令和4年12月 月例インターネット句会 Vol.130

木暮陶句郎 選

◎特選 9句

間取り図の角に茶箪笥冬紅葉(鈴木由里子)

水餅の幼心に可笑しけり(小須賀正幸)

冬の空風の上ゆくセスナかな(佐々木一栗)

聖夜の灯バカラグラスの予約席(杉山 加織)

下校子の野太き声や冬田道(大渕 洋)

冬深しICUのある五階(森田 遊馬)

冬夕焼鏡に眩し理髪店(太田 直史)

生返事ひとつ炬燵へ滑り込む(木村 佑)

波音が波に寄り添ひ冬の暮(星野 裕子)


○入選 19句

左襟ばかり擦り減るちゃんちゃんこ(大渕 洋)

蜂蜜のリップクリーム山眠る(鈴木由里子)

ばね指をさすり摩りて柚子湯かな(中島 圭子)

冬籠人を倦みつつ人恋し(太田 直史)

冬灯妣の箪笥のナフタリン(星野 裕子)

白障子独り住まひの仄明かり(中島 圭子)

チェーン細きピアス掛け置く冬の月(杉山 加織)

冬薔薇や目の離せなくなるドラマ(鈴木由里子)

使ひ捨てのマスク芥箱けふ終る(星野 裕子)

瀲灎とはやがて大海の凍星(中島 圭子)

日向ぼこ心身共に医者要らず(太田 直史)

冬枯の空地立入禁止かな(堤 かがり)

雪吊や水の匂ひの美しく(鈴木由里子)

聖夜待つネット予約のプレゼント(中島 圭子)

あの時はそうでしたねとおでん減る(小須賀正幸)

冬凪や転がりやすき恋心(鈴木由里子)

家々の灯消しゆく除夜の鐘(下境 洋子)

冬灯底に沈めて赤ワイン(杉山 加織)

すさまじや踏む樟の実に血の匂い(稲葉 京閑)


互選

5点句

掌に馴染む素焼きのうさぎ冬ぬくし(清水 檀)

海光を斬りて繋ぎて冬かもめ(木暮陶句郎)

冬灯底に沈めて赤ワイン(杉山 加織)


4点句

冬夕焼鏡に眩し理髪店(太田 直史)

初雪の吐息に消えてしまひけり(杉山 加織)


3点句

聖夜なるメルヘン行きの観覧車(下境 洋子)

冬籠人を倦みつつ人恋し(太田 直史)

生返事ひとつ炬燵へ滑り込む(木村 佑)

白波の眩しく時化て相模灘(木暮陶句郎)

数へ日や赤ペンで消す備忘録(木暮陶句郎)

枯芝に光こぼして子ら走る(木暮陶句郎)

聖夜の灯バカラグラスの予約席(杉山 加織)


2点句

左襟ばかり擦り減るちゃんちゃんこ(大渕 洋)

冬凪や転がりやすき恋心(鈴木由里子)

避泊する漁船の軋み冬の波(竹俣 修)

家々の灯消しゆく除夜の鐘(下境 洋子)

冬深しICUのある五階(森田 遊馬)

冬灯妣の箪笥のナフタリン(星野 裕子)

義士の日のパンタグラフの火花かな(木暮陶句郎)


1点句

世話人の御神札注文とる師走(大渕 洋)

下校子の野太き声や冬田道(大渕 洋)

閑人の喜々として掃く落葉かな(大渕 洋)

蜂蜜のリップクリーム山眠る(鈴木由里子)

雪吊や水の匂ひの美しく(鈴木由里子)

冬日和干し蛸吊るす日間賀島(竹俣 修)

暁光の艶を重ねし冬紅葉(佐々木一栗)

冬の空風の上ゆくセスナかな(佐々木一栗)

真つさきに誰そ彼を知る冬木立(佐々木一栗)

年惜しむ鎌倉殿の果ての果て(下境 洋子)

太陽を独り占めせし大枯木(小暮 肇)

吟行日残る紅葉の人だかり(小暮 肇)

高齢者と呼ばれ初むや冬薔薇(小暮 肇)

落葉径蹴散らし歩む悪女かな(小暮 肇)

上州の風強きかな虎落笛(高橋ちとせ)

凩がさらって行きし毛野山河(星野 裕子)

短日や笛吹きケトル高らかに(星野 裕子)

波音が波に寄り添ひ冬の暮(星野 裕子)

年の瀬や笑ひで過ごす落語会(清水 檀)

咳込みて人目憚りをりしかな(清水 檀)

白障子独り住まひの仄明かり(中島 圭子)

あの時はそうでしたねとおでん減る(小須賀正幸)

大雪や振り子時計の音沈め(安部 呑歩)

両腕から毛糸巻き取る母若し(安部 呑歩)

ラガー跳ぶ大き男の手の先へ(木村 佑)

着ぶくれて膝を抱へて海を見る(木村 佑)

湿布貼る手の冷たさに震へけり(堤 かがり)

鉄棒は冷たし鬼遊び盛ん(堤 かがり)

マフラーで決まる明日のコーディネート(杉山 加織)

すさまじや踏む樟の実に血の匂ひ(稲葉 京閑)


互選結果

◎稲葉京閑 選

(17) 白波の眩しく時化て相模灘

(36) 数へ日や赤ペンで消す備忘録

(60) 避泊する漁船の軋み冬の波

(69) 冬夕焼鏡に眩し理髪店

(74) 義士の日のパンタグラフの火花かな


◎高橋ちとせ 選

(1) 左襟ばかり擦り減るちゃんちゃんこ

(15) ラガー跳ぶ大き男の手の先へ

(48) 年の瀬や笑ひで過ごす落語会

(58) 下校子の野太き声や冬田道

(85) 波音が波に寄り添ひ冬の暮


◎小須賀正幸 選

(1) 左襟ばかり擦り減るちゃんちゃんこ

(2) 蜂蜜のリップクリーム山眠る

(7) 上州の風強きかな虎落笛

(40) 冬薔薇や目の離せなくなるドラマ

(95) すさまじや踏む樟の実に血の匂い


◎星野裕子 選

(4) 暁光の艶を重ねし冬紅葉

(25) 太陽を独り占めせし大枯木

(56) 聖夜の灯バカラグラスの予約席

(78) 冬凪や転がりやすき恋心

(94) 冬灯底に沈めて赤ワイン


◎大渕洋 選

(12) 冬籠人を倦みつつ人恋し

(16) 湿布貼る手の冷たさに震へけり

(55) 枯芝に光こぼして子ら走る

(93) 海光を斬りて繋ぎて冬かもめ

(94) 冬灯底に沈めて赤ワイン


◎木村佑 選

(12) 冬籠人を倦みつつ人恋し

(17) 白波の眩しく時化て相模灘

(29) 掌に馴染む素焼きのうさぎ冬ぬくし

(81) 家々の灯消しゆく除夜の鐘

(93) 海光を斬りて繋ぎて冬かもめ


◎下境洋子 選

(18) マフラーで決まる明日のコーディネート

(21) 間取り図の角に茶箪笥冬紅葉

(29) 掌に馴染む素焼きのうさぎ冬ぬくし

(63) 高齢者と呼ばれ初むや冬薔薇

(77) 閑人の喜々として掃く落葉かな


◎鈴木由里子 選

(14) 大雪や振り子時計の音沈め

(15) ラガー跳ぶ大き男の手の先へ

(56) 聖夜の灯バカラグラスの予約席

(93) 海光を斬りて繋ぎて冬かもめ

(94) 冬灯底に沈めて赤ワイン


◎小暮肇 選

(36) 数へ日や赤ペンで消す備忘録

(59) 雪吊や水の匂ひの美しく

(65) 冬深しICUのある五階

(69) 冬夕焼鏡に眩し理髪店

(72) 生返事ひとつ炬燵へ滑り込む


◎中島圭子 選

(36) 数へ日や赤ペンで消す備忘録

(43) 聖夜なるメルヘン行きの観覧車

(56) 聖夜の灯バカラグラスの予約席

(75) 初雪の吐息に消えてしまひけり

(93) 海光を斬りて繋ぎて冬かもめ


◎堤かがり 選

(42) 冬の空風の上ゆくセスナかな

(69) 冬夕焼鏡に眩し理髪店

(72) 生返事ひとつ炬燵へ滑り込む

(86) 咳込みて人目憚りをりしかな

(94) 冬灯底に沈めて赤ワイン


◎竹俣修 選

(28) 冬灯妣の箪笥のナフタリン

(33) 両腕から毛糸巻き取る母若し

(43) 聖夜なるメルヘン行きの観覧車

(69) 冬夕焼鏡に眩し理髪店

(81) 家々の灯消しゆく除夜の鐘


◎太田直史 選

(17) 白波の眩しく時化て相模灘

(22) 冬日和干し蛸吊るす日間賀島

(29) 掌に馴染む素焼きのうさぎ冬ぬくし

(60) 避泊する漁船の軋み冬の波

(74) 義士の日のパンタグラフの火花かな


◎清水檀 選

(9) 凩がさらって行きし毛野山河

(28) 冬灯妣の箪笥のナフタリン

(30) 白障子独り住まひの仄明かり

(43) 聖夜なるメルヘン行きの観覧車

(75) 初雪の吐息に消えてしまひけり


◎佐々木一栗 選

(55) 枯芝に光こぼして子ら走る

(72) 生返事ひとつ炬燵へ滑り込む

(75) 初雪の吐息に消えてしまひけり

(93) 海光を斬りて繋ぎて冬かもめ

(94) 冬灯底に沈めて赤ワイン


◎天田あすなろう 選

(24) 年惜しむ鎌倉殿の果ての果て

(44) 吟行日残る紅葉の人だかり

(66) 短日や笛吹きケトル高らかに

(75) 初雪の吐息に消えてしまひけり

(78) 冬凪や転がりやすき恋心


◎杉山加織 選

(24) 年惜しむ鎌倉殿の果ての果て

(44) 吟行日残る紅葉の人だかり

(66) 短日や笛吹きケトル高らかに

(75) 初雪の吐息に消えてしまひけり

(78) 冬凪や転がりやすき恋心


◎安部吞歩 選

(29) 掌に馴染む素焼きのうさぎ冬ぬくし

(35) 鉄棒は冷たし鬼遊び盛ん

(55) 枯芝に光こぼして子ら走る

(70) あの時はそうでしたねとおでん減る

(82) 落葉径蹴散らし歩む悪女かな

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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