令和3年8月 月例インターネット句会 Vol.114

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

暑に耐ふる唯それだけの身の重さ(稲葉 京閑)

教科書に無いもの探す夏休(佐々木一栗)

風鈴や夢より醒めてまた夢へ(木村 佑)

牽牛花波郷の紺を受け継ぎぬ(星野 裕子)

林立のマストの揺れて明易し(里村 閑)

星空を仰ぎて束ぬ洗ひ髪(ななさと紅緒)

羽田発つジャンボジェット機窓の秋(鈴木由里子)

ドリップの黒き波紋や遠花火(杉山 加織)


〇入選 33句

本閉づるやうに逝きたし夏椿(星野 裕子)

七夕にマスクを吊るす今年かな(森田 遊馬)

森の香の濃く夕立の終はり際(木村 佑)

雨煙る日本列島木槿咲く(鈴木由里子)

セーリングけふの白南風昂らす(里村 閑)

今朝の秋煎茶一杯濃く淹れて(堤 かがり)

空の色塗り替へてゆく秋の蝉(杉山 加織)

諍ひの声原爆忌の黙祷(稲葉 京閑)

UFOが来たかと思ふ稲光(岩佐 晴子)

なけなしの声ふりしぼり秋の蝉(井野 紫)

海原の時過ぎてゆくヨットかな(里村 閑)

小望月ボタンダウンを外しをり(小須賀正幸)

白木槿亡命で生き抜く覚悟(安部じゅん)

色町の格子戸潜り沙羅の花(竹俣 修)

お屋敷の今は空き家や凌霄花(松本由美子)

万緑やカーブの多い峠道(高橋ちとせ)

子も孫も来ぬなり小玉西瓜買ふ(岩佐 晴子)

夜遊びの少し淋しき晩夏かな(木村 佑)

多摩よりも代々木の蝉の賑やかさ(井野 紫)

無月かな絵空事など検索す(小須賀正幸)

白日の風をとどめしカンナの緋(堤 かがり)

新涼の小箱のリボンほどきつつ(杉山 加織)

山上湖色とりどりのカヌーかな(高橋ちとせ)

命がけなのに蝉時雨だなんて(稲葉 京閑)

今日も又あの日の暑さ原爆忌(清水 檀)

酒断つと決めし初日の端居かな(木村 佑)

顔に伏す本の温もり秋めける(鈴木由里子)

目の前の会話の隙の遠花火(杉山 加織)

大夕立水の匂ひを残しゆく(小暮 肇)

銀漢の下でダンサー舞ひ飛びぬ(井野 紫)

飛び込みのズボと吸はるる水の穴(里村 閑)

梨剝くやさみしさみしと音たてて(ななさと紅緒)

渓流の白きしぶきや涼新た(堤 かがり)


互選

4点句

本閉づるやうに逝きたし夏椿(星野 裕子)

今日も又あの日の暑さ原爆忌(清水 檀)

空の色塗り替へてゆく秋の蝉(杉山 加織)


3点句

大夕立水の匂ひを残しゆく(小暮 肇)

命がけなのに蝉時雨だなんて(稲葉 京閑)

綿々と命の神秘古代蓮(清水 檀)

教科書に無いもの探す夏休(佐々木一栗)

風鈴や夢より醒めてまた夢へ(木村 佑)

清流に触れて晩夏を確かめり(木村 佑)

野分雲分厚く山河押しきたる(木暮陶句郎)


2点句

万緑やカーブの多い峠道(高橋ちとせ)

蓮の葉の宿す雫の真珠玉(清水 檀)

多摩よりも代々木の蝉の賑やかさ(井野 紫)

飛び込みのズボと吸はるる水の穴(里村 閑)

ゆるゆると躱す返事や秋扇(ななさと紅緒)

梨剝くやさみしさみしと音たてて(ななさと紅緒)

白日の風をとどめしカンナの緋(堤 かがり)

夕風の裏返しゆく真葛原(木暮陶句郎)

ドリップの黒波紋や遠花火(杉山 加織)


1点句

向日葵の一つ目小僧こちらを見(竹俣 修)

お屋敷の今は空き家や凌霄(松本由美子)

事切れし邯鄲のあり筥の中(星野 裕子)

牽牛花波郷の紺を受け継ぎぬ(星野 裕子)

百日紅嫌ひな人ぢやないけれど(星野 裕子)

夕焼の箱に入りて列車行く(星野 裕子)

庭土の乾く早さよ梅雨明くる(稲葉 京閑)

閉じてゐる暇すら無し蝉の穴(稲葉 京閑)

朝日出で金の光に群蜻蛉(岩佐 晴子)  

子も孫も来ぬなり小玉西瓜買ふ(岩佐 晴子)

秋の雲自由気ままに出たき旅(岩佐 晴子)

七夕にマスクを吊るす今年かな(森田 遊馬)

二人見る銀河に乗せし同じ夢(佐々木一栗)

森の香の濃く夕立の終はり際(木村 佑)

酒断つと決めし初日の端居かな(木村 佑)

終戦日忌日はここと決めて父(井野 紫)

なけなしの声ふりしぼり秋の蝉(井野 紫)

顔に伏す本の温もり秋めける(鈴木由里子)

セーリングけふの白南風昂らす(里村 閑)

海原の時過ぎてゆくヨットかな(里村 閑)

林立のマストの揺れて明易し(里村 閑)

星空を仰ぎて束ぬ洗ひ髪(ななさと紅緒)

三日月と言ふ役名の美しき(小須賀正幸)

白桃の赤き血潮に楊枝刺し(安部じゅん)

渓流の白きしぶきや涼新た(堤 かがり)

きらめきて曲がりて雨の穴惑(木暮陶句郎)

影絵めきたる手花火の背中かな(木暮陶句郎)

大利根に映る青空涼あらた(木暮陶句郎)

削りつつ撫でつつ秋の出水かな(杉山 加織)


互選結果

◎稲葉京閑 選

(5) 本閉づるやうに逝きたし夏椿

(20) 夕風の裏返しゆく真葛原

(72) 今日も又あの日の暑さ原爆忌

(88) 大夕立水の匂ひを残しゆく

(99) 飛び込みのズボと吸はるる水の穴


◎大渕洋 選

(50) 子も孫も来ぬなり小玉西瓜買ふ

(62) 影絵めきたる手花火の背中かな

(72) 今日も又あの日の暑さ原爆忌

(83) 野分雲分厚く山河押しきたる

(99) 飛び込みのズボと吸はるる水の穴


◎岩佐晴子 選

(5) 本閉づるやうに逝きたし夏椿

(9) 綿々と命の神秘古代蓮

(16) ゆるゆると躱す返事や秋扇

(21) 空の色塗り替へてゆく秋の蝉

(42) 削りつつ撫でつつ秋の出水かな


◎松本由美子 選

(9) 綿々と命の神秘古代蓮

(34) なけなしの声ふりしぼり秋の蝉

(55) 多摩よりも代々木の蝉の賑やかさ

(75) 酒断つと決めし初日の端居かな

(105) ドリップの黒き波紋や遠花火


◎小暮 肇 選

(15) セーリングけふの白南風昂らす

(16) ゆるゆると躱す返事や秋扇

(20) 夕風の裏返しゆく真葛原

(21) 空の色塗り替へてゆく秋の蝉

(33) 風鈴や夢より醒めてまた夢へ


◎小須賀正幸 選

(18) 白桃の赤き血潮に楊枝刺し

(22) 向日葵の一つ目小僧こちらを見

(48) 万緑やカーブの多い峠道

(55) 多摩よりも代々木の蝉の賑やかさ

(89) 夕焼の箱に入りて列車行く


◎星野裕子 選

(8) 朝日出で金の光に群蜻蛉

(32) 二人見る銀河に乗せし同じ夢

(61) 白日の風をとどめしカンナの緋

(80) 三日月と言ふ役名の美しき

(104) 大利根に映る青空涼あらた


◎堤かがり 選

(13) 終戦日忌日はここと決めて父

(48) 万緑やカーブの多い峠道

(68) 百日紅嫌ひな人ぢやないけれど

(88) 大夕立水の匂ひを残しゆく

(96) 清流に触れて晩夏を確かめり


◎高橋ちとせ 選

(5) 本閉づるやうに逝きたし夏椿

(45) お屋敷の今は空き家や凌霄花

(49) 庭土の乾く早さよ梅雨明くる

(71) 秋の雲自由気ままに出たき旅

(91) 閉じてゐる暇すら無し蝉の穴


◎木村佑 選

(11) 教科書に無いもの探す夏休

(21) 空の色塗り替へてゆく秋の蝉

(36) 海原の時過ぎてゆくヨットかな

(72) 今日も又あの日の暑さ原爆忌

(100) 梨剝くやさみしさみしと音たてて


◎清水 檀 選

(21) 空の色塗り替へてゆく秋の蝉

(70) 命がけなのに蝉時雨だなんて

(83) 野分雲分厚く山河押しきたる

(96) 清流に触れて晩夏を確かめり

(103) 渓流の白きしぶきや涼新た


◎鈴木由里子 選

(12) 森の香の濃く夕立の終はり際

(61) 白日の風をとどめしカンナの緋

(70) 命がけなのに蝉時雨だなんて

(78) 林立のマストの揺れて明易し

(88) 大夕立水の匂ひを残しゆく


◎安部じゅん 選

(5) 本閉づるやうに逝きたし夏椿

(10) 七夕にマスクを吊るす今年かな

(26) 事切れし邯鄲のあり筥の中

(70) 命がけなのに蝉時雨だなんて

(100) 梨剝くやさみしさみしと音たてて


◎佐々木 一栗 選

(30) 蓮の葉の宿す雫の真珠玉

(33) 風鈴や夢より醒めてまた夢へ

(77) 顔に伏す本の温もり秋めける

(96) 清流に触れて晩夏を確かめり

(105) ドリップの黒き波紋や遠花火


◎井野 紫 選

(9) 綿々と命の神秘古代蓮

(11) 教科書に無いもの探す夏休

(30) 蓮の葉の宿す雫の真珠玉

(72) 今日も又あの日の暑さ原爆忌

(83) 野分雲分厚く山河押しきたる


◎杉山 加織 選

(11) 教科書に無いもの探す夏休

(33) 風鈴や夢より醒めてまた夢へ

(41) きらめきて曲がりて雨の穴惑

(47) 牽牛花波郷の紺を受け継ぎぬ

(79) 星空を仰ぎて束ぬ洗ひ髪

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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