令和2年6月 月例インターネット句会 Vol.100

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

ひとりとは声なき暮らし蚊遺香(星野 裕子)

薫風や森はいのちを繋ぎあふ(須藤恵美子)

吹きちぎらるる六月のひかりかな(里村 閑)

そばかすの素顔もいいね夏帽子(鈴木由里子)

紫陽花の彩を織り込む暮色かな(星野 裕子)

蟻地獄その一言の多かりし(堤 かがり)

迷宮の入口めきぬ木下闇(杉山 加織)

蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり(ななさと紅緒)


〇入選 31句

挨拶を交はし地を突く登山杖(竹俣 修)

炎天や銅板葺きの寺の屋根(松本由美子)

日常の戻る日待ちて六月来(清水 檀)

紫陽花の原種に近き新種かな(堤 かがり)

十薬に乗つ取られたる狭庭かな(岩佐 晴子)

紫陽花や観音堂の磴濡れて(須藤恵美子)

白菖蒲錆びゆく背筋正しをり(ななさと紅緒)

蕗を煮て一盞風の吹きとほる(里村 閑)

青き匂ひして鳥獣のついりかな(杉山 加織)

万緑や画家の愛したビーフカレー(松本由美子)

投薬を待つ長椅子の梅雨の冷(星野 裕子)

子にあらむ器用不器用ゆすらうめ(堤 かがり)

ぼうたんに羽衣の風立ちにけり(ななさと紅緒)

桑の実の路傍染めゆく濃紫(阿部ひで希)

足揃へ茅の輪潜りの母子かな(竹俣 修)

雑草と云はれどくだみ抜かれけり(清水 檀)

気まぐれな小雨青芝なる光(稲葉 京閑)

回転ドア抜けて夏日の蝶と駆く(ななさと紅緒)

渓谷の鮎の眠りや月天心(里村 閑)

死際の青き光や夏の朝(鈴木由里子)

新緑の静かな息吹雨後の森(阿部ひで希)

パクパクと水面に金魚喋り来る(竹俣 修)

紫陽花に迷い込みたる仔犬かな(森田 遊馬)

山積みの廃棄タイヤや梅雨出水(松本由美子)

大柄な父が子に塗る日焼け止め(稲葉 京閑)

白浴衣はや夕風を拾ひけり(ななさと紅緒)

流星の空を崩してゐる双樹(鈴木由里子)

青空へ素足踏みこむ田植かな(堤 かがり)

我が膝のコバルトクロム重き梅雨(岩佐 晴子)

薫風や欅大樹のさんざめく(須藤恵美子)

待つことに飽きて蠅虎縮む(杉山 加織)


互選

8票

ひとりとは声なき暮らし蚊遺香 (星野 裕子)


6票

石窯のピッツァ引き出す新樹晴(木暮陶句郎)


4票

青空へ素足踏みこむ田植かな(堤 かがり)

蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり(ななさと紅緒)


3票

足揃へ茅の輪潜りの母子かな(竹俣 修)

蟻地獄その一言の多かりし(堤 かがり)

それぞれに灯す闇あり蛍飛ぶ (堤 かがり)

白靴の明日へ蹴り上ぐ高さかな (杉山 加織)


2票

救急の響く山湖や新樹光(阿部ひで希)

大柄な父が子に塗る日焼け止め(稲葉 京閑)

薫風や森はいのちを繋ぎあふ(須藤恵美子)

纏ひゆく風の湿りや走り梅雨 (須藤恵美子)

回転ドア抜けて夏日の蝶と駆く(ななさと紅緒)

白浴衣はや夕風を拾ひけり(ななさと紅緒)

渓谷の鮎の眠りや月天心 (里村 閑)

流星の空を崩してゐる双樹 (鈴木由里子)

青き匂ひして鳥獣のついりかな(杉山 加織)

迷宮の入口めきぬ木下闇(杉山 加織)

太陽に触れ滝口となりにけり(木暮陶句郎)


1票

新緑の静かな息吹雨後の森(阿部ひで希)

挨拶を交はし地を突く登山杖 (竹俣 修)

卵呑み蛇飛び下りる真昼かな(竹俣 修)

田植機や地平線まで一直線(森田 遊馬)

ガラガラの電車抜け行く麦の秋 (小暮 肇)

若竹の香り掻きわけ杜の奥(安部じゅん)

今日もまた生きていくよと蛍飛ぶ(松本由美子)

日常の戻る日待ちて六月来(清水 檀)

木洩れ日の過る影あり黒揚羽 (清水 檀)

投薬を待つ長椅子の梅雨の冷(星野 裕子)

紫陽花の彩を織り込む暮色かな (星野 裕子)

薔薇の香や同心円の風となる(星野 裕子)

万緑に白鷺の白際立てり(岩佐 晴子)

紫陽花をどかんと活けし朝であり (岩佐 晴子)

我が膝のコバルトクロム重き梅雨 (岩佐 晴子)

騒ぐ子に終始無言の親燕 (稲葉 京閑)

白菖蒲錆びゆく背筋正しをり(ななさと紅緒)

吹きちぎらるる六月のひかりかな (里村 閑)

悲しみに目もくれもせず赤い薔薇(鈴木由里子)

そばかすの素顔もいいね夏帽子 (鈴木由里子)

十薬の白湿らせてゐる翳り(杉山 加織)

待つことに飽きて蠅虎縮む (杉山 加織)

猫が猫追ふ青嵐貫いて(木暮陶句郎)

鰻屋は臨時休業山日和(木暮陶句郎)


互選結果

◎山本彩 選

(45) 蟻地獄その一言の多かりし

(63) それぞれに灯す闇あり蛍飛ぶ

(71) 迷宮の入口めきぬ木下闇

(85) 蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり

(90) 鰻屋は臨時休業山日和


◎須藤恵美子 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(63) それぞれに灯す闇あり蛍飛ぶ

(67) 白浴衣はや夕風を拾ひけり

(71) 迷宮の入口めきぬ木下闇


◎小暮肇 選

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(30) 薫風や森はいのちを繋ぎあふ

(38) 足揃へ茅の輪潜りの母子かな

(42) 今日もまた生きていくよと蛍飛ぶ

(49) 回転ドア抜けて夏日の蝶と駆く


◎稲葉京閑 選

(2) 挨拶を交はし地を突く登山杖

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(36) 太陽に触れ滝口となりにけり

(63) それぞれに灯す闇あり蛍飛ぶ

(89) 待つことに飽きて蠅虎縮む

 

◎星野裕子 選

(17) 青き匂ひして鳥獣のついりかな

(30) 薫風や森はいのちを繋ぎあふ

(50) 渓谷の鮎の眠りや月天心

(61) 木洩れ日の過る影あり黒揚羽

(85) 蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり


◎堤かがり 選

(26) 投薬を待つ長椅子の梅雨の冷

(36) 太陽に触れ滝口となりにけり

(53) 十薬の白湿らせてゐる翳り

(67) 白浴衣はや夕風を拾ひけり

(85) 蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり


◎清水檀 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(48) 纏ひゆく風の湿りや走り梅雨

(55) 新緑の静かな息吹雨後の森

(81) 青空へ素足踏みこむ田植かな

(85) 蜘蛛の囲に大きな入日かかりけり


◎竹俣修 選

(1) 救急の響く山湖や新樹光

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(34) そばかすの素顔もいいね夏帽子

(81) 青空へ素足踏みこむ田植かな


◎ななさと紅緒 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(21) 田植機や地平線まで一直線

(35) 白靴の明日へ蹴り上ぐ高さかな

(45) 蟻地獄その一言の多かりし

(81) 青空へ素足踏みこむ田植かな


◎岩佐晴子 選

(35) 白靴の明日へ蹴り上ぐ高さかな

(38) 足揃へ茅の輪潜りの母子かな

(48) 纏ひゆく風の湿りや走り梅雨

(65) 大柄な父が子に塗る日焼け止め

(80) 薔薇の香や同心円の風となる


◎松本由美子 選

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(32) 吹きちぎらるる六月のひかりかな

(41) 若竹の香り掻きわけ杜の奥

(50) 渓谷の鮎の眠りや月天心

(70) 流星の空を崩してゐる双樹


◎鈴木由里子 選

(1) 救急の響く山湖や新樹光

(7) 日常の戻る日待ちて六月来

(17) 青き匂ひして鳥獣のついりかな

(49) 回転ドア抜けて夏日の蝶と駆く

(82) 我が膝のコバルトクロム重き梅雨


◎里村閑 選

(4) ガラガラの電車抜け行く麦の秋

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(38) 足揃へ茅の輪潜りの母子かな

(44) 紫陽花の彩を織り込む暮色かな

(64) 紫陽花をどかんと活けし朝であり


◎安部じゅん 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(16) 悲しみに目もくれもせず赤い薔薇

(20) 卵呑み蛇飛び下りる真昼かな

(35) 白靴の明日へ蹴り上ぐ高さかな

(45) 蟻地獄その一言の多かりし


◎阿部ひで希 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(10) 十薬に乗っ取られたる狭庭かな

(29) 騒ぐ子に終始無言の親燕

(70) 流星の空を崩してゐる双樹

(81) 青空へ素足踏みこむ田植かな


◎杉山加織 選

(8) ひとりとは声なき暮らし蚊遺香

(13) 白菖蒲錆びゆく背筋正しをり

(18) 石窯のピッツァ引き出す新樹晴

(54) 猫が猫追ふ青嵐貫いて

(65) 大柄な父が子に塗る日焼け止め

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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