令和2年10月 月例インターネット句会 Vol.104

木暮陶句郎 選

◎特選 9句

先見えずとも枯葦の原に入る(稲葉 京閑) 

聞くだけのうなづくだけの温め酒(ななさと紅緒)

そぞろ寒連邦最高裁判事(山本 彩)

天高しビー玉に青閉ぢ込めて(堤 かがり)

霧深し吾も地球の一粒子(木村 佑)

ハムカツの端の紅色馬肥ゆる(鈴木由里子)

抱きあぐる猫に月夜のにほひかな(ななさと紅緒)

針山の隙間埋めたる秋の声(杉山 加織)

竹を伐る一年前の赤テープ(大渕 洋)


〇入選 32句

仲秋の月に天守の白々と(竹俣 修)

秋霖や鯉の影透く心字池(稲葉 京閑)

仄暗き小人の国の月夜茸(星野 裕子)

風の向くままに気ままにねこじゃらし(木村 佑)

利根川に練習馬場あり天高し(安部じゅん)

デザートの梨食む音のふたりかな(里村 閑)

取水口旧跡とあり稲の秋(中村 東子)

名月を愛でて遮るものはなし(髙橋千登世)

腕時計見ては窓見る汽車夜長(星野 裕子)

汚れなき場所へ誘ふ虫の声(木村 佑)

山茶花の白零れをり水の音(中村 東子)

銀杏を踏まずに歩く難しさ(井野 紫)

今朝もまた窓辺に小鳥とまりをり(森田 遊馬)

公園の萩に隠れる遊びかな(竹俣 修)

甘藷掘る宝探しをするように(大渕 様)

天高し間歇泉の一呼吸(稲葉 京閑)

お掃除はルンバにまかせ秋散歩(佐々木一栗)

誘い合ふ美男蔓の小径かな(中村 東子)

谷底の沢音乗せて秋の風(阿部ひで希)

枝々にバスの触れ往く紅葉狩(竹俣 修)

立待の居間の灯りとなりにけり(髙橋千登世)

行く秋の音なくたたむ物の影(星野 裕子)

秋袷斜めに長き影法師(佐々木一栗)

秋霖やテールランプの小忙しき(里村 閑)

一日に二つの訃報秋の雨(井野 紫)

群青の空の酸つぱさ柘榴の実(星野 裕子)

容赦なき棘の守りし柚をもぐ(堤 かがり)

野路の菊もうじき君は年長さん(鈴木由里子)

銀杏の並木ぐるりんバス走る(安部じゅん)

晩秋を灯せば窓に己が鼻(里村 閑)

稲びかり丸薬ひとつ消えにけり(ななさと紅緒)

錆色の川風早し下り簗(杉山 加織)


互選

7票

抱きあぐる猫に月夜のにほひかな(ななさと紅緒)


6票

霧深し吾も地球の一粒子(木村 佑)

聞くだけのうなづくだけの温め酒(ななさと紅緒)


5票

ビルの影ビルに映して秋の影(岩佐 晴子)

天高しビー玉に青閉ぢ込めて(堤 かがり)

草の花うれしいときも膝を抱く(里村 閑)

ポケットに森の湿りや栗拾(木暮陶句郎)

錆色の川風早し下り簗(杉山 加織)


4票

群青の空の酸つぱさ柘榴の実(星野 裕子)


3票

天高し間歇泉の一呼吸(稲葉 京閑)

行く秋の音なくたたむ物の影(星野 裕子)

月の酒透きとほりゆく心かな(木暮陶句郎)

薄墨の文字絡まつてゐる秋思(杉山 加織)


2票

蟷螂を摘みてやはらかきを知る(大渕 洋)

秋雨や斑模様の石畳(清水 檀)

仄暗き小人の国の月夜茸(星野 裕子)

鰯雲ヘリは遠くへ点となり(佐々木一栗)

秋袷斜めに長き影法師(佐々木一栗)

問うてみる寂しいか名もなき茸(岩佐 晴子)

風の向くままに気ままにねこじゃらし(木村 佑)

デザートの梨食む音のふたりかな(里村 閑)


1票

椋鳥の群れの織りなすエアショー(森田 遊馬)

秋晴や野次の飛び交ふ河川敷(森田 遊馬)

秋霖や鯉の影透く心字池(稲葉 京閑)

居間にいて団子頬張る良夜かな(髙橋千登世)

名月を愛でて遮るものはなし(髙橋千登世)

立待の居間の灯りとなりにけり(髙橋千登世)

十六夜の螺旋階段ジュラ紀へと(星野 裕子)

珈琲の湯気立つテラス飛蝗来る(佐々木一栗)

お掃除はルンバにまかせ秋散歩(佐々木一栗)

ゆで卵つるりと剥けて小鳥来る(岩佐 晴子)

曼珠沙華白きもありてなほ悲し(岩佐 晴子)

新酒売るテントに社長半被かな(堤 かがり)

容赦なき棘の守りし柚をもぐ(堤 かがり)

月今宵成層圏の中にをり(木村 佑)

秋桜を背に吾子を抱く夕べ(鈴木由里子)

晩秋を灯せば窓に己が鼻(里村 閑)

山茶花の白零れをり水の音(中村 東子)

十三夜腕さびしく眠りをり(ななさと紅緒)

稲びかり丸薬ひとつ消えにけり(ななさと紅緒)

秋霖や枕木暗き始発駅(木暮陶句郎)

峠路の木の実をすぐる猿二匹(阿部ひで希)

狭き田に三段重ね稲を掛け(阿部ひで希)


互選結果

◎大渕洋 選

(14) 秋桜を背に吾子を抱く夕べ

(19) ポケットに森の湿りや栗拾

(38) 草の花うれしいときも膝を抱く

(71) 立待の居間の灯りとなりにけり

(107) 月の酒透きとほりゆく心かな


◎木村佑 選

(16) デザートの梨食む音のふたりかな

(19) ポケットに森の湿りや栗拾

(25) 蟷螂を摘みてやはらかきを知る

(56) 天高しビー玉に青閉ぢ込めて

(108) 錆色の川風早し下り簗


◎星野裕子 選

(11) ビルの影ビルに映して秋の影

(42) 薄墨の文字絡まつてゐる秋思

(56) 天高しビー玉に青閉ぢ込めて

(57) 霧深し吾も地球の一粒子

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな


◎堤かがり 選

(9) 鰯雲ヘリは遠くへ点となり

(19) ポケットに森の湿りや栗拾

(38) 草の花うれしいときも膝を抱く

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(48) 天高し間歇泉の一呼吸


◎小暮肇 選

(11) ビルの影ビルに映して秋の影

(73) 秋雨や斑模様の石畳

(74) 行く秋の音なくたたむ物の影

(107) 月の酒透きとほりゆく心かな

(108) 錆色の川風早し下り簗


◎中村東子 選

(19) ポケットに森の湿りや栗拾

(42) 薄墨の文字絡まつてゐる秋思

(75) 秋袷斜めに長き影法師

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな

(99) 問ふてみる寂しいか名もなき茸


◎清水檀 選

(8) 仄暗き小人の国の月夜茸

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(57) 霧深し吾も地球の一粒子

(63) 秋霖や枕木暗き始発駅

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな


◎竹俣修 選

(1) 椋鳥の群れの織りなすエアショー

(5) 居間にいて団子頬張る良夜かな

(31) 珈琲の湯気立つテラス飛蝗来る

(43) 峠路の木の実をすぐる猿二匹

(53) お掃除はルンバにまかせ秋散歩


◎髙橋千登世 選

(12) 新酒売るテントに社長半被かな

(13) 風の向くままに気ままにねこじゃらし

(33) ゆで卵つるりと剥けて小鳥来る

(87) 狭き田に三段重ね稲を掛け

(108) 錆色の川風早し下り簗


◎森田遊馬 選

(11) ビルの影ビルに映して秋の影

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな

(100) 容赦なき棘の守りし柚をもぐ

(104) 晩秋を灯せば窓に己が鼻


◎稲葉京閑 選

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(56) 天高しビー玉に青閉ぢ込めて

(79) 月今宵成層圏の中にをり

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな

(96) 群青の空の酸つぱさ柘榴の実


◎井野紫 選

(11) ビルの影ビルに映して秋の影

(42) 薄墨の文字絡まつてゐる秋思

(55) 曼珠沙華白きもありてなほ悲し

(57) 霧深し吾も地球の一粒子

(75) 秋袷斜めに長き影法師


◎鈴木由里子 選

(38) 草の花うれしいときも膝を抱く

(48) 天高し間歇泉の一呼吸

(56) 天高しビー玉に青閉ぢ込めて

(57) 霧深し吾も地球の一粒子

(96) 群青の空の酸つぱさ柘榴の実


◎佐々木一栗 選

(13) 風の向くままに気ままにねこじゃらし

(22) 栗剥きの苦行乗り越へ至福くる

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(67) 秋晴れや野次の飛び交う河川敷

(108) 錆色の川風早し下り簗


◎安部じゅん 選

(18) 十三夜腕さびしく眠りをり

(38) 草の花うれしいときも膝を抱く

(44) 銀杏を踏まずに歩く難しさ

(96) 群青の空の酸つぱさ柘榴の実

(99) 問ふてみる寂しいか名もなき茸


◎里村閑 選

(4) 秋霖や鯉の影透く心字池

(39) 山茶花の白零れをり水の音

(40) 聞くだけのうなづくだけの温め酒

(107) 月の酒透きとほりゆく心かな

(108) 錆色の川風早し下り簗


◎山本彩 選

(25) 蟷螂を摘みてやはらかきを知る

(52) 十六夜の螺旋階段ジュラ紀へと

(74) 行く秋の音なくたたむ物の影

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな

(106) 稲びかり丸薬ひとつ消えにけり


◎ななさと紅緒 選

(8) 仄暗き小人の国の月夜茸

(11) ビルの影ビルに映して秋の影

(16) デザートの梨食む音のふたりかな

(19) ポケットに森の湿りや栗拾

(57) 霧深し吾も地球の一粒子


◎阿部ひで希 選

(9) 鰯雲ヘリは遠くへ点となり

(27) 名月を愛でて遮るものはなし

(48) 天高し間歇泉の一呼吸

(73) 秋雨や斑模様の石畳

(96) 群青の空の酸つぱさ柘榴の実


◎杉山加織 選

(38) 草の花うれしいときも膝を抱く

(56) 天高しビー玉に青閉ぢ込めて

(57) 霧深し吾も地球の一粒子

(74) 行く秋の音なくたたむ物の影

(84) 抱きあぐる猫に月夜のにほひかな

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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