令和3年10月 月例インターネット句会 Vol.116

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

たとふれば秋の音とはハーモニカ(岩佐 晴子)

意のままにならぬ世の中小鳥来る(里村 閑)

光り出す美顔ローラー秋の風(鈴木由里子)

弁当を開けば蜜柑転げ落つ(中島 圭子)

下書きのままのメールや秋深し(木村 佑)

神環高崎へ飯喰ひにゆく(小須賀正幸)

美しく走る数式つづれさせ(ななさと紅緒)

露の世や砂時計なら何回も(岩佐 晴子)

後の月白磁のごとき手首かな(ななさと紅緒)

この先は人住めぬ街虫時雨(星野 裕子)


〇入選 27句

秋風や黄昏時の由比ヶ浜(森田 遊馬)

柿赤し言葉少なの小昼かな(中島 圭子)

鰯雲空混み合ひてをりにけり(稲葉 京閑)

空気抜け放置自転車そぞろ寒(安部じゅん)

銀輪で追ふ鯖雲の最後尾(木村 佑)

満月や心の窓を開けてをり(佐々木一栗)

遠征の荷へ故郷の今年米(ななさと紅緒)

願掛けてご朱印受くる秋の暮(井野 紫)

朝寒やごみ収集車過ぎ去りぬ(小暮 肇)

草を食む牛の尻尾に秋の風(森田 遊馬)

金風や児は逆上がり繰り返す(清水 檀)

月光や短く熱き文を読む(ななさと紅緒)

風の木となるや電柱葛まとひ(里村 閑)

回診の凛々しき主治医夜半の秋(松本由美子)

法師蝉朝の散歩の足軽し(小暮 肇)

絶え間ないコーチの罵声肌寒し(森田 遊馬)

彼岸花孤高のミケの眠る墓(安部じゅん)

飛びながら井戸端会議する蜻蛉(佐々木一栗)

錆鮎の一度深みに流れゆき(堤 かがり)

農道の右も左も稲架となり(高橋ちとせ)

明日からは唯の友達秋寂し(佐々木一栗)

里芋のねばり母より受け継ぎぬ(井野 紫)

冷まじや飛び込み客の猫背なる(杉山 加織)

いくつもの手が伸びてくる梨の皿(小暮 肇)

末枯れや籠りて命慈しむ(稲葉 京閑)

朝霧やしばし墨絵の中にをり(岩佐 晴子)

運動会白ソックスの弾み来る(杉山 加織)


互選

9点句

竹林の風の旋律冬近し(木暮陶句郎)


6点句

この先は人住めぬ街虫時雨(星野 裕子)


4点句

金色の波にのまれし案山子かな(堤 かがり)

銀輪で追ふ鯖雲の最後尾(木村 佑)

夜学子の鉛筆走る猫背かな(木暮陶句郎)


3点句

一瞬の時を跳び越ゆばったかな(堤 かがり)

錆鮎の一度深みに流れゆき(堤 かがり)

風吹けば光となりぬ芒かな(小暮 肇)

各駅にちがふ雲ある秋の空(星野 裕子)

たとふれば秋の音とはハーモニカ(岩佐 晴子)

朝霧やしばし墨絵の中にをり(岩佐 晴子)


2点句

秋暑し釣銭足りぬ販売機(大渕 洋)

草を食む牛の尻尾に秋の風(森田 遊馬)

芋の露右に左に遊びけり(高橋ちとせ)

鰯雲空混み合ひてをりにけり(稲葉 京閑)

露の世や砂時計なら何回も(岩佐 晴子)

下書きのままのメールや秋深し(木村 佑)

飛びながら井戸端会議する蜻蛉(佐々木一栗)

光り出す美顔ローラー秋の風(鈴木由里子)

月光や短く熱き文を読む(ななさと紅緒)

後の月白磁のごとき手首かな(ななさと紅緒)

意のままにならぬ世の中小鳥来る(里村 閑)

掛け声の高さの拳運動会(杉山 加織)

冷まじや飛び込み客の猫背なる(杉山 加織)

落花生剥くロレックス光らせて(木暮陶句郎)


1点句

回診の凛々しき主治医夜半の秋(松本由美子)

秋灯や感触の無き左耳(松本由美子)

梨届く二十世紀の香を纏ひ(堤 かがり)

新蕎麦や居間に陣取る馴染み客(大渕 洋)

甘さだけ舌に残して通草吸ふ(大渕 洋)

秋風や黄昏時の由比ヶ浜(森田 遊馬)

幽玄の名を持て清し式部の実(清水 檀)

金風や児は逆上がり繰り返す(清水 檀)

色付くを日毎見上げて母の柿(清水 檀)

等分に分けていただく栗ご飯(高橋ちとせ)

農道の右も左も稲架となり(高橋ちとせ)

栗大樹湖面にふるる枝の先(中島 圭子)

弁当を開けば蜜柑転げ落つ(中島 圭子)

散歩して時雨を連れて帰りたる(星野 裕子)

偽りをするり呑み込み黒葡萄(星野 裕子)

空気抜け放置自転車そぞろ寒(安部じゅん)

良寛のうさぎ眠るや後の月(安部じゅん)

長き夜やミシンの音の軽やかに(岩佐 晴子)

明日からは唯の友達秋寂し(佐々木一栗)

手を延ばす窓枠の中十三夜(鈴木由里子)

足長き少女に薄暮冬支度(鈴木由里子)

遠征の荷へ故郷の今年米(ななさと紅緒)

美しく走る数式つづれさせ(ななさと紅緒)

さやうならの手の揺れやまず夕芒(ななさと紅緒)

輝きを湛へ紫式部の実(井野 紫)

里芋のねばり母より受け継ぎぬ(井野 紫)

聴覚の前後歪ませ木の実落つ(杉山 加織)

マッサージ上手き理容師菊日和(木暮陶句郎)

うそ寒や胸に閊へてゐる言葉(木暮陶句郎)


互選結果

◎小須賀正幸 選

(5) 秋暑し釣銭足りぬ販売機

(31) 栗大樹湖面にふるる枝の先

(39) 光り出す美顔ローラー秋の風

(87) 冷まじや飛び込み客の猫背なる

(98) この先は人住めぬ街虫時雨


◎竹俣修 選

(12) 空気抜け放置自転車そぞろ寒

(14) 銀輪で追ふ鯖雲の最後尾

(17) 手を延ばす窓枠の中十三夜

(39) 光り出す美顔ローラー秋の風

(66) マッサージ上手き理容師菊日和


◎堤かがり 選

(18) 遠征の荷へ故郷の今年米

(29) 金風や児は逆上がり繰り返す

(53) 弁当を開けば蜜柑転げ落つ

(98) この先は人住めぬ街虫時雨

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎中島圭子 選

(7) 幽玄の名を持て清し式部の実

(14) 銀輪で追ふ鯖雲の最後尾

(28) 草を食む牛の尻尾に秋の風

(88) うそ寒や胸に閊へてゐる言葉

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎星野裕子 選

(3) 一瞬の時を跳び越ゆばったかな

(21) 聴覚の前後歪ませ木の実落つ

(33) 独唱のちちろ一夜を鳴き通す

(79) 露の世や砂時計なら何回も

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎大渕洋 選

(13) たとふれば秋の音とはハーモニカ

(14) 銀輪で追ふ鯖雲の最後尾

(45) 回診の凛々しき主治医夜半の秋

(98) この先は人住めぬ街虫時雨

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎小暮肇 選

(3) 一瞬の時を跳び越ゆばったかな

(8) 等分に分けていただく栗ご飯

(27) 新蕎麦や居間に陣取る馴染み客

(47) 金色の波にのまれし案山子かな

(57) 長き夜やミシンの音の軽やかに


◎清水檀 選

(13) たとふれば秋の音とはハーモニカ

(19) 意のままにならぬ世の中小鳥来る

(40) 月光や短く熱き文を読む

(58) 下書きのままのメールや秋深し

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎稲葉京閑 選

(44) 落花生剥くロレックス光らせて

(47) 金色の波にのまれし案山子かな

(69) 錆鮎の一度深みに流れゆき

(76) 各駅にちがふ雲ある秋の空

(86) 里芋のねばり母より受け継ぎぬ


◎松本由美子 選

(49) 甘さだけ舌に残して通草吸ふ

(70) 風吹けば光となりぬ芒かな

(74) 農道の右も左も稲架となり

(87) 冷まじや飛び込み客の猫背なる

(98) この先は人住めぬ街虫時雨


◎木村佑 選

(6) 秋風や黄昏時の由比ヶ浜

(43) 掛け声の高さの拳運動会

(47) 金色の波にのまれし案山子かな

(61) 足長き少女に薄暮冬支度

(69) 錆鮎の一度深みに流れゆき


◎安部じゅん 選

(14) 銀輪で追ふ鯖雲の最後尾

(28) 草を食む牛の尻尾に秋の風

(33) 独唱のちちろ一夜を鳴き通す

(60) 飛びながら井戸端会議する蜻蛉

(106) さやうならの手の揺れやまず夕芒


◎高橋ちとせ 選

(22) 夜学子の鉛筆走る猫背かな

(33) 独唱のちちろ一夜を鳴き通す

(42) 輝きを湛へ紫式部の実

(70) 風吹けば光となりぬ芒かな

(101) 朝霧やしばし墨絵の中にをり


◎鈴木由里子 選

(44) 落花生剥くロレックス光らせて

(62) 美しく走る数式つづれさせ

(67) 秋灯や感触の無き左耳

(79) 露の世や砂時計なら何回も

(98) この先は人住めぬ街虫時雨


◎岩佐晴子 選

(11) 鰯雲空混み合ひてをりにけり

(22) 夜学子の鉛筆走る猫背かな

(43) 掛け声の高さの拳運動会

(54) 偽りをするり呑み込み黒葡萄

(84) 後の月白磁のごとき手首かな


◎井野紫 選

(25) 梨届く二十世紀の香を纏ひ

(47) 金色の波にのまれし案山子かな

(73) 色付くを日毎見上げて母の柿

(96) 芋の露右に左に遊びけり

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎里村閑 選

(22) 夜学子の鉛筆走る猫背かな

(60) 飛びながら井戸端会議する蜻蛉

(76) 各駅にちがふ雲ある秋の空

(82) 明日からは唯の友達秋寂し

(101) 朝霧やしばし墨絵の中にをり


◎ななさと紅緒 選

(5) 秋暑し釣銭足りぬ販売機

(11) 鰯雲空混み合ひてをりにけり

(19) 意のままにならぬ世の中小鳥来る

(58) 下書きのままのメールや秋深し

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎佐々木一栗 選

(3) 一瞬の時を跳び越ゆばったかな

(40) 月光や短く熱き文を読む

(69) 錆鮎の一度深みに流れゆき

(96) 芋の露右に左に遊びけり

(110) 竹林の風の旋律冬近し


◎森田遊馬 選

(32) 散歩して時雨を連れて帰りたる

(34) 良寛のうさぎ眠るや後の月

(70) 風吹けば光となりぬ芒かな

(76) 各駅にちがふ雲ある秋の空

(101) 朝霧やしばし墨絵の中にをり


◎杉山加織 選

(13) たとふれば秋の音とはハーモニカ

(22) 夜学子の鉛筆走る猫背かな

(84) 後の月白磁のごとき手首かな

(98) この先は人住めぬ街虫時雨

(110) 竹林の風の旋律冬近し

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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