令和3年11月 月例インターネット句会 Vol.117

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

息白く沓脱ぎ石の湿りかな(中島 圭子)

竹を伐る風あるときは有るやうに(大渕 洋)

雪催山の向かうの貨車の音(里村 閑)

狩の宿六腑を熱く眠りけり(ななさと紅緒)

君と見し記憶の中の帰り花(佐々木一栗)

雪虫の測る術なき重さかな(大渕 洋)

鍋据える位置に拘り芋煮会(稲葉 京閑)

立冬や白磁の皿に温野菜(里村 閑)

枯菊の炎に置ける手紙かな(ななさと紅緒)

靴紐のちくりと痛きゐのこづち(堤 かがり)


〇入選 30句

蜘蛛の巣の雨粒光る初冬かな(森田 遊馬)

いつまでも死ぬ気がしない小春の日(岩佐 晴子)

テレビよく見ゆるが上座掘炬燵(ななさと紅緒)

手を翳したき箒木の紅葉かな(清水 檀)

スカボローフェア流るるや冬の町(鈴木由里子)

垣間みる壁画あざやか神の留守(堤 かがり)

小さくなりし母の背中に小六月(井野 紫)

短日のデッキチェアの硬きこと(杉山 加織)

掌中に跳ねるばったの命かな(竹俣 修)

号砲の空割にけり運動会(小暮 肇)

天辺の雲突き刺して大枯木(佐々木一栗)

山住みを確かなものに鹿の声(岩佐 晴子)

秋日和何処にも行かず何もせず(清水 檀)

外仕事いまだ終わらず冬に入る(高橋ちとせ)

街しづか風は山茶花片寄せて(木村 佑)

閃きは眉間にありて冬の星(杉山 加織)

二人居の別々にある置炬燵(中島 圭子)

空といふ蓋の外れて石蕗の花(里村 閑)

木枯一号だいだい色の灯へ帰る(ななさと紅緒)

たつぷりと鉢に水やる小春かな(堤 かがり)

霜踏みて還暦のこゑ身に染みぬ(井野 紫)

旅心募らせ冬の軽井沢(杉山 加織)

小春日や校庭揺らす万国旗(小暮 肇)

押し寄せる闇突つぱねて焚火かな(佐々木一栗)

ひらひらとバイクのあとの落葉かな(森田 遊馬)

生返事ばかりの君や神の留守(杉山 加織)

冴ゆる夜のコンビナートの灯の眩し(竹俣 修)

磁気嵐来るてふ夜の狂ひ花(星野 裕子)

隠れ家の如き紅葉の森のカフェ(清水 檀)

神渡wifi不意に途切れたる(杉山 加織)


互選

5点句

暖房に酒にたましひ溶けやすく(木暮陶句郎)


4点句

おてんばのおちょぼ口なる七五三(井野 紫)

汽笛一声立冬の定期船(木暮陶句郎)

短日のデッキチェアの硬きこと(杉山 加織)


3点句

いつまでも死ぬ気がしない小春の日(岩佐 晴子)

長き夜をこの手に握るミステリー(星野 裕子)

言の葉を落葉時雨の中探し(清水 檀)

天辺の雲突き刺して大枯木(佐々木一栗)

雪虫の測る術なき重さかな(大渕 洋)


2点句

掌中に跳ねるばったの命かな(竹俣 修)

湖風の葉擦れ乾びぬ冬はじめ(中島 圭子)

冬晴や賽の河原の石の塔(中島 圭子)

海沿ひに石蕗群れ咲ひて北陸路(大渕 洋)

雪催山の向かうの貨車の音(里村 閑)

空といふ蓋の外れて石蕗の花(里村 閑)

野仏の石にかへりし草紅葉(里村 閑)

立冬や白磁の皿に温野菜(里村 閑)

これからは私のことを冬茜(松本由美子)

狩の宿六腑を熱く眠りけり(ななさと紅緒)

ふと君について行きたい冬めく日(星野 裕子)

街しづか風は山茶花片寄せて(木村 佑)

歯車の音聞き分けし木の葉髪(鈴木由里子)

暮れ急ぐ上州すでにならひ吹く(堤 かがり)

冬の雨倒れしままの文学碑(木暮陶句郎)

早々と聖樹灯して軽井沢(木暮陶句郎)


1点句

冴ゆる夜のコンビナートの灯の眩し(竹俣 修)

号砲の空割にけり運動会(小暮 肇)

二人居の別々にある置炬燵(中島 圭子)

君と見し記憶の中の帰り花(佐々木一栗)

押し寄せる闇突つぱねて焚火かな(佐々木一栗)

宇宙より集めし光室の花(佐々木一栗)

紅葉するラストリーフの打つ鼓動(稲葉 京閑)

芋煮鍋防災訓練大がかり(稲葉 京閑)

竹を伐る風あるときは有るやうに(大渕 洋)

山住みを確かなものに鹿の声(岩佐 晴子)

ラテアートの子ぐま泣きだす小六月(ななさと紅緒)

枯菊の炎に置ける手紙かな(ななさと紅緒)

微風にも冬蝶息をととのへり(星野 裕子)

秋日和何処にも行かず何もせず(清水 檀)

立冬や真っ赤なセーター着てみたく(清水 檀)

隠れ家の如き紅葉の森のカフェ(清水 檀)

ちやちやつと三味弾く姉さんが寒卵(小須賀正幸)

巻貝の耳に冷たきひとりかな(木村 佑)

角のなき大石小石寺の秋(木村 佑)

赦されて紅葉は染まり散りにけり(木村 佑)

スカボローフェア流るるや冬の町(鈴木由里子)

垣間みる壁画あざやか神の留守(堤 かがり)

記憶力ためされてをり冬支度(堤 かがり)

たつぷりと鉢に水やる小春かな(堤 かがり)

靴紐のちくりと痛きゐのこづち(堤 かがり)

霜踏みて還暦のこゑ身に染みぬ(井野 紫)

別荘地ほつほつともる神の留守(木暮陶句郎)

閃きは眉間にありて冬の星(杉山 加織)

生返事ばかりの君や神の留守(杉山 加織)

神渡wifi不意に途切れたる(杉山 加織)

外仕事いまだ終わらず冬に入る(高橋ちとせ)

地に降りし冬蝶影を失へり(木村 佑)


互選結果

◎松本由美子 選

(52) 空といふ蓋の外れて石蕗の花

(63) たつぷりと鉢に水やる小春かな

(74) 野仏の石にかへりし草紅葉

(87) 早々と聖樹灯して軽井沢

(92) 宇宙より集めし光室の花


◎小暮肇 選

(22) 短日のデッキチェアの硬きこと

(48) 君と見し記憶の中の帰り花

(56) ふと君について行きたい冬めく日

(64) 霜踏みて還暦のこゑ身に染みぬ

(96) 立冬や白磁の皿に温野菜


◎中島圭子 選

(12) 長き夜をこの手に握るミステリー

(44) 閃きは眉間にありて冬の星

(77) ラテアートの子ぐま泣きだす小六月

(105) 歯車の音聞き分けし木の葉髪

(110) 神渡wifi不意に途切れたる


◎小須賀正幸 選

(9) いつまでも死ぬ気がしない小春の日

(17) スカボローフェア流るるや冬の町

(22) 短日のデッキチェアの硬きこと

(23) 掌中に跳ねるばったの命かな

(54) これからは私のことを冬茜


◎竹俣修 選

(42) おてんばのおちょぼ口なる七五三

(65) 別荘地ほつほつともる神の留守

(88) 生返事ばかりの君や神の留守

(103) ちゃちゃっと三味弾く姉さんが寒卵

(105) 歯車の音聞き分けし木の葉髪


◎岩佐晴子 選

(3) 湖風の葉擦れ乾びぬ冬はじめ

(26) 天辺の雲突き刺して大枯木

(50) 雪虫の測る術なき重さかな

(79) 言の葉を落葉時雨の中探し

(85) 暮れ急ぐ上州すでにならひ吹く


◎稲葉京閑 選

(3) 湖風の葉擦れ乾びぬ冬はじめ

(24) 号砲の空割にけり運動会

(28) 竹を伐る風あるときは有るやうに

(34) 微風にも冬蝶息をととのへり

(41) 記憶力ためされてをり冬支度


◎堤かがり 選

(43) 冬の雨倒れしままの文学碑

(91) 冬晴や賽の河原の石の塔

(96) 立冬や白磁の皿に温野菜

(99) 枯菊の炎に置ける手紙かな

(109) 暖房に酒にたましひ溶けやすく


◎星野裕子 選

(26) 天辺の雲突き刺して大枯木

(38) 街しづか風は山茶花片寄せて

(79) 言の葉を落葉時雨の中探し

(101) 隠れ家の如き紅葉の森のカフェ

(109) 暖房に酒にたましひ溶けやすく


◎大渕洋 選

(31) 山住みを確かなものに鹿の声

(56) ふと君について行きたい冬めく日

(57) 立冬や真っ赤なセーター着てみたく

(104) 赦されて紅葉は染まり散りにけり

(107) 靴紐のちくりと痛きゐのこづち


◎木村佑 選

(21) 汽笛一声立冬の定期船

(42) おてんばのおちょぼ口なる七五三

(54) これからは私のことを冬茜

(79) 言の葉を落葉時雨の中探し

(109) 暖房に酒にたましひ溶けやすく


◎高橋ちとせ 選

(6) 海沿ひに石蕗群れ咲ひて北陸路

(23) 掌中に跳ねるばったの命かな

(35) 秋日和何処にも行かず何もせず

(42) おてんばのおちょぼ口なる七五三

(47) 二人居の別々にある置炬燵


◎鈴木由里子 選

(16) 巻貝の耳に冷たきひとりかな

(21) 汽笛一声立冬の定期船

(52) 空といふ蓋の外れて石蕗の花

(82) 角のなき大石小石寺の秋

(91) 冬晴や賽の河原の石の塔


◎清水檀 選

(9) いつまでも死ぬ気がしない小春の日

(12) 長き夜をこの手に握るミステリー

(22) 短日のデッキチェアの硬きこと

(50) 雪虫の測る術なき重さかな

(85) 暮れ急ぐ上州すでにならひ吹く


◎佐々木一栗 選

(27) 紅葉するラストリーフの打つ鼓動

(42) おてんばのおちょぼ口なる七五三

(74) 野仏の石にかへりし草紅葉

(93) 芋煮鍋防災訓練大がかり

(109) 暖房に酒にたましひ溶けやすく


◎里村閑 選

(6) 海沿ひに石蕗群れ咲ひて北陸路

(12) 長き夜をこの手に握るミステリー

(21) 汽笛一声立冬の定期船

(33) 狩の宿六腑を熱く眠りけり

(89) 冴ゆる夜のコンビナートの灯の眩し


◎ななさと紅緒 選

(9) いつまでも死ぬ気がしない小春の日

(21) 汽笛一声立冬の定期船

(30) 雪催山の向かうの貨車の音

(38) 街しづか風は山茶花片寄せて

(70) 押し寄せる闇突つぱねて焚火かな


◎杉山加織 選

(19) 垣間みる壁画あざやか神の留守

(33) 狩の宿六腑を熱く眠りけり

(43) 冬の雨倒れしままの文学碑

(87) 早々と聖樹灯して軽井沢

(109) 暖房に酒にたましひ溶けやすく


◎井野紫 選

(22) 短日のデッキチェアの硬きこと

(26) 天辺の雲突き刺して大枯木

(36) 外仕事いまだ終わらず冬に入る

(50) 雪虫の測る術なき重さかな

(60) 地に降りし冬蝶影を失へり

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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