令和6年5月 月例インターネット句会 Vol.147

木暮陶句郎 選

◎特選 11句

母植えし牡丹ほころぶ入所の日(安部 呑歩)

雛罌粟や三つ編太くおさげ髪(稲葉 京閑)

雨音の消えて波音花海桐(木村 佑)

客用の硬きスリッパ夏館(星野 裕子)

大過なく生きしが寂し夕端居(太田 直史)

筍や老人ホームはリフォーム中(安部 呑歩)

夏来る野菜サラダを大盛りで(堤 かがり)

洗ひ場の束子いきいき夏来たる(星野 裕子)

洗いたてのシャツの匂ひや初夏の雲(木下美樹枝)

更衣つめたき肘の触れにけり(堤 かがり)

木工の太き静脈夏めきぬ(木村 佑)


○入選 32句

鯉幟家の中まで華やいで(佐藤 聡)

葱坊主積みては倒す子の遊び(稲葉 京閑)

初蝶の指差し出せば風となる(中島 圭子)

夫のいた夏が又来て湖光る(渡辺 真澄)

ビル風に羽ばたきだして花水木(佐々木一栗)

万物の呼吸ととのふ五月かな(堤 かがり)

向日葵に覗かれてゐる三畳間(竹渕 昭彦)

葛餅や当たり散らすも好きだから(鈴木由里子)

その先の未来の光若楓(杉山 加織)

風薫る白球柵を超えにけり(高橋ちとせ)

夏の雲軍靴闊歩の九段坂(竹俣 修)

九輪草笑むせせらぎのお昼時(下境 洋子)

行く末は透明ならず心太(星野 裕子)

対岸の近くて遠き夏の雲(中島 圭子)

老人の手に嵌りたる古扇子(大渕 洋)

平然と熱き菖蒲湯浸かりけり(佐藤 聡)

こどもの日トランプ遊び手を抜かず(岩佐 晴子)

開眼の如き術後の青葉かな(清水 檀)

長きシャワー全敗喫す碁会の夜(大渕 洋)

夏めくやシールタトゥーの人魚姫(杉山 加織)

説教の欠伸こらえる目借時(高橋ちとせ)

五月闇暗渠へ落つる水の音(稲葉 京閑)

鎌を研ぐ俄か庭師や薄暑光(渡辺 真澄)

早起きのすがすがしさや若葉風(安部 呑歩)

弁当に持たせてくれた豆ご飯(小須賀正幸)

手羽先を塩で平らげ夏に入る(佐々木一栗)

鬼やんま池の青さを眼に溜める(竹渕 昭彦)

新緑の光まみれの影を踏む(杉山 加織)

蝙蝠や飛蚊症とは別の物(稲葉 京閑)

若葉風日の斑の躍る石畳(星野 裕子)

朝刊を広げるベンチ若葉風(小暮 蓮生)

リップだけ忍ばすバッグ夏来る(杉山 加織)


互選

7点句

薫風の端を啄む鳥の声(木暮陶句郎)


5点句

熱帯魚夜には会へぬ恋をして(木村 佑)


4点句

風を読む人差し指の天道虫(木下美樹枝)

行く末は透明ならず心太(星野 裕子)

洗ひ場の束子いきいき夏来たる(星野 裕子)

初蝶の指差し出せば風となる(中島 圭子)

雨音の消えて波音花海桐(木村 佑)


3点句

折り鶴に息吹き込みて風薫る(木下美樹枝)

鯉幟この世の塵も飲み込めり(下境 洋子)

万物の呼吸ととのふ五月かな(堤 かがり)

ちりぢりに逃げる野良ねこ追ふ薄暑(堤 かがり)

昼の陽を粉々にして風新樹(木暮陶句郎)

リップだけ忍ばすバッグ夏来る(杉山 加織)


2点句

風薫る白球柵を超えにけり(高橋ちとせ)

説教の欠伸こらえる目借時(高橋ちとせ)

異国語の風吹く銀座五月かな(竹俣 修)

指差し確認鉄路を渡る夏帽子(竹俣 修)

薫風や木々のつぶやき運びをり(下境 洋子)

五月闇暗渠へ落つる水の音(稲葉 京閑)

我が影の青を踏みゆく桜蘂(星野 裕子)

客用の硬きスリッパ夏館(星野 裕子)

自転車の補助輪とれし柿若葉(小暮 蓮生)

薫風や二つ手前でバス降りぬ(小暮 蓮生)

著莪の花箱根細工に母の詩(太田 直史)

大過なく生きしが寂し夕端居(太田 直史)

母植えし牡丹ほころぶ入所の日(安部 呑歩)

更衣つめたき肘の触れにけり(堤 かがり)

蛇苺牛舎にかへる牛の尻(竹渕 昭彦)

木工の太き静脈夏めきぬ(木村 佑)

その先の未来の光若楓(杉山 加織)


1点句

子供の日離れ住む娘を案じをり(高橋ちとせ)

鯉幟家の中まで華やいで(佐藤 聡)

指差し確認鉄路を渡る夏帽子(竹俣 修)

蝙蝠や飛蚊症とは別の物(稲葉 京閑)

夏立つや木々のざわめき森の声(岩佐 晴子)

こどもの日トランプ遊び手を抜かず(岩佐 晴子)

春惜しむ暇もなくて今日の日々(清水 檀)

開眼の如き術後の青葉かな(清水 檀)

この径はあの日の祖父と矢車草(清水 檀)

対岸の近くて遠き夏の雲(中島 圭子)

長きシャワー全敗喫す碁会の夜(大渕 洋)

夫のいた夏が又来て湖光る(渡辺 真澄)

夏燕の翻る空遠赤城(渡辺 真澄)

ランドセル傾き歩く麦の秋(小暮 蓮生)

青蔦の空をまさぐる拠りどころ(太田 直史)

夕立去ぬ山の匂ひの濁川(太田 直史)

ビル風に羽ばたきだして花水木(佐々木一栗)

鬼やんま池の青さを眼に溜める(竹渕 昭彦)

メロン食ぶ鬱なることも句にあらば(鈴木由里子)

駅までの真つ直ぐな道青葉風(木暮陶句郎)

遠回りしたる帰宅や夕薄暑(杉山 加織)

新緑の光まみれの影を踏む(杉山 加織)


互選結果

◎星野裕子 選

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(37) 青蔦の空をまさぐる拠りどころ

(75) 五月闇暗渠へ落つる水の音

(89) 熱帯魚夜には会へぬ恋をして

(97) 薫風や木々のつぶやき運びをり

◎小須賀正幸 選

(1) 折り鶴に息吹き込みて風薫る

(18) 万物の呼吸ととのふ五月かな

(44) メロン食ぶ鬱なることも句にあらば

(53) 客用の硬きスリッパ夏館

(98) 蝙蝠や飛蚊症とは別の物

◎渡辺真澄 選

(14) 著莪の花箱根細工に母の詩

(15) 母植えし牡丹ほころぶ入所の日

(43) 雨音の消えて波音花海桐

(88) 鬼やんま池の青さを眼に溜める

(112) 木工の太き静脈夏めきぬ


◎小暮蓮生 選

(10) 初蝶の指差し出せば風となる

(18) 万物の呼吸ととのふ五月かな

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(89) 熱帯魚夜には会へぬ恋をして

(97) 薫風や木々のつぶやき運びをり


◎堤かがり 選

(3) 鯉幟家の中まで華やいで

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(30) 行く末は透明ならず心太

(33) 対岸の近くて遠き夏の雲

(74) 鯉幟この世の塵も飲み込めり


◎稲葉京閑 選

(30) 行く末は透明ならず心太

(59) 薫風や二つ手前でバス降りぬ

(60) 大過なく生きしが寂し夕端居

(70) 風を読む人差し指の天道虫

(74) 鯉幟この世の塵も飲み込めり


◎鈴木由里子 選

(18) 万物の呼吸ととのふ五月かな

(53) 客用の硬きスリッパ夏館

(54) こどもの日トランプ遊び手を抜かず

(76) 洗ひ場の束子いきいき夏来たる

(112) 木工の太き静脈夏めきぬ


◎高橋ちとせ 選

(1) 折り鶴に息吹き込みて風薫る

(13) 自転車の補助輪とれし柿若葉

(31) 夏立つや木々のざわめき森の声

(46) 遠回りしたる帰宅や夕薄暑

(59) 薫風や二つ手前でバス降りぬ


◎中島圭子 選

(14) 著莪の花箱根細工に母の詩

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(43) 雨音の消えて波音花海桐

(76) 洗ひ場の束子いきいき夏来たる

(83) 夕立去ぬ山の匂ひの濁川


◎竹俣修 選

(13) 自転車の補助輪とれし柿若葉

(35) 夏燕の翻る空遠赤城

(41) ちりぢりに逃げる野良ねこ追ふ薄暑

(57) 長きシャワー全敗喫す碁会の夜

(114) 昼の陽を粉々にして風新樹


◎佐藤聡 選

(13) 自転車の補助輪とれし柿若葉

(35) 夏燕の翻る空遠赤城

(41) ちりぢりに逃げる野良ねこ追ふ薄暑

(57) 長きシャワー全敗喫す碁会の夜

(114) 昼の陽を粉々にして風新樹


◎木下美樹枝 選

(10) 初蝶の指差し出せば風となる

(25) 風薫る白球柵を超えにけり

(73) 異国語の風吹く銀座五月かな

(76) 洗ひ場の束子いきいき夏来たる

(89) 熱帯魚夜には会へぬ恋をして


◎下境洋子 選

(43) 雨音の消えて波音花海桐

(50) 指差し確認鉄路を渡る夏帽子

(82) ランドセル傾き歩く麦の秋

(91) 駅までの真つ直ぐな道青葉風

(111) 蛇苺牛舎にかへる牛の尻


◎竹渕昭彦 選

(7) 我が影の青を踏みゆく桜蘂

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(70) 風を読む人差し指の天道虫

(75) 五月闇暗渠へ落つる水の音

(101) この径はあの日の祖父と矢車草


◎清水檀 選

(12) 夫のいた夏が又来て湖光る

(23) その先の未来の光若楓

(30) 行く末は透明ならず心太

(70) 風を読む人差し指の天道虫

(73) 異国語の風吹く銀座五月かな


◎太田直史 選

(23) その先の未来の光若楓

(55) 開眼の如き術後の青葉かな

(70) 風を読む人差し指の天道虫

(104) 茅花噛む遠き記憶を呼び覚まし

(115) リップだけ忍ばすバッグ夏来る


◎木村佑 選

(17) ビル風に羽ばたきだして花水木

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(30) 行く末は透明ならず心太

(92) 新緑の光まみれの影を踏む

(115) リップだけ忍ばすバッグ夏来る


◎大渕洋 選

(10) 初蝶の指差し出せば風となる

(22) 薫風の端を啄む鳥の声

(60) 大過なく生きしが寂し夕端居

(110) 更衣つめたき肘の触れにけり

(114) 昼の陽を粉々にして風新樹


◎佐々木一栗 選

(7) 我が影の青を踏みゆく桜蘂

(15) 母植えし牡丹ほころぶ入所の日

(41) ちりぢりに逃げる野良ねこ追ふ薄暑

(111) 蛇苺牛舎にかへる牛の尻

(114) 昼の陽を粉々にして風新樹


◎岩佐晴子 選

(2) 子供の日離れ住む娘を案じをり

(25) 風薫る白球柵を超えにけり

(50) 指差し確認鉄路を渡る夏帽子

(71) 説教の欠伸こらえる目借時

(74) 鯉幟この世の塵も飲み込めり


◎杉山加織 選

(10) 初蝶の指差し出せば風となる

(43) 雨音の消えて波音花海桐

(76) 洗ひ場の束子いきいき夏来たる

(89) 熱帯魚夜には会へぬ恋をして

(110) 更衣つめたき肘の触れにけり

ひろそ火 句会.com

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