令和5年2月 月例インターネット句会 Vol.132

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

空き腹に牛乳沁みる雨水かな(小須賀正幸)

春眠し語尾間延びする韓国語(杉山 加織)

クロッカス風の休んでゐる正午(佐々木一栗)

火にかけて鬼ヶ島めく栄螺かな(木村 佑)

春光のやや焦げ臭く懐かしく(大渕 洋)

逢ひたきは早世の妣雛飾る(岩佐 晴子)

木洩れ日の影絵は柔き春障子(清水 檀)

春の風好きな言葉があふれ出す(星野 裕子)

犬ふぐり褒められしより煌めける(堤 かがり)

月おぼろ耳触り良き君の声(木村 佑)


○入選 27句

到着の電車の屋根に雪女郎(竹俣 修)

日脚伸ぶ一句作りて今日終わる(高橋ちとせ)

靴下を放り投げる子水温む(佐々木一栗)

明けてまだハグは禁止の御慶かな(稲葉 京閑)

水温む多摩大橋に鳥の群れ(森田 遊馬)

待春の心ばかりが先走り(清水 檀)

春の霜フォションのパンとアールグレイ(安部 呑歩)

降りて来るスキーリフトに雪女郎(竹俣 修) 

二杯目のロック薄まる春炬燵(大渕 洋)

いかのぼり秩父連山引き寄せて(小暮 蓮生)

水温む徐々に解け行く蟠り(岩佐 晴子)

春一番雪かき棒のピルエット(安部 呑歩)

新色のルージュ買ふ街春隣(下境 洋子)

洗礼のやうなる雨に耕せり(中島 圭子)

春の雨校門で待つ母の傘(佐々木一栗)

雪一日つけっぱなしのテレビジョン(稲葉 京閑)

手術痕なぞる指先凍返る(堤 かがり)

箸で割るだし巻き卵うららけし(木村 佑)

わかれ来て梅の余情の深まりぬ(星野 裕子)

春の雪ゴールポストは寝かされて(佐々木一栗)

沖縄のキャンプ便りや春隣(森田 遊馬)

街の灯を離るる船やめばる釣る(木村 佑)

墨滲む入札箱や春寒し(杉山 加織)

卒業すギター混じりの準備室(鈴木由里子)

東風吹いて前髪ふはりかきあげて(佐々木一栗)

山峡の小さき耕続きをり(稲葉 京閑)

上州の風と太陽菠薐草(岩佐 晴子)


互選

5点句

新色のルージュ買ふ街春隣(下境 洋子)

どの穴も命の出入り潮干潟(太田 直史)

せせらぎに触れてゆきたる木の芽風(木暮陶句郎)


4点句

よろこびの胸の着水春の鴨(星野 裕子)

降り急ぎ消え急ぎして春の雪(清水 檀)

囀の転調したる風の午後(木暮陶句郎)


3点句

わかれ来て梅の余情の深まりぬ(星野 裕子)

いかのぼり秩父連山引き寄せて(小暮 蓮生)

朝刊を捲れば出づる余寒かな(小暮 蓮生)


2点句

手櫛して春めく街へ繰り出しぬ(大渕 洋)

二杯目のロック薄まる春炬燵(大渕 洋)

春光のやや焦げ臭く懐かしく(大渕 洋)

春の風好きな言葉があふれ出す(星野 裕子)

春寒し瑠璃色溢す絵の具箱(鈴木由里子)

空青し咲き初む梅を数へをり(中島 圭子)

汐の香や夫誕辰の春の膳(中島 圭子)

靴下を放り投げる子水温む(佐々木一栗)

クロッカス風の休んでゐる正午(佐々木一栗)

春の雨校門で待つ母の傘(佐々木一栗)

雪形の裾野の村の競べ馬(太田 直史)

白梅のひねもす香る城下町(森田 遊馬)

膝蹴ってはや恋猫となりにけり(堤 かがり)

手術痕なぞる指先凍返る(堤 かがり)

犬ふぐり褒められしより煌めける(堤 かがり)

街の灯を離るる船やめばる釣る(木村 佑)

待春の心ばかりが先走り(清水 檀)

探梅や丘の朝日を踏みながら(清水 檀)

胸張つて飛び立つ構へ春の鴨(木暮陶句郎)

朧夜を広げて柱時計鳴る(木暮陶句郎)


1点句

到着の電車の屋根に雪女郎(竹俣 修)

降りて来るスキーリフトに雪女郎(竹俣 修)

雪玉の標的となる雪をんな(竹俣 修)

アネモネの咲く家白き扉開く(下境 洋子)

春告げる物みな淡く匂ひ立つ(星野 裕子)

紅梅は少女白梅は少年(星野 裕子)

草青む思ひ出にすらなれなくて(鈴木由里子)

卒業すギター混じりの準備室(鈴木由里子)

洗礼のやうなる雨に耕せり(中島 圭子)

まだ咲くなといふかのごと春の雪(小暮 蓮生)

春の雪ゴールポストは寝かされて(佐々木一栗)

東風吹いて前髪ふはりかきあげて(佐々木一栗)

回覧に土間まで薫る焼く目刺(小須賀正幸)

雪一日つけつぱなしのテレビジョン(稲葉 京閑)

春溢る大八を曳く白川女(太田 直史)

ちぐはぐな挨拶交はす浅き春(森田 遊馬)

沖縄のキャンプ便りや春隣(森田 遊馬)

水温む徐々に解け行く蟠り(岩佐 晴子)

逢ひたきは早世の妣雛飾る(岩佐 晴子)

火にかけて鬼ヶ島めく栄螺かな(木村 佑)

木洩れ日の影絵は柔き春障子(清水 檀)

降り積もる白き静寂や春の雪(清水 檀)

春の霜フォションのパンとアールグレイ(安部 吞歩)

墨滲む入札箱や春寒し(杉山 加織)

雛飾り終へて淋しき顔をして(木暮陶句郎)


互選結果

◎小暮蓮生 選

(6) 春寒し瑠璃色溢す絵の具箱

(41) 探梅や丘の朝日を踏みながら

(53) 春の雨校門で待つ母の傘

(85) 降り積もる白き静寂や春の雪

(92) 春の風好きな言葉があふれ出す


◎星野裕子 選

(6) 春寒し瑠璃色溢す絵の具箱

(22) せせらぎに触れてゆきたる木の芽風

(46) 新色のルージュ買ふ街春隣

(66) 囀の転調したる風の午後

(110) 雛飾り終へて淋しき顔をして


◎岩佐晴子 選

(3) 手櫛して春めく街へ繰り出しぬ

(19) 待春の心ばかりが先走り

(46) 新色のルージュ買ふ街春隣

(56) 雪一日つけっぱなしのテレビジョン

(70) わかれ来て梅の余情の深まりぬ


◎高橋ちとせ 選

(8) 朝刊を捲れば出づる余寒かな

(37) 白梅のひねもす香る城下町

(57) 雪形の裾野の村の競べ馬

(70) わかれ来て梅の余情の深まりぬ

(84) 街の灯を離るる船やめばる釣る


◎中島圭子 選

(4) よろこびの胸の着水春の鴨

(25) 二杯目のロック薄まる春炬燵

(35) 春溢る大八を曳く白川女

(46) 新色のルージュ買ふ街春隣

(79) どの穴も命の出入り潮干潟


◎山本彩 選

(33) 回覧に土間まで薫る焼く目刺

(40) 火にかけて鬼ヶ島めく栄螺かな

(51) 洗礼のやうなる雨に耕せり

(59) ちぐはぐな挨拶交わす浅き春

(66) 囀の転調したる風の午後


◎堤かがり 選

(22) せせらぎに触れてゆきたる木の芽風

(30) いかのぼり秩父連山引き寄せて

(44) 胸張つて飛び立つ構へ春の鴨

(75) 春の雪ゴールポストは寝かされて

(107) 降り急ぎ消え急ぎして春の雪


◎竹俣修 選

(3) 手櫛して春めく街へ繰り出しぬ

(30) いかのぼり秩父連山引き寄せて

(73) 空青し咲き初む梅を数へをり

(79) どの穴も命の出入り潮干潟

(94) 卒業すギター混じりの準備室


◎小須賀正幸 選

(1) 到着の電車の屋根に雪女郎

(20) 春の霜フォションのパンとアールグレイ

(25) 二杯目のロック薄まる春炬燵

(47) 春光のやや焦げ臭く懐かしく

(67) 雪玉の標的となる雪をんな


◎下境洋子 選

(4) よろこびの胸の着水春の鴨

(22) せせらぎに触れてゆきたる木の芽風

(31) クロッカス風の休んでゐる正午

(63) 木洩れ日の影絵は柔き春障子

(73) 空青し咲き初む梅を数へをり


◎大渕洋 選

(22) せせらぎに触れてゆきたる木の芽風

(44) 胸張つて飛び立つ構へ春の鴨

(46) 新色のルージュ買ふ街春隣

(57) 雪形の裾野の村の競べ馬

(95) 汐の香や夫誕辰の春の膳


◎天田あすなろう 選

(9) 靴下を放り投げる子水温む

(22) せせらぎに触れてゆきたる木の芽風

(38) 膝蹴ってはや恋猫となりにけり

(47) 春光のやや焦げ臭く懐かしく

(52) まだ咲くなといふかのごと春の雪


◎稲葉京閑 選

(19) 待春の心ばかりが先走り

(38) 膝蹴ってはや恋猫となりにけり

(79) どの穴も命の出入り潮干潟

(88) 朧夜を広げて柱時計鳴る

(107) 降り急ぎ消え急ぎして春の雪


◎佐々木一栗 選

(48) 紅梅は少女白梅は少年

(60) 手術痕なぞる指先凍返る

(84) 街の灯を離るる船やめばる釣る

(88) 朧夜を広げて柱時計鳴る

(107) 降り急ぎ消え急ぎして春の雪


◎太田直史 選

(8) 朝刊を捲れば出づる余寒かな

(39) 水温む徐々に解け行く蟠り

(61) 逢ひたきは早世の妣雛飾る

(66) 囀の転調したる風の午後

(95) 汐の香や夫誕辰の春の膳


◎清水檀 選

(8) 朝刊を捲れば出づる余寒かな

(24) アネモネの咲く家白き扉開く

(30) いかのぼり秩父連山引き寄せて

(37) 白梅のひねもす香る城下町

(50) 草青む思ひ出にすらなれなくて


◎木村佑 選

(4) よろこびの胸の着水春の鴨

(31) クロッカス風の休んでゐる正午

(60) 手術痕なぞる指先凍返る

(70) わかれ来て梅の余情の深まりぬ

(104) 犬ふぐり褒められしより煌めける


◎鈴木由里子 選

(9) 靴下を放り投げる子水温む

(26) 春告げる物みな淡く匂ひ立つ

(41) 探梅や丘の朝日を踏みながら

(81) 沖縄のキャンプ便りや春隣

(87) 墨滲む入札箱や春寒し


◎安部吞歩 選

(23) 降りて来るスキーリフトに雪女郎

(53) 春の雨校門で待つ母の傘

(66) 囀の転調したる風の午後

(79) どの穴も命の出入り潮干潟

(97) 東風吹いて前髪ふはりかきあげて

(107) 降り急ぎ消え急ぎして春の雪


◎杉山加織 選

(4) よろこびの胸の着水春の鴨

(46) 新色のルージュ買ふ街春隣

(79) どの穴も命の出入り潮干潟

(92) 春の風好きな言葉があふれ出す

(104) 犬ふぐり褒められしより煌めける

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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