平成30年9月 月例インターネット句会 Vol.79結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 7句

けいさんばかりしている翁秋の暮(鬼形 瑞枝)

草の花活くれば君のゐるごとし(里村 閑)

ちつぽけな世界に励む夜業かな(杉山 加織)

手のひらにあるひとひらのいわし雲(中野 千秋)

白粉花や鄙のかをりに浸る径(清水 檀)

風の盆SP盤のおわら節(安部じゅん)

まだ化粧落とさぬピエロ長き夜(星野 裕子)


〇入選 27句 

悲しみの色深くして黒葡萄(鈴木由里子)

蜩の鳴き急ぎたる夕べかな(清水 檀)

透きとほる静脈に針曼珠沙華(星野 裕子)

寝不足に痛き朝日の曼珠沙華(堤 かがり)

パスタには茸たつぷり寿(岩佐 晴子)

ふるさとを見せたき人や水の秋(ななさと紅緒)

もののけのため秋草を刈りのこす(中野 千秋)

星屑を散らす谷底帽子花(鈴木由里子)

カーブ急勾配秋の深みゆく(稲葉 京閑)

老犬もふと立ち止まる秋夕焼(安部じゅん)

滅びゆく野に心音のある九月(星野 裕子)

山肌に並ぶショベルや秋黴雨(鬼形 瑞枝)

ペン先の秋灯の影ふと止まる(堤 かがり)

月光に金の透かしとなる草木(中野 千秋)

空濠の底で秋蝶羽畳む(阿部ひで希)

仲秋や二十歳乙女のグランドスラム(安部じゅん)

秋灯コントラバスの寝かされて(星野 裕子)

苦いもの食べたい齢新さんま(鬼形 瑞枝)

烏瓜才能ありし人も呆け(鈴木由里子)

山霧の湧き出ずる地ぞそは榛名(稲葉 京閑)

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく(里村 閑)

連結の車両の軋み鰯雲(堤 かがり)

夕霧や赤城裾野に灯の滲む(杉山 加織)

蓑皮をつるんと脱いできぬかつぎ(安部じゅん)

酔芙蓉少女をんなになりゆけり(里村 閑)

受話器よりはみだす声や敬老日(ななさと紅緒)

秋空の高きを少し怖れけり(中野 千秋)


互選

7票

水音も寄り添つてゐる虫の宿(木暮陶句郎)


4票

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく(里村 閑)

片方で虫の声聴く長電話(岩佐 晴子)


3票

古城址の起伏に沿つて秋の蝶(阿部ひで希)

まだ化粧落とさぬピエロ長き夜(星野 裕子)

月と寝る二階の障子開け放ち(岩佐 晴子)

受話器よりはみだす声や敬老日 (ななさと紅緒)

秋の蚊や重たき影を引き摺つて(杉山 加織)

ちつぽけな世界に励む夜業かな(杉山 加織)


2票

悲しみの色深くして黒葡萄(鈴木由里子)

蜩の鳴き急ぎたる夕べかな(清水 檀)

火と水の記憶を刻む原爆忌(稲葉 京閑)

滅びゆく野に心音のある九月(星野 裕子)

草の花活くれば君のゐるごとし(里村 閑)

連結の車両の軋み鰯雲(堤 かがり)

パスタには茸たつぷり寿 (岩佐 晴子)

賢治忌や紙の重しの笑ひ栗(ななさと紅緒)

もののけのため秋草を刈りのこす (中野 千秋)

秋空の高さを少し怖れけり(中野 千秋)

夕菅の星の記憶を消す旭(木暮陶句郎)


1票

烏瓜才能ありし人も呆け(鈴木由里子)

老犬もふと立ち止まる秋夕焼(安部じゅん)

秋灯コントラバスの寝かされて(星野 裕子)

けいさんばかりしている翁秋の暮(鬼形 瑞枝)

苦いもの食べたい齢新さんま(鬼形 瑞枝)

宵闇や野の花の私語ここかしこ(里村 閑)

酔芙蓉少女をんなになりゆけり(里村 閑)

寝不足に痛き朝日の曼珠沙華(堤 かがり)

ペン先の秋灯の影ふと止まる(堤 かがり)

掘りおこす不揃ひなれど芋の秋(堤 かがり)

ホームには傘傘傘の秋の雨(水上 一葉)

想ひでよ秋雨けぶる駿河台(水上 一葉)

断捨離と嘯く女今年酒(岩佐 晴子)

祖母の家のお菓子の扉小鳥くる(ななさと紅緒)

枝豆や食みて語りて忙しなき(杉山 加織)

夕霧や赤城裾野に灯の滲む(杉山 加織)

爽やかに人を褒めたる髭男(杉山 加織)

萩の戸の奥にかすみのやうに住む(中野 千秋)

どうしても虻に好かれて秋薊(木暮陶句郎)

秋声や詩ごころ風のやうなもの(木暮陶句郎)


互選結果

◎清水 檀

古城址の起伏に沿って秋の蝶

滅びゆく野に心音のある九月

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく

湖澄むや底にマグマを潜ませて

想ひでよ秋雨けぶる駿河台


◎水上 一葉

秋の蚊や重たき影を引き摺つて

ペン先の秋灯の影ふと止まる

片方で虫の声聴く長電話

枝豆や食みて語りて忙しなき

受話器よりはみだす声や敬老日


◎ななさと紅緒

けいさんばかりしている翁秋の暮

パスタには茸たつぷり寿

秋灯コントラバスの寝かされて

萩の戸の奥にかすみのやうに住む

湖澄むや底にマグマを潜ませて


◎岩佐 晴子

ちつぽけな世界に励む夜業かな

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく

爽やかに人を褒めたる髭男

秋空の高きを少し怖れけり

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎髙橋千登世

蜩の鳴き急ぎたる夕べかな

草の花活くれば君のゐるごとし

老犬もふと立ち止まる秋夕焼

月と寝る二階の障子開け放ち

苦いもの食べたい齢新さんま


◎星野 裕子

宵闇や野の花の私語ここかしこ

夕菅の星の記憶を消す旭

賢治忌や紙の重しの笑い栗

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎堤 かがり

月と寝る二階の障子開け放ち

ちつぽけな世界に励む夜業かな

まだ化粧落とさぬピエロ長き夜

雲ひとつ秋思のひとつのせてゆく

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎里村 閑

古城址の起伏に沿って秋の蝶

パスタには茸たつぷり寿

片方で虫の声聴く長電話

連結の車両の軋み鰯雲

秋空の高きを少し怖れけり


◎鈴木由里子

賢治忌や紙の重しの笑い栗

まだ化粧落とさぬピエロ長き夜

祖母の家のお菓子の扉小鳥くる

秋声や詩ごころ風のやうなもの

酔芙蓉少女をんなになりゆけり


◎稲葉 京閑

蜩の鳴き急ぎたる夕べかな

ちつぽけな世界に励む夜業かな

夕菅の星の記憶を消す旭

受話器よりはみだす声や敬老日

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎中野 千秋

悲しみの色深くして黒葡萄

古城址の起伏に沿って秋の蝶

秋の蚊や重たき影を引き摺つて

滅びゆく野に心音のある九月

受話器よりはみだす声や敬老日


◎鬼形 瑞枝

秋の蚊や重たき影を引き摺つて

月と寝る二階の障子開け放ち

片方で虫の声聴く長電話

ホームには傘傘傘の秋の雨

男捨離と嘯く女今年酒


◎阿部ひで希

寝不足に痛き朝日の曼珠沙華

もののけのため秋草を刈りのこす

掘りおこす不揃ひなれど芋の秋

夕霧や赤城裾野に灯の滲む

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎安部じゅん

悲しみの色深くして黒葡萄

片方で虫の声聴く長電話

烏瓜才能ありし人も呆け

連結の車両の軋み鰯雲

水音も寄り添つてゐる虫の宿


◎杉山 加織

草の花活くれば君のゐるごとし

もののけのため秋草を刈りのこす

どうしても虻に好かれて秋薊

まだ化粧落とさぬピエロ長き夜

水音も寄り添つてゐる虫の宿

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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