令和5年3月 月例インターネット句会 Vol.133

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

吾子の口うぐいす餅の粉まみれ(竹俣 修)

麦踏や地道に生きし父のこと(太田 直史)

春薄暮高き堤を人の影(木村 佑)

しあはせは良き香りして涅槃西風(杉山 加織)

電動に替へし自転車つくづくし(堤 かがり)

三月や賢治の森の鳥けもの(星野 裕子)

うりずんの海ただ眺めゐる絵の子(佐々木一栗)

一言で言へば幸せ花すみれ(木村 佑)

花菜風蒸気機関車動き出す(小暮 蓮生)

梅が香を潜りて君の待つ駅へ(木村 佑)


○入選 23句

春光や碍子艶々変電所(岩佐 晴子)

きのふより色濃き柳春の雨(大渕 洋)

アザレアや毎日ほめて声かけす(高橋ちとせ)

腕と腿大きくあげて春堤(佐々木一栗)

夜の梅の先の先なる星ひとつ(天田あすなろう)

囀やオフショルダーを似合はせて(鈴木由里子)

公園にチャイム鳴るなる春夕焼(森田 遊馬)

一センチ朝より伸びてチューリップ(岩佐 晴子)

春燈の紅柄格子ひがし茶屋(竹俣 修)

初蝶や陽を吸ひ込んで吐き出して(星野 裕子)

木の芽風術後の姉のぴくりとす(鈴木由里子)

風船を放ち新婦は彼の胸へ(木村 佑)

大利根へたんぽぽの夢解き放つ(佐々木一栗)

頑なに人拒む人風信子(鈴木由里子)

春日傘ショートヘアーのイヤリング(中島 圭子)

街騒のパステルカラー春の雨(杉山 加織)

朧月人気の店に客並ぶ(佐藤 聡)

春愁やなにか気になり死亡欄(太田 直史)

別れゆく君を見送る辛夷かな(佐藤 聡)

サイレンや工場群の目借り時(稲葉 京閑)

小気味良き歯音分葱のぬたなれば(下境 洋子)

うららかや工事休みの日曜日(高橋ちとせ)

卒業し卒業のなき恋探す(佐々木一栗)


互選

8点句

鼻に弾けて朧夜のハイボール(木暮陶句郎)


5点句

麦踏や地道に生きし父のこと(太田 直史)

白椿こころの端の錆び易く(木暮陶句郎)


4点句

三月や賢治の森の鳥けもの(星野 裕子)


3点句

殺生に始まる朝や浅蜊汁(岩佐 晴子)

春泥をこぼしてゆけりトラクター(星野 裕子)

黒髪を乱さず包むひひなかな(高橋ちとせ)

花菜風蒸気機関車動き出す(小暮 蓮生)

春光やお菓子の家のやうな駅(中島 圭子)

麻痺の手に紋白蝶の来て止まる(木村 佑)

一言で言へば幸せ花すみれ(木村 佑)


2点句

吾子の口うぐいす餅の粉まみれ(竹俣 修)

静寂のあさま山荘藪椿(竹俣 修)

卒業歌終生会へぬ友も居て(竹俣 修)

満天の星の直下の余寒かな(稲葉 京閑)

朽舟に潮の香残す鰆東風(稲葉 京閑)

蒲公英の絮のひたすら風待てり(小暮 蓮生)

夜の梅の先の先なる星ひとつ(天田あすなろう)

入信も一つの安堵春北斗(太田 直史)

梅真白無傷の空に昼の月(中島 圭子)

ものの芽や茶柱揺らす指拍子(山本 彩)

やはらかくくちばしぶつけ鳥の恋(木暮陶句郎)

空色を乱さぬやうに鳥雲に(杉山 加織)


1点句

万愚節心中してと言はれても(岩佐 晴子)

春光や富士全貌を車窓から(岩佐 晴子)

春霞静かに誰かを想うかな(佐藤 聡)

きのふより色濃き柳春の雨(大渕 洋)

金縷梅やまだ根開きの雑木山(大渕 洋)

点々と巌流島の落椿(稲葉 京閑)

囀りや朝の俎板活躍中(下境 洋子)

涅槃雪誰にも言へぬ胸の内(星野 裕子)

初蝶や陽を吸ひ込んで吐き出して(星野 裕子)

落椿踏まずに歩くとびとびに(高橋ちとせ)

春満月雲の褥に消えさうな(清水 檀)

寝返りの孫へ揺らひでゐる春日(佐々木一栗)

卒業し卒業のなき恋探す(佐々木一栗)

梅の香のまだうごかざる夜の庭(天田あすなろう)

囀やオフショルダーを似合わせて(鈴木由里子)

頑なに人拒む人風信子(鈴木由里子)

蕨狩聞きなしの声聞きながら(太田 直史)

キャンパスに歓喜満つるや春の雨(森田 遊馬)

荒れ果てた寺を彩る仏の座(森田 遊馬)

囀りをゆりかごにして二度寝かな(森田 遊馬)

こんな夜寄居の町に春の猫(小須賀正幸)

公休日何はともあれ先ず朝寝(小須賀正幸)

梅が香を潜りて君の待つ駅へ(木村 佑)

地虫出づまた闘ひの始まりぬ(木村 佑)

初蝶の案内請ふて道祖神(安部 呑歩)

列車行く小海の里の花辛夷(安部 呑歩)

恋猫の喧嘩相手となり踊る(山本 彩)

春闘や準人間の手弁当(山本 彩)

春分や光ほどける子守唄(山本 彩)

笛を吹くやうに蕊立て薮椿(木暮陶句郎)

星座めく画鋲の穴や春愁ひ(木暮陶句郎)

街騒のパステルカラー春の雨(杉山 加織)

春星や黙りがちなる旅の果(杉山 加織)


互選結果

◎星野裕子 選

(5) 満天の星の直下の余寒かな

(69) 街騒のパステルカラー春の雨

(85) 春光やお菓子の家のやうな駅

(91) 白椿こころの端の錆び易く

(108) 梅真白無傷の空に昼の月


◎小暮蓮生 選

(14) 麦踏や地道に生きし父のこと

(38) キャンパスに歓喜満つるや春の雨

(50) 静寂のあさま山荘藪椿

(73) 卒業歌終生会へぬ友も居て

(90) 春分や光ほどける子守唄


◎中島圭子 選

(37) 入信も一つの安堵春北斗

(46) 空色を乱さぬやうに鳥雲に

(51) 朽舟に潮の香残す鰆東風

(78) 春満月雲の褥に消えさうな

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎佐藤聡 選

(3) きのふより色濃き柳春の雨

(5) 満天の星の直下の余寒かな

(14) 麦踏や地道に生きし父のこと

(102) 卒業し卒業のなき恋探す

(109) 公休日何はともあれ先ず朝寝


◎小須賀正幸 選

(50) 静寂のあさま山荘藪椿

(67) 春闘や準人間の手弁当

(70) 殺生に始まる朝や浅蜊汁

(93) 春光や富士全貌を車窓から

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎堤かがり 選

(14) 麦踏や地道に生きし父のこと

(64) 麻痺の手に紋白蝶の来て止まる

(91) 白椿こころの端の錆び易く

(99) 春泥をこぼしてゆけりトラクター

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎高橋ちとせ 選

(14) 麦踏や地道に生きし父のこと

(25) 春霞静かに誰かを想うかな

(64) 麻痺の手に紋白蝶の来て止まる

(73) 卒業歌終生会へぬ友も居て

(110) 梅が香を潜りて君の待つ駅へ


◎下境洋子 選

(4) 吾子の口うぐいす餅の粉まみれ

(13) 囀やオフショルダーを似合わせて

(14) 麦踏や地道に生きし父のこと

(45) やはらかくくちばしぶつけ鳥の恋

(89) 列車行く小海の里の花辛夷


◎竹俣修 選

(66) 初蝶の案内請ふて道祖神

(75) 囀りや朝の俎板活躍中

(77) 黒髪を乱さず包むひひなかな

(103) 花菜風蒸気機関車動き出す

(107) 囀りをゆりかごにして二度寝かな


◎木村佑 選

(46) 空色を乱さぬやうに鳥雲に

(92) 春星や黙りがちなる旅の果

(103) 花菜風蒸気機関車動き出す

(108) 梅真白無傷の空に昼の月

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎鈴木由里子 選

(44) 恋猫の喧嘩相手となり踊る

(53) 三月や賢治の森の鳥けもの

(68) 星座めく画鋲の穴や春愁ひ

(72) 金縷梅やまだ根開きの雑木山

(74) 点々と巌流島の落椿


◎清水檀 選

(12) 夜の梅の先の先なる星ひとつ

(33) 寝返りの孫へ揺らひでゐる春日

(51) 朽舟に潮の香残す鰆東風

(91) 白椿こころの端の錆び易く

(99) 春泥をこぼしてゆけりトラクター


◎太田直史 選

(21) ものの芽や茶柱揺らす指拍子

(53) 三月や賢治の森の鳥けもの

(91) 白椿こころの端の錆び易く

(103) 花菜風蒸気機関車動き出す

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎天田あすなろう 選

(17) こんな夜寄居の町に春の猫

(21) ものの芽や茶柱揺らす指拍子

(31) 落椿踏まずに歩くとびとびに

(53) 三月や賢治の森の鳥けもの

(57) 蒲公英の絮のひたすら風待てり


◎山本彩 選

(22) 笛を吹くやうに蕊立て薮椿

(30) 初蝶や陽を吸ひ込んで吐き出して

(35) 梅の香のまだうごかざる夜の庭

(64) 麻痺の手に紋白蝶の来て止まる

(70) 殺生に始まる朝や浅蜊汁


◎大渕洋 選

(37) 入信も一つの安堵春北斗

(77) 黒髪を乱さず包むひひなかな

(85) 春光やお菓子の家のやうな駅

(87) 一言で言へば幸せ花すみれ

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎佐々木一栗 選

(12) 夜の梅の先の先なる星ひとつ

(45) やはらかくくちばしぶつけ鳥の恋

(99) 春泥をこぼしてゆけりトラクター

(106) 蕨狩聞きなしの声聞きながら

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール


◎稲葉京閑 選

(59) 頑なに人拒む人風信子

(70) 殺生に始まる朝や浅蜊汁

(77) 黒髪を乱さず包むひひなかな

(87) 一言で言へば幸せ花すみれ

(111) 地虫出づまた闘ひの始まりぬ


◎安部吞歩 選

(7) 涅槃雪誰にも言へぬ胸の内

(47) 万愚節心中してと言はれても

(53) 三月や賢治の森の鳥けもの

(61) 荒れ果てた寺を彩る仏の座

(85) 春光やお菓子の家のやうな駅


◎杉山加織 選

(4) 吾子の口うぐいす餅の粉まみれ

(57) 蒲公英の絮のひたすら風待てり

(87) 一言で言へば幸せ花すみれ

(91) 白椿こころの端の錆び易く

(114) 鼻に弾けて朧夜のハイボール

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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