根の辛さかな(堤 かがり)
言の葉の行き場無くせり五月闇(杉山 加織)
大空は風の遊び場夏木立(はたの としはる)
心音も吸ひ込んでゆく五月闇(安部じゅん)
当分は雨子雀の鳴き通し(稲葉 京閑)
やはらかき日の色ゆれて庭若葉(峯岸 俊江)
下闇の刻の流れに置く心(阿部ひで希)
刈り入れや麦の穂の禾突き立てり(久保田晋一)
精彩を放つ草木や梅雨の庭(清水 檀)
部屋隅の甘き残り香明易し(杉山 加織)
不揃のさやゑんどうの甘さかな(岩佐 晴子)
紫陽花の色に暮れゆく円障子(久保田晋一)
互選
6票
白服を吹き抜けてゆく海の色(木暮陶句郎)
4票
籐椅子や過去も未来も連れて来る(久保田晋一)
海にそら空にうみありヨットの帆(星野 裕子)
物申す夏大根の辛さかな(堤 かがり)
心音も吸ひ込んでゆく五月闇 (安部じゅん)
ハングルの街をさまよひゐる薄暑(木暮陶句郎)
3票
夏のれん裏口うすく透けてをり(堤 かがり)
滑り台五月闇へと落ち行きぬ(鈴木由里子)
のうぜんかずら家系図というドラマ(中野 千秋)
スケッチの滲みやすくて梅雨に入る(杉山 加織)
大空は風の遊び場夏木立(はたの としはる)
告白を蛍袋にそつと入れ(星野 裕子)
紫陽花の色に暮れゆく円障子(久保田晋一)
2票
五月雨のイヤフォンに閉ぢ込めし過去(杉山 加織)
せせらぎを隠し味とし鮎料理(星野 裕子)
里帰り妻の分骨梅雨晴れ間(森田 政夫)
緑陰やピアノの森を調律し(安部じゅん)
覗きこむ吾の影よぎる目高かな(堤 かがり)
言の葉の行き場無くせり五月闇(杉山 加織)
手ぬぐひに町の歴史や走梅雨(中野 千秋)
しなやかに風をかわして夏木立(はたのとしはる)
1票
ふと過去を暗しと思ふ蛇苺(木暮陶句郎)
ぽつぽつと点字の如く五月雨(星野 裕子)
上州の雷鳴に向く猫の耳 (阿部ひで希)
子育てや二の腕黒く日焼けして(鈴木由里子)
雷鳴を切り裂いて飛ぶ鳶一羽(久保田晋一)
雨雫きらきらこぼし草茂る(木暮陶句郎)
山風の山を消しゆく植田かな(木暮陶句郎)
梅雨の日のどつぷり浸かる美術館(中野 千秋)
芙蓉咲くカーブミラーの高さまで(峯岸 俊江)
黒南風やときに開けぬ翼あり(杉山 加織)
下闇の刻の流れに置く心(阿部ひで希)
夏館にてメディチ家の至宝展(中野 千秋)
田水張る隣は宅地造成中(峯岸 俊江)
ぬめぬめと意外に速い蝸牛(堤 かがり)
部屋隅の甘き残り香明易し(杉山 加織)
万緑や心まるごと洗はるる(星野 裕子)
不揃のさやゑんどうの甘さかな(岩佐 晴子)
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