令和3年1月 月例インターネット句会 Vol.107
木暮陶句郎 選
◎特選 8句
除夜の鐘聞いてこれから又二人(鈴木由里子)
インクの香濃く新春のエッセイ集(稲葉 京閑)
輝ける人を羨み炬燵守る(稲葉 京閑)
焚初や粗末に出来ぬ野菜屑(鈴木由里子)
いつも君へストーブ顔を向けてをり(里村 閑)
雪をんな道を問はれて途中まで(ななさと紅緒)
ラリックのガラスの花瓶日脚伸ぶ(鈴木由里子)
いつの間に兄参戦の雪礫(中村 東子)
〇入選 26句
七種や休診も今日までなりし(小暮 肇)
昭和めく都営アパート冬ざるる(岩佐 晴子)
カーテンの隙間一夜の雪明かり(稲葉 京閑)
雪催ひ榛名赤城を烟らせて(清水 檀)
寒卵こつと許されざる心(星野 裕子)
白鳥や湖光の水を跳ね上げて(安部じゅん)
毛糸編む母の福耳地獄耳(ななさと紅緒)
肩少し触れたる近さ四温晴(杉山 加織)
去年今年メビウスの輪を歩きをり(岩佐 晴子)
金杯に願掛けをする五日かな(森田 遊馬)
寒鴉啼きては空を見るばかり(木村 佑)
朝日差す七草粥を掬ひけり(里村 閑)
道順をいちいち守り初参(杉山 加織)
破魔矢持つ幼き姉妹笑顔かな(竹俣 修)
枯芝に残る命のやはらかさ(木村 佑)
寒卵割りて真摯のひかりかな(堤 かがり)
御神体は狼の骨月冴ゆる(ななさと紅緒)
洗顔の蛇口捻れば淑気かな(小暮 肇)
生きてゆく痛みを胸に冬さうび(星野 裕子)
月冴ゆる嘘のつけない青年に(堤 かがり)
人日の埃気怠く掃かれたる(杉山 加織)
新婚やサイドボードの鏡餅(竹俣 修)
冬りんご地味な美味しさ君に似て(岩佐 晴子)
成人の日や日めくりの赤き文字(清水 檀)
中継所より初風となる男(木村 佑)
探梅や江の島大橋吹かれゆく(里村 閑)
火照る頰雪の玻璃戸に寄せにけり(ななさと紅緒)
互選
5票
去年今年メビウスの輪を歩きをり(岩佐 晴子)
インクの香濃く新春のエッセイ集(稲葉 京閑)
枯芝に残る命のやはらかさ(木村 佑)
ひと息に消えゆく雪の軽さかな(杉山 加織)
牡蠣割女軍手に潮を滴らせ(木暮陶句郎)
4票
御神体は狼の骨月冴ゆる(ななさと紅緒)
千鳥鳴くたびにピアスの淋しがる(木暮陶句郎)
3票
昭和めく都営アパート冬ざるる(岩佐 晴子)
カーテンの隙間一夜の雪明かり(稲葉 京閑)
振り返る事より前へ初日記(清水 檀)
除夜の鐘聞いてこれから又二人(鈴木由里子)
ラリックのガラスの花瓶日脚伸ぶ(鈴木由里子)
月冴ゆる嘘のつけない青年に(堤 かがり)
三度めも恋のお手付き絵双六(ななさと紅緒)
2票
作業場に仕掛け残して年果てる(大渕 洋)
我が影と陸橋渡る初日の出(森田 遊馬)
黒白が色を加へてゆく淑気(星野 裕子)
生きてゆく痛みを胸に冬さうび(星野 裕子)
行年の渋きワインの舌触り(堤 かがり)
ポケットの両手は拳かじかめる(堤 かがり)
いつの間に兄参戦の雪礫(中村 東子)
肩少し触れたる近さ四温晴(杉山 加織)
母の指追ふ子の瞳四温晴(杉山 加織)
待春の猫カーテンの裏に居る(木暮陶句郎)
1票
新婚やサイドボードの鏡餅(竹俣 修)
止め処なき雪が私を軟禁す(岩佐 晴子)
七草を唱和しながら朝の粥(森田 遊馬)
輝ける人を羨み炬燵守る(稲葉 京閑)
もう少し明日は目立つか冬木の芽(稲葉 京閑)
雪催ひ榛名赤城を烟らせて(清水 檀)
初雪のきさうな気配毛糸編む(清水 檀)
寒卵こつと許されざる心(星野 裕子)
腕を組む言い訳にする空つ風(佐々木一栗)
小春日や目が覚めるまで膝貸して(佐々木一栗)
赤べこの頷く程に淑気満つ(木村 佑)
中継所より初風となる男(木村 佑)
白鳥や湖光の水を跳ね上げて(安部じゅん)
小豆粥古稀のよき宵酒も入り(天田あすなろう)
寒椿雀待たせて小枝剪る(天田あすなろう)
いつも君へストーブ顔を向けてをり(里村 閑)
寒卵割りて真摯のひかりかな(堤 かがり)
青岩の白さざれ秘む淑気かな(中村 東子)
怖れられのち従かれ行く獅子神楽(中村 東子)
止め石の棕櫚縄古し冬日濃し(中村 東子)
目はかるた耳は読み手の呼気吸気(山本 彩)
杖放ち地に足付けて初仕事(井野 紫)
毛糸編む母の福耳地獄耳(ななさと紅緒)
雪をんな道を問はれて途中まで(ななさと紅緒)
火照る頰雪の玻璃戸に寄せにけり(ななさと紅緒)
秒針の堂々巡り冬銀河(木暮陶句郎)
オリオンの睥睨したる山上湖(木暮陶句郎)
互選結果
◎鈴木由里子 選
(1) 作業場に仕掛け残して年果てる
(63) 秒針の堂々巡り冬銀河
(78) 月冴ゆる嘘のつけない青年に
(84) 千鳥鳴くたびにピアスの淋しがる
(87) 新婚やサイドボードの鏡餅
◎小暮肇 選
(8) 除夜の鐘聞いてこれから又二人
(21) 牡蠣割女軍手に潮を滴らせ
(53) 枯芝に残る命のやはらかさ
(70) 振り返る事より前へ初日記
(72) 生きてゆく痛みを胸に冬さうび
◎中村東子 選
(19) 毛糸編む母の福耳地獄耳
(20) 肩少し触れたる近さ四温晴
(40) 三度めも恋のお手付き絵双六
(48) インクの香濃く新春のエッセイ集
(74) 赤べこの頷く程に淑気満つ
◎堤かがり 選
(4) 昭和めく都営アパート冬ざるる
(6) カーテンの隙間一夜の雪明かり
(42) 待春の猫カーテンの裏に居る
(70) 振り返る事より前へ初日記
(104) ひと息に消えゆく雪の軽さかな
◎星野裕子 選
(21) 牡蠣割女軍手に潮を滴らせ
(25) 去年今年メビウスの輪を歩きをり
(82) 雪をんな道を問はれて途中まで
(92) ラリックのガラスの花瓶日脚伸ぶ
(105) オリオンの睥睨したる山上湖
◎森田遊馬 選
(48) インクの香濃く新春のエッセイ集
(49) 初雪のきさうな気配毛糸編む
(53) 枯芝に残る命のやはらかさ
(62) 母の指追ふ子の瞳四温晴
(76) 寒椿雀待たせて小枝剪る
◎稲葉京閑 選
(7) 雪催ひ榛名赤城を烟らせて
(15) 行年の渋きワインの舌触り
(58) 怖れられのち従かれ行く獅子神楽
(61) 御神体は狼の骨月冴ゆる
(84) 千鳥鳴くたびにピアスの淋しがる
◎ななさと紅緒 選
(30) 黒白が色を加へてゆく淑気
(46) 止め処なき雪が私を軟禁す
(78) 月冴ゆる嘘のつけない青年に
(84) 千鳥鳴くたびにピアスの淋しがる
(92) ラリックのガラスの花瓶日脚伸ぶ
◎清水檀 選
(8) 除夜の鐘聞いてこれから又二人
(36) ポケットの両手は拳かじかめる
(53) 枯芝に残る命のやはらかさ
(72) 生きてゆく痛みを胸に冬さうび
(104) ひと息に消えゆく雪の軽さかな
◎里村閑 選
(30) 黒白が色を加へてゆく淑気
(47) 七草を唱和しながら朝の粥
(48) インクの香濃く新春のエッセイ集
(61) 御神体は狼の骨月冴ゆる
(95) 中継所より初風となる男
◎岩佐晴子 選
(42) 待春の猫カーテンの裏に居る
(57) 寒卵割りて真摯のひかりかな
(78) 月冴ゆる嘘のつけない青年に
(79) 止め石の棕櫚縄古し冬日濃し
(104) ひと息に消えゆく雪の軽さかな
◎大渕洋 選
(8) 除夜の鐘聞いてこれから又二人
(25) 去年今年メビウスの輪を歩きをり
(40) 三度めも恋のお手付き絵双六
(59) 目はかるた耳は読み手の呼気吸気
(62) 母の指追ふ子の瞳四温晴
◎竹俣修 選
(1) 作業場に仕掛け残して年果てる
(12) 白鳥や湖光の水を跳ね上げて
(21) 牡蠣割女軍手に潮を滴らせ
(40) 三度めも恋のお手付き絵双六
(55) 小豆粥古稀のよき宵酒も入り
◎木村佑 選
(6) カーテンの隙間一夜の雪明かり
(15) 行年の渋きワインの舌触り
(48) インクの香濃く新春のエッセイ集
(70) 振り返る事より前へ初日記
(100) いつの間に兄参戦の雪礫
◎井野紫 選
(4) 昭和めく都営アパート冬ざるる
(25) 去年今年メビウスの輪を歩きをり
(53) 枯芝に残る命のやはらかさ
(68) 我が影と陸橋渡る初日の出
(104) ひと息に消えゆく雪の軽さかな
◎天田あすなろう 選
(16) 青岩の白さざれ秘む淑気かな
(20) 肩少し触れたる近さ四温晴
(48) インクの香濃く新春のエッセイ集
(90) もう少し明日は目立つか冬木の芽
(100) いつの間に兄参戦の雪礫
(104) ひと息に消えゆく雪の軽さかな
◎佐々木一栗 選
(6) カーテンの隙間一夜の雪明かり
(39) 杖放ち地に足付けて初仕事
(53) 枯芝に残る命のやはらかさ
(68) 我が影と陸橋渡る初日の出
(103) 火照る頰雪の玻璃戸に寄せにけり
◎山本彩 選
(25) 去年今年メビウスの輪を歩きをり
(52) 腕を組む言い訳にする空つ風
(61) 御神体は狼の骨月冴ゆる
(69) 輝ける人を羨み炬燵守る
(77) いつも君へストーブ顔を向けてをり
◎安部じゅん 選
(4) 昭和めく都営アパート冬ざるる
(21) 牡蠣割女軍手に潮を滴らせ
(25) 去年今年メビウスの輪を歩きをり
(36) ポケットの両手は拳かじかめる
(73) 小春日や目が覚めるまで膝貸して
◎杉山加織 選
(9) 寒卵こつと許されざる心
(21) 牡蠣割女軍手に潮を滴らせ
(61) 御神体は狼の骨月冴ゆる
(84) 千鳥鳴くたびにピアスの淋しがる
(92) ラリックのガラスの花瓶日脚伸ぶ
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