令和3年6月 月例インターネット句会 Vol.112

木暮陶句郎 選

◎特選 7句

梅雨寒やじんじん痛む肩の凝り(松本由美子)

カレーの香飛び込んでくる網戸かな(里村 閑)

時鳥解き放たれし山河かな(星野 裕子)

陽だまりの底へ転がる夏蜜柑(木村 佑)

梅雨籠ふつときのうの匂ひ立つ(星野 裕子)

夏暖簾揺れて客待つ蕎麦処(清水 檀)

ナイターのチャンスはいつもツーアウト(木村 佑)


〇入選 26句

新しき句帳に未来虹立ちぬ(岩佐 晴子)

夕映の滑り込みたる植田かな(小暮 肇)

薫風のやうな句集を賜るる(星野 裕子)

十薬の花画仙紙に滲む墨(清水 檀)

黒南風やコロナの死者の幾千人(安部じゅん)

飛びたちて風に流され糸蜻蛉(堤 かがり)

紅よりも白の饒舌薔薇の雨(ななさと紅緒)

梅雨晴間吾子の新居の輝ける(井野 紫)

緑蔭を縫つて流るる飛鳥川(森田 遊馬)

短夜や途切れしままの夢いくつ(清水 檀)

父の日のコロッケ決めの藻塩かな(中村 東子)

太陽の一粒ごとに桜の実(中村 東子)

緑蔭や付箋貼りつつ啓発書(杉山 加織)

鬼罌粟や母国の空の色知らず(大渕 洋)

ビル影がビルに映りし夕焼かな(竹俣 修)

天窓の星のこゑ聞く夏館(星野 裕子)

夏帽子車窓の富士に載せてみる(堤 かがり)

青山の高み高みへ夏の蝶(中村 東子)

銀の器にうつる昼の灯夏館(ななさと紅緒)

覆ひては地球を浄めゆくみどり(杉山 加織)

ちよつと外に出て草を食む梅雨の猫(稲葉 京閑)

揚花火心の叫ぶ音すなり(小暮 肇)

弧を描くルアーの先の薄暑光(佐々木一栗)

香水のほのか形見の母の傘(里村 閑)

五月雨やスカボローフェア流れ来し(中村 東子)

恋蛍息をこらせば胸鳴つて(ななさと紅緒)


互選

7句

子燕や話の尽きぬカフェの窓(中村 東子)


6句

天窓の星のこゑ聞く夏館(星野 裕子)


5句

弧を描くルアーの先の薄暑光(佐々木一栗)


4句

新しき句帳に未来虹立ちぬ(岩佐 晴子)

夕薄暑会えない刻を止めてをり(佐々木一栗)

カレーの香飛び込んでくる網戸かな(里村 閑)


3句

紫陽花の雨や明日には消ゆる色(星野 裕子)

陽だまりの底へ転がる夏蜜柑(木村 佑)

夏帽子車窓の富士に載せてみる(堤 かがり)

緑蔭や日曜バンドの音合はせ(ななさと紅緒)

ゲーテ座に涼しく人を待ちにけり(ななさと紅緒)

雲の峰子は奔放に父を超え(木暮陶句郎)


2句

朝風の言の葉のこす代田かな(小暮 肇)

十薬の花画仙紙に滲む墨(清水 檀)

短夜や途切れしままの夢いくつ(清水 檀)

風誘うワルツに揺れし穂麦かな(佐々木一栗)

くせつ毛や梅雨は嫌いと独り言(佐々木一栗)

父の日のコロッケ決めの藻塩かな(中村 東子)

紅よりも白の饒舌薔薇の雨(ななさと紅緒)

雨音を五感で受けて梅雨に入る(井野 紫)

眠れない夜の始まりの端居かな(鈴木由里子)

膨らみの欠けたる菓子や黴の宿(鈴木由里子)

入梅のジャム瓶の蓋開けにくし(杉山 加織)


1句

微笑むも一善なるや楸邨忌(大渕 洋)

鬼罌粟や母国の空の色知らず(大渕 洋)

万緑の母なる山のカテナリー(大渕 洋)

夏雲の細かく揺れて水田中(岩佐 晴子)

夏帽子帰港と共に去りし恋(竹俣 修)

ビル影がビルに映りし夕焼かな(竹俣 修)

舞ふ蛍露光を長く画に収め(竹俣 修)

紫陽花の毱の中なる雨宿り(稲葉 京閑)

カーナビの指示に戸惑ふ蝸牛(稲葉 京閑)

一時の晴れ間梅雨蝶重く翔ぶ(稲葉 京閑)

短夜や早く目覚めて聖書読む(高橋ちとせ)

夕映の滑り込みたる植田かな(小暮 肇)

風を呼び陽を招きたる青田かな(小暮 肇)

測量す境界上の額の花(松本由美子)

鈴蘭や北の大地に匂ひ立つ(森田 遊馬)

薫風のやうな句集を賜るる(星野 裕子)

梅雨籠ふつときのうの匂ひ立つ(星野 裕子)

夏暖簾揺れて客待つ蕎麦処(清水 檀)

兄が振り弟が駆け寄る捕虫網(木村 佑)

糸蜻蛉つゆも揺らさず葉を立ちぬ(木村 佑)

黒南風やコロナの死者の幾千人(安部じゅん)

野仏に色添へたるや蛇苺(堤 かがり)

バルコニーの鷗ジュリエットのつもり(里村 閑)

子も父も鼻を押さへてかき氷(里村 閑)

青山の高み高みへ夏の蝶(中村 東子)

銀の器にうつる昼の灯夏館(ななさと紅緒)

荒梅雨の個体液体気体かな(木暮陶句郎)

緑蔭をつなき銀輪加速せし(木暮陶句郎)

羅や袖とほす迄ときめきぬ(鈴木由里子)

覆ひては地球を浄めゆくみどり(杉山 加織)


互選結果

◎星野裕子選

(2) 新しき句帳に未来虹立ちぬ

(40) 緑蔭をつなき銀輪加速せし

(66) ビル影がビルに映りし夕焼かな

(77) 夏帽子車窓の富士に載せてみる

(95) 弧を描くルアーの先の薄暑光


◎小暮肇選

(8) 鈴蘭や北の大地に匂ひ立つ

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(33) 陽だまりの底へ転がる夏蜜柑

(61) 雲の峰子は奔放に父を超え

(74) 夕薄暑会えない刻を止めてをり


◎松本由美子選

(17) 紅よりも白の饒舌薔薇の雨

(22) 微笑むも一善なるや楸邨忌

(78) 子も父も鼻を押さへてかき氷

(89) 短夜や早く目覚めて聖書読む

(95) 弧を描くルアーの先の薄暑光


◎大渕洋選

(32) くせつ毛や梅雨は嫌いと独り言

(59) ゲーテ座に涼しく人を待ちにけり

(62) 羅や袖とほす迄ときめきぬ

(77) 夏帽子車窓の富士に載せてみる

(105) 入梅のジャム瓶の蓋開けにくし


◎堤かがり選

(2) 新しき句帳に未来虹立ちぬ

(61) 雲の峰子は奔放に父を超え

(83) 膨らみの欠けたる菓子や黴の宿

(95) 弧を描くルアーの先の薄暑光

(105) 入梅のジャム瓶の蓋開けにくし


◎高橋ちとせ選

(11) 風誘うワルツに揺れし穂麦かな

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(52) 夏暖簾揺れて客待つ蕎麦処

(61) 雲の峰子は奔放に父を超え

(95) 弧を描くルアーの先の薄暑光


◎中村東子選

(2) 新しき句帳に未来虹立ちぬ

(17) 紅よりも白の饒舌薔薇の雨

(27) 朝風の言の葉のこす代田かな

(57) バルコニーの鷗ジュリエットのつもり

(85) 万緑の母なる山のカテナリー


◎森田遊馬選

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(33) 陽だまりの底へ転がる夏蜜柑

(39) 雨音を五感で受けて梅雨に入る

(65) 夏雲の細かく揺れて水田中

(83) 膨らみの欠けたる菓子や黴の宿


◎竹俣修選

(10) 十薬の花画仙紙に滲む墨

(15) カレーの香飛び込んでくる網戸かな

(38) 緑蔭や日曜バンドの音合はせ

(49) 測量す境界上の額の花

(95) 弧を描くルアーの先の薄暑光


◎稲葉京閑選

(2) 新しき句帳に未来虹立ちぬ

(41) 眠れない夜の始まりの端居かな

(58) 太陽の一粒ごとに桜の実

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館

(74) 夕薄暑会えない刻を止めてをり


◎木村佑選

(25) 紫陽花の毱の中なる雨宿り

(31) 短夜や途切れしままの夢いくつ

(41) 眠れない夜の始まりの端居かな

(67) 一時の晴れ間梅雨蝶重く翔ぶ

(93) 紫陽花の雨や明日には消ゆる色


◎鈴木由里子選

(13) 黒南風やコロナの死者の幾千人

(15) カレーの香飛び込んでくる網戸かな

(32) くせつ毛や梅雨は嫌いと独り言

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館

(77) 夏帽子車窓の富士に載せてみる


◎清水檀選

(11) 風誘うワルツに揺れし穂麦かな

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(39) 雨音を五感で受けて梅雨に入る

(46) カーナビの指示に戸惑ふ蝸牛

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館


◎安部じゅん選

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(31) 短夜や途切れしままの夢いくつ

(38) 緑蔭や日曜バンドの音合はせ

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館

(74) 夕薄暑会えない刻を止めてをり


◎佐々木一栗選

(51) 梅雨籠ふつときのうの匂ひ立つ

(64) 鬼罌粟や母国の空の色知らず

(79) 青山の高み高みへ夏の蝶

(87) 舞ふ蛍露光を長く画に収め

(96) 糸蜻蛉つゆも揺らさず葉を立ちぬ


◎岩佐晴子選

(3) 夏帽子帰港と共に去りし恋

(6) 夕映の滑り込みたる植田かな

(15) カレーの香飛び込んでくる網戸かな

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(58) 太陽の一粒ごとに桜の実


◎井野紫選

(10) 十薬の花画仙紙に滲む墨

(48) 風を呼び陽を招きたる青田かな

(56) 野仏に色添へたるや蛇苺

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館

(84) 覆ひては地球を浄めゆくみどり


◎里村閑選

(38) 緑蔭や日曜バンドの音合はせ

(59) ゲーテ座に涼しく人を待ちにけり

(74) 夕薄暑会えない刻を止めてをり

(80) 銀の器にうつる昼の灯夏館

(93) 紫陽花の雨や明日には消ゆる色


◎ななさと紅緒選

(9) 薫風のやうな句集を賜るる

(16) 子燕や話の尽きぬカフェの窓

(27) 朝風の言の葉のこす代田かな

(54) 兄が振り弟が駆け寄る捕虫網

(72) 天窓の星のこゑ聞く夏館


◎杉山加織選

(15) カレーの香飛び込んでくる網戸かな

(19) 荒梅雨の個体液体気体かな

(33) 陽だまりの底へ転がる夏蜜柑

(59) ゲーテ座に涼しく人を待ちにけり

(93) 紫陽花の雨や明日には消ゆる色

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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