令和3年5月 月例インターネット句会 Vol.111

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

頰をうつ指のピストルさくらんぼ(ななさと紅緒)

アカシアの雨や昭和のモノクロム(安部じゅん)

立ちこぎの短き影や夏来る(佐々木一栗)

海臨む五月のマリオネットかな(鈴木由里子)

移ろはぬものの哀れや水中花(ななさと紅緒)

放課後の恋のレッスン風薫る(佐々木一栗)

楽園の入口めける新樹かな(杉山 加織)

逢へる日を待つ香水の封切つて(ななさと紅緒)


〇入選 26句

良く切れるペーパーナイフ若葉風(大渕 洋)

苔の花ルーペの中に森のあり(岩佐 晴子)

迎へ梅雨コーラン聞こゆウェブ会議(猿橋 嘉鶴)

出入口固く閉ざされ薔薇の園(松本由美子)

欲しいだけ朝の水遣る新樹かな(里村 閑)

風五月リコッタチーズに白ワイン(鈴木由里子)

更衣心の襞に通す風(杉山 加織)

ネギ坊主腕白どもの休校日(大渕 洋)

ときめきは薔薇一輪に始まれり(岩佐 晴子)

風薫る老母に捧ぐ二重奏(安部じゅん)

母の日や夫のつくるオムライス(ななさと紅緒)

ラベンダーぐらりと揺れた夕間暮れ(鈴木由里子)

野菜苗求める列や昭和の日(大渕 洋)

ベネチアの烏賊墨パスタ恋しけり(森田 遊馬)

保育所のお迎えを待つ夕薄暑(星野 裕子)

店先に並ぶ新茶の金ラベル(堤 かがり)

夏めくやつるりとひかる碧き石(杉山 加織)

メーデーの熱き演説ハウリング(竹俣 修)

茉莉花を愉しむ対のティーカップ(清水 檀)

星に触れ風に溶けゆく新樹かな(星野 裕子)

葉隠れの実梅育む雨静か(岩佐 晴子)

初夏やボトルシップのなかは海(星野 裕子)

夏に入るコンビニまでもセルフレジ(松本由美子)

薫風にルアーを乗せし果てぬ夢(佐々木一栗)

鎌倉の空の広さや夏に入る(木村 佑)

大岩の砂となるまで夏怒濤(里村 閑)


互選

7票

苔の花ルーペの中に森のあり(岩佐 晴子)


6票

更衣心の襞に通す風(杉山 加織)

純白の闇玉繭の中にあり(木暮陶句郎)



5票

一湾の夜涼をつなげホテルの灯(木暮陶句郎)

かげりきて寺山修司の忌らしく(ななさと紅緒)


4票

良く切れるペーパーナイフ若葉風(大渕 洋)


3票

武者幟まだ新しき旧街道(大渕 洋)

うす紫濃むらさきと揺れて藤(星野 裕子)

グラウンドへ深き一礼夏来る(木村 佑)


2票

夕闇を折りたたみたる紅牡丹(星野 裕子)

初夏やボトルシップのなかは海(星野 裕子)

頰をうつ指のピストルさくらんぼ(ななさと紅緒)

移ろはぬものの哀れや水中花(ななさと紅緒)

逢へる日を待つ香水の封切つて(ななさと紅緒)

放課後の恋のレッスン風薫る(佐々木一栗)

記念樹も共に吹かれる若葉かな(堤 かがり)

初夏の銀輪君を颯と抜く(里村 閑)

川風を一飲みにして鯉幟(井野 紫)

両頬に風両手には莢豌豆(杉山 加織)

折れし足涼しきレントゲン写真(木暮陶句郎)

磯波の涼しく崩れ漁師町(木暮陶句郎)


1票

茶摘み唄畝一行を任されて(稲葉 京閑)

夜遊びの猫蟄居させ四月尽(稲葉 京閑)

ネギ坊主腕白どもの休校日(大渕 洋)

青嵐篩取り込む老店主(大渕 洋)

ありがとうの数咲きたるカーネーション(小暮 肇)

夏めくやポニーテールの女学生(小暮 肇)

風を待ち風を飲み込む鯉幟(小暮 肇)

玻璃の戸に映り込みたる若緑(清水 檀)

落日に麦の穂光る朱音色(安部じゅん)

保育所のお迎えを待つ夕薄暑(星野 裕子)

星に触れ風に溶けゆく新樹かな(星野 裕子)

万緑や襁褓の尻の能く歩く(猿橋 嘉鶴)

出入口固く閉ざされ薔薇の園(松本由美子)

葉桜や読書に耽る老夫婦(松本由美子)

夏立つやカーテン風を待つてをり(佐々木一栗)

膝小僧擦りむけた子や夏来る(佐々木一栗)

鎌倉の空の広さや夏に入る(木村 佑)

店先に並ぶ新茶の金ラベル(堤 かがり)

風五月リコッタチーズに白ワイン(鈴木由里子)

ラベンダーぐらりと揺れた夕間暮れ(鈴木由里子)

一瞬先は闇マンゴーが懐に(鈴木由里子)

リモートの面会で余花届けたり(井野 紫)


互選結果

◎星野裕子 選

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(20) 更衣心の襞に通す風

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(55) かげりきて寺山修司の忌らしく

(105) 一湾の夜涼をつなげホテルの灯


◎堤かがり 選

(10) うす紫濃むらさきと揺れて藤

(19) 川風を一飲みにして鯉幟

(31) 夕闇を折りたたみたる紅牡丹

(55) かげりきて寺山修司の忌らしく

(97) 逢へる日を待つ香水の封切つて


◎猿橋嘉鶴 選

(12) 出入口固く閉ざされ薔薇の園

(21) 折れし足涼しきレントゲン写真

(44) 夜遊びの猫蟄居させ四月尽

(66) 武者幟まだ新しき旧街道

(80) 初夏の銀輪君を颯と抜く


◎松本由美子 選

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(24) ネギ坊主腕白どもの休校日

(35) 膝小僧擦りむけた子や夏来る

(52) 保育所のお迎えを待つ夕薄暑

(87) 青嵐篩取り込む老店主


◎竹俣修 選

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(15) 母の日やいつしか小さくなりぬ肩

(40) リモートの面会で余花届けたり

(80) 初夏の銀輪君を颯と抜く

(105) 一湾の夜涼をつなげホテルの灯


◎小暮 肇 選

(9) 落日に麦の穂光る朱音色

(19) 川風を一飲みにして鯉幟

(31) 夕闇を折りたたみたる紅牡丹

(50) 玻璃の戸に映り込みたる若緑

(99) 鎌倉の空の広さや夏に入る


◎稲葉京閑 選

(3) 良く切れるペーパーナイフ若葉風

(26) ありがとうの数咲きたるカーネーション

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(76) 移ろはぬものの哀れや水中花

(97) 逢へる日を待つ香水の封切つて


◎大渕洋 選

(20) 更衣心の襞に通す風

(21) 折れし足涼しきレントゲン写真

(36) グラウンドへ深き一礼夏来る

(76) 移ろはぬものの哀れや水中花

(104) 両頬に風両手には莢豌豆


◎岩佐晴子 選

(10) うす紫濃むらさきと揺れて藤

(36) グラウンドへ深き一礼夏来る

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(55) かげりきて寺山修司の忌らしく

(74) 万緑や襁褓の尻の能く歩く


◎里村 閑 選

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(14) 夏立つやカーテン風を待つてをり

(18) 風五月リコッタチーズに白ワイン

(20) 更衣心の襞に通す風

(79) 記念樹も共に吹かれる若葉かな


◎髙槁千登世 選

(10) うす紫濃むらさきと揺れて藤

(15) 母の日やいつしか小さくなりぬ肩

(58) 店先に並ぶ新茶の金ラベル

(66) 武者幟まだ新しき旧街道

(79) 記念樹も共に吹かれる若葉かな


◎清水 檀

(3) 良く切れるペーパーナイフ若葉風

(13) 頰をうつ指のピストルさくらんぼ

(20) 更衣心の襞に通す風

(55) かげりきて寺山修司の忌らしく

(105) 一湾の夜涼をつなげホテルの灯


◎ななさと紅緒

(3) 良く切れるペーパーナイフ若葉風

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(66) 武者幟まだ新しき旧街道

(105) 一湾の夜涼をつなげホテルの灯


◎木村佑

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(39) ラベンダーぐらりと揺れた夕間暮れ

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(84) 磯波の涼しく崩れ漁師町

(94) 初夏やボトルシップのなかは海


◎佐々木 一栗 選

(2) 茶摘み唄畝一行を任されて

(7) 苔の花ルーペの中に森のあり

(20) 更衣心の襞に通す風

(73) 星に触れ風に溶けゆく新樹かな

(104) 両頬に風両手には莢豌豆


◎安部じゅん 選

(20) 更衣心の襞に通す風

(36) グラウンドへ深き一礼夏来る

(54) 葉桜や読書に耽る老夫婦

(68) 風を待ち風を飲み込む鯉幟

(102) 一瞬先は闇マンゴーが懐に


◎鈴木由里子 選

(3) 良く切れるペーパーナイフ若葉風

(47) 夏めくやポニーテールの女学生

(77) 放課後の恋のレッスン風薫る

(84) 磯波の涼しく崩れ漁師町

(94) 初夏やボトルシップのなかは海


◎杉山 加織 選

(13) 頰をうつ指のピストルさくらんぼ

(42) 純白の闇玉繭の中にあり

(55) かげりきて寺山修司の忌らしく

(77) 放課後の恋のレッスン風薫る

(105) 一湾の夜涼をつなげホテルの灯

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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