令和2年11月 月例インターネット句会 Vol.105

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

七味屋の匙を巧みに酉の市(星野 裕子)

とろとろと風ふく奈良や鹿とゐる(里村 閑)

神還るかつては海でありし街(稲葉 京閑)

路地裏のハッピーアワー暮早し(杉山 加織)

天金にわずかな埃冬館(星野 裕子)

寒禽の行くと見せては戻りけり(山本 彩)

冬の月東尋坊の煌々と(竹俣 修)

刈る人の久しくをらず蘆騒ぐ(堤 かがり)


〇入選 30句

大根干す竹の撓りの昨日けふ(大渕 洋)

城壁の映る水面や紅葉散る(竹俣 修)

朝一番の煙突掃除冬に入る(髙橋千登世)

何か欠け心ざはつく神無月(堤 かがり)

ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱(ななさと紅緒)

白い息二番ホームに冬来る(森田 遊馬)

弦替えてはじくギターよ冬の朝(安部じゅん)

北国のにほひ綿虫連れて来る(星野 裕子)

同じ部屋に居るだけでいい毛糸編む(岩佐 晴子)

あの山の尖りも故郷花八手(鈴木由里子)

耳袋とれば耳たぶ透きとほる(里村 閑)

猪狩を語るや猪の貌を持て(ななさと紅緒)

一片の羽毛舞きて冬に入る(大渕 洋)

落葉踏む童のやうに音をたて(清水 檀)

母さんの手作りプリン冬ぬくし(岩佐 晴子)

山茶花に立てかけてある竹箒(木村 佑)

しづかさや鱈にさしくる雪の色(ななさと紅緒)

小春日やフラワーショップの水たまり(大渕 洋)

気嵐や河童でそうなけふの川(森田 遊馬)

ポケットに暮色しもうて雪蛍(安部じゅん)

川底の紅葉の時の止まりけり(木村 佑)

スポンジの泡のつぶやき神の留守(杉山 加織)

熊出没伊香保温泉河鹿橋(大渕 洋)

初霜や園芸シャベル鉄錆びて(安部じゅん)

冬の蜂生きる限りを身構へる(星野 裕子)

雨戸繰る隣家の音や暮早し(清水 檀)

鉛筆を削れば木屑山眠る(鈴木由里子)

路地裏は風の鳴くだけ冬に入る(木村 佑)

ていねいに窓みがきをり文化の日(ななさと紅緒)

初冬のがま口固く閉ぢる音(杉山 加織)


互選

7票

七味屋の匙を巧みに酉の市(星野 裕子)

ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱(ななさと紅緒)


6票

スポンジの泡のつぶやき神の留守(杉山 加織)

閃きといふ言霊や返り花(木暮陶句郎)


5票

冬の蜂生きる限りを身構へる(星野 裕子)


3票

神還るかつては海でありし街(稲葉 京閑)

天空へ昇る残鐘神無月(木村 佑)

石灯の影鋭角に秋の暮(木村 佑)

沈むもの流れ行くもの秋の川(堤 かがり)

猪狩を語るや猪の貌を持て(ななさと紅緒)

初冬のがま口固く閉ぢる音(杉山 加織)


2票

自転車の頬打つ風や冬めける(森田 遊馬)

天金にわずかな埃冬館(星野 裕子)

同じ部屋に居るだけでいい毛糸編む(岩佐 晴子)

あの山の尖りも故郷花八手(鈴木由里子)

鉛筆を削れば木屑山眠る(鈴木由里子)

路地裏は風の鳴くだけ冬に入る(木村 佑)

狼や太き六弦調弦す(山本 彩)

寒禽の行くと見せては戻りけり(山本 彩)

ていねいに窓みがきをり文化の日(ななさと紅緒)

抽斗の奥の冷えたる闇掴む(杉山 加織)

散れば恋散らねば愛のひめつばき(木暮陶句郎)

器量よき大根選ぶたなごころ(木暮陶句郎)


1票

大根干す竹の撓りの昨日けふ(大渕 洋)

小春日やフラワーショップの水たまり(大渕 洋)

ポケットに団栗隠す童かな(小暮 肇)

片寄せてそっと傘さす時雨かな(森田 遊馬)

城壁の映る水面や紅葉散る(竹俣 修)

舟遊び舳先分けゆく散紅葉(竹俣 修)

初霜の朝数学の模試を解く(安部じゅん)

初霜や園芸シャベル鉄錆びて(安部じゅん)

北国のにほひ綿虫連れて来る(星野 裕子)

雨戸繰る隣家の音や暮早し(清水 檀)

とろとろと風ふく奈良や鹿とゐる(里村 閑)

何か欠け心ざはつく神無月(堤 かがり)

渓谷の錦に隠る秋の川(堤 かがり)

シャッターの増したる軋み冬来る(堤 かがり)

穏やかな参道に風神の旅(井野 紫)

大根懸け路傍の手摺代用す(阿部ひで希)

冬菊へ日輪の情惜しみなく(木暮陶句郎)


互選結果

◎小暮 肇 選

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(34) 石灯の影鋭角に秋の暮

(59) 穏やかな参道に風神の旅

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(105) 閃きといふ言霊や返り花


◎清水檀 選

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(13) 天空へ昇る残鐘神無月

(29) 北国のにほひ綿虫連れて来る

(78) シャッターの増したる軋み冬来る

(97) 路地裏は風の鳴くだけ冬に入る


◎岩佐晴子 選

(3) 自転車の頬打つ風や冬めける

(15) 何か欠け心ざはつく神無月

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(92) 冬の蜂生きる限りを身構へる

(102) ていねいに窓みがきをり文化の日


◎堤かがり 選

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(32) あの山の尖りも故郷花八手

(64) 小春日やフラワーショップの水たまり

(91) 初霜や園芸シャベル鉄錆びて

(105) 閃きといふ言霊や返り花


◎山本彩 選

(39) 猪狩を語るや猪の貌を持て

(50) 天金にわずかな埃冬館

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(95) 鉛筆を削れば木屑山眠る

(104) 初冬のがま口固く閉ぢる音


◎鈴木由里子 選

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(34) 石灯の影鋭角に秋の暮

(37) 狼や太き六弦調弦す

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(97) 路地裏は風の鳴くだけ冬に入る


◎大渕洋 選

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(39) 猪狩を語るや猪の貌を持て

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(84) 冬菊へ日輪の情惜しみなく

(104) 初冬のがま口固く閉ぢる音


◎竹俣修 選

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(31) 同じ部屋に居るだけでいい毛糸編む

(42) 器量よき大根選ぶたなごころ

(44) ポケットに団栗隠す童かな

(103) 大根懸け路傍の手摺代用す


◎木村佑 選

(21) 散れば恋散らねば愛のひめつばき

(25) 神還るかつては海でありし街

(32) あの山の尖りも故郷花八手

(92) 冬の蜂生きる限りを身構へる

(105) 閃きといふ言霊や返り花


◎井野紫 選

(5) 城壁の映る水面や紅葉散る

(13) 天空へ昇る残鐘神無月

(36) 沈むもの流れ行くもの秋の川

(79) 寒禽の行くと見せては戻りけり

(105) 閃きといふ言霊や返り花


◎阿部ひで希 選

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(21) 散れば恋散らねば愛のひめつばき

(34) 石灯の影鋭角に秋の暮

(87) 片寄せてそっと傘さす時雨かな

(92) 冬の蜂生きる限りを身構へる


◎佐々木一栗 選

(1) 大根干す竹の撓りの昨日けふ

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(36) 沈むもの流れ行くもの秋の川

(92) 冬の蜂生きる限りを身構へる


◎稲葉京閑 選

(7) 初霜の朝数学の模試を解く

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(31) 同じ部屋に居るだけでいい毛糸編む

(62) 抽斗の奥の冷えたる闇掴む


◎髙橋千登世 選

(3) 自転車の頬打つ風や冬めける

(36) 沈むもの流れ行くもの秋の川

(57) 渓谷の錦に隠る秋の川

(68) 舟遊び舳先分けゆく散紅葉

(93) 雨戸繰る隣家の音や暮早し


◎ななさと紅緒 選

(13) 天空へ昇る残鐘神無月

(25) 神還るかつては海でありし街

(50) 天金にわずかな埃冬館

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(92) 冬の蜂生きる限りを身構へる


◎里村閑 選

(39) 猪狩を語るや猪の貌を持て

(42) 器量よき大根選ぶたなごころ

(83) スポンジの泡のつぶやき神の留守

(102) ていねいに窓みがきをり文化の日

(104) 初冬のがま口固く閉ぢる音


◎星野裕子 選

(18) ゆく秋や色のそろはぬ絵具箱

(37) 狼や太き六弦調弦す

(62) 抽斗の奥の冷えたる闇掴む

(95) 鉛筆を削れば木屑山眠る

(105) 閃きといふ言霊や返り花


◎杉山加織 選

(8) 七味屋の匙を巧みに酉の市

(14) とろとろと風ふく奈良や鹿とゐる

(25) 神還るかつては海でありし街

(79) 寒禽の行くと見せては戻りけり

(105) 閃きといふ言霊や返り花

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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