平成28年11月 月例インターネット句会 Vol.57結果発表

木暮陶句郎 選


◎特選 7句

神の留守旅の薬師に母祈る(久保田晋一)

水陽炎舳先に冬の船溜り(稲葉 京閑)

影踏みの真剣勝負菊日和(鈴木由里子)

椿の実落ちて城址の風が哭く(稲葉 京閑)

詰襟の釦きっちり冬に入る(峯岸 俊江)

冬の雨どこか悲しきチンドン屋(岩佐 晴子)

縁側の方へ訪ねて石蕗日和(中野 千秋)


〇入選 26句 

秋惜しむやうに夜汽車の曳く光(清水 檀)

海風を切り開きゆく冬コート(鈴木由里子)

大空は幸せの色小六月(岩佐 晴子)

艫綱を投げる埠頭の冬日濃し(稲葉 京閑)

言ひ難き事は言はずに深む秋(清水 檀)

里山の柞もみぢに夕付く日(星野 裕子)

大切なこと胸に秘め石蕗の花(堤 かがり)

切れ鈍る文化包丁文化の日(はたのとしはる)

名も知らぬ犬と暮らして冬館(鈴木由里子)

小六月開け放ちたる茶屋の窓(杉山 加織)

石蕗咲いて家にゐること好きなる(中野 千秋)

園丁の二輪車愚痴と落葉積む(阿部ひで希)

神橋の朱の艷めける小六月(杉山 加織)

はんなりと和服の衿に来る寒さ(岩佐 晴子)

落花生ぱちと双子の実が零れ(星野 裕子)

マスクしてなぜか生まれる解放感(中野 千秋)

生きてゆくための手続き日短か(中野 千秋)

ぜんまいを電波時計にかへて冬(峯岸 俊江)

秋の浜遠き想ひを寄せ返す(はたのとしはる)

浅漬や舌の覚えし里の味(堤 かがり)

前をゆく影の長きや今朝の冬(峯岸 俊江)

大安や帯の鈴ゆれ七五三(堤 かがり)

裁縫の苦手な少女冬日向(鈴木由里子)

ポケットに掌を突っ込んで冬めける(水上 一葉)

オセロゲーム負けてばかりや冬の雨(岩佐 晴子)

柏手の吸はれてゆきぬ小春空(杉山 加織)

 

互選

7票

野の菊の乱れそのまま壺に挿す(稲葉 京閑)


4票

秋惜しむやうに夜汽車の曳く光(清水 檀)

冬めくや色失ひてゆく大地(堤 かがり)

指先にクリーム少し冬めける(星野 裕子)

渓底に色を落として冬紅葉(杉山 加織)


3票

詰襟の釦きっちり冬に入る(峯岸 俊江)

狛犬に寝ずの番させ神の旅(星野 裕子)

名も知らぬ犬と暮らして冬館(鈴木由里子)

立冬の竹林月をこぼしつつ(木暮陶句郎)


2票  

椿の実落ちて城址の風が哭く(稲葉 京閑)

冬立つや風呂の温度を一度上げ(峯岸 俊江)

一村に人声もなし柿の秋(はたのとしはる) 

ふる里は百戸有余や柿日和(はたのとしはる)

短日や十七音の迷宮に(木暮陶句郎)


1票

戸締まりの狭庭に仄と石蕗あかり(清水 檀)

艫綱を投げる埠頭の冬日濃し(稲葉 京閑)

水陽炎舳先に冬の船溜り(稲葉 京閑)

繋留の船影寂ぶる冬夕べ(稲葉 京閑)

浅漬や舌の覚えし里の味(堤 かがり)

毛糸玉編み棒踊るごとく編む(久保田晋一)

ビル街の真中にもある落葉掃き(久保田晋一)

影踏みの真剣勝負菊日和(鈴木由里子)

海風を切り開きゆく冬コート(鈴木由里子)

はんなりと和服の衿に来る寒さ(岩佐 晴子)

本堂の屋根いつぱいに小春の陽(岩佐 晴子)

牡蠣フライ定食を待つ昼下がり(水上 一葉)

おつとつと口で迎えにいく新酒(安部じゅん)

揉み手して活字読みをる冬の蝿(安部じゅん)

生きてゆくための手続き日短か(中野 千秋)

石蕗咲いて家にゐること好きなる(中野 千秋)

マスクしてなぜか生まれる解放感(中野 千秋)

縁側の方へ訪ねて石蕗日和(中野 千秋)

流れくるイヴ・モンタンや秋惜しむ(はたのとしはる)

頭上より螺旋描きて銀杏散る(阿部ひで希)

句碑の道重なり合ってゆく落葉(阿部ひで希)

園丁の二輪車愚痴と落葉積む(阿部ひで希)

柏手の吸はれてゆきぬ小春空(杉山 加織)

星屑を乗せて欅の散る夜かな(木暮陶句郎)

言の葉に宿る神々翁の忌(木暮陶句郎)



ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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