令和2年9月 月例インターネット句会 Vol.103

木暮陶句郎 選

◎特選 8句

紅させど晴れぬ愁思の中にをり(岩佐 晴子)

馬鈴薯や圧力鍋の初使ひ(岩佐 晴子)

味見する度に恋するりんごジャム(佐々木一栗)

秋天に伸びゆくトロンボーンかな(木村 佑)

三日月やキャラメルラテは琥珀色(鈴木由里子)

赤でなくくれなゐでなく曼珠沙華(星野 裕子)

地芝居やはまり役なる如何様師(ななさと紅緒)

露草や野辺のどこかに水の音(須藤恵美子)


〇入選 30句

電線の鳩は西向き秋の声(竹俣 修)

風紋に触れ漣に触れ秋津(稲葉 京閑)

獺祭忌裸電球昼灯す(星野 裕子)

変わり行く風を惜しみて秋の蝉(清水 檀)

曇天の朝一匹の虫の声(井野 紫)

待宵の磨き上げたる銀食器(杉山 加織)

空つぽのバスにもそよぐ秋桜(星野 裕子)

秋蝉の声の映りし潦(清水 檀)

トラックの影に休める残暑かな(堤 かがり)

野末まで包む山影松虫草(須藤恵美子)

叙情詩の横たはる海夕月夜(杉山 加織)

終戦日母の話しの長くなり(小暮 肇)

翳り行く心とどめし秋の草(堤 かがり)

鈴虫や文箱の父はセピア色(岩佐 晴子)

実を成さぬ蕊の奔放曼珠沙華(里村 閑)

秋なすび明るくなるを待って採る(鬼形 瑞枝)

爽やかや沢音満ちるテラス席(杉山 加織)

色淡き花に癒されゐる残暑(稲葉 京閑)

神の意のままに流るる星ひとつ(星野 裕子)

花束に秋草のあり誕生日(堤 かがり)

星月夜寝湯に魂吸われゆく(木村 佑)

野の草のひと色と消ゆ秋の蝶(ななさと紅緒)

曼珠沙華天守閣へと攻めのぼる(里村 閑)

漆黒の猫の毛づやを抱く夜長(須藤恵美子)

秋風に任せてをりぬ猫の髭(杉山 加織)

地の熱気さらりと流す秋の水(稲葉 京閑)

無花果と山羊懐かしき大家族(岩佐 晴子)

葉脈に触れれば走る朝の露(木村 佑)

カフェラテの渦巻き模様雁渡る(鈴木由里子)

秋雲のほかに白きは君の衿(里村 閑)


互選

7票

鰯雲地球を丸く泳ぎけり(木村 佑)


6票

変わり行く風を惜しみて秋の蝉(清水 檀)


4票

風紋に触れ漣に触れ秋津(稲葉 京閑)

秋天に伸びゆくトロンボーンかな(木村 佑)

爽やかに肩書のなき名刺かな(ななさと紅緒)

野の草のひと色と消ゆ秋の蝶(ななさと紅緒)

木の実落つ銀のひかりとなりて落つ(木暮陶句郎)


3票

神の意のままに流るる星ひとつ(星野 裕子)

曇天の朝一匹の虫の声(井野 紫)

待宵の磨き上げたる銀食器(杉山 加織)

秋風に任せてをりぬ猫の髭(杉山 加織)

鉛筆を削る木の香や秋気澄む(木暮陶句郎)


2票

木洩れ日にいとど露けき風化佛(稲葉 京閑)

赤でなくくれなゐでなく曼珠沙華(星野 裕子)

秋蝉の声の映りし潦(清水 檀)

トラックの影に休める残暑かな(堤 かがり)

鈴虫や文箱の父はセピア色(岩佐 晴子)

葉脈に触れれば走る朝の露(木村 佑)

駅に挿す秋七草や陶の町(ななさと紅緒)

実を成さぬ蕊の奔放曼珠沙華(里村 閑)

野末まで包む山影松虫草(須藤恵美子)

露草や野辺のどこかに水の音(須藤恵美子)

コテージの豊かなる森小鳥来る(木暮陶句郎)


1票

電線の鳩は西向き秋の声(竹俣 修)

トラバース紅葉なかの朝日岳(竹俣 修)

月照らす波間に巣くふ闇のあり(竹俣 修)

日溜まりに姉さん被り豆叩く(竹俣 修)

さやさやと灯籠流れ追ふ童(小暮 肇)

無念やな空襲直後終戦日(小暮 肇)

終戦日母の話しの長くなり(小暮 肇)

地の熱気さらりと流す秋の水(稲葉 京閑)

風の無く霧を留めて居る妙義(阿部ひで希)

狭庭にも水引の花咲きにけり(髙橋千登世)

獺祭忌裸電球昼灯す(星野 裕子)

秋の虹君たどり着け天国へ(安部じゅん)

隣家のピアノレッスン宵の秋(安部じゅん)

それぞれに名を尋ねをり秋の草(清水 檀)

翳り行く心とどめし秋の草(堤 かがり)

淋しさを指先にこめ千草摘む(堤 かがり)

紅させど晴れぬ愁思の中にをり(岩佐 晴子)

秋桜で占う姉の幼き日(佐々木一栗)

味見する度に恋するりんごジャム(佐々木一栗)

抱き寄せた影を重ねる月明かり(佐々木一栗)

満月や裏の兎は瀑睡中(佐々木一栗)

新柄のブラウス一枚水の秋(鈴木由里子)

一片や葉先に残り夜の木槿(天田あすなろう)

箱庭の草引き抜かず一遍忌(天田あすなろう)

葛の風犬たちの耳とばさるる(里村 閑)

フェルメールブルーの猪口を初秋刀魚(里村 閑)

秋雲のほかに白きは君の衿(里村 閑)

行商の母の背中やリンゴ買う(鬼形 瑞枝)

吾亦紅ここよここよと風さそう(須藤恵美子)

秋の雲ユーミンの歌口ずさむ(須藤恵美子)

振子時計醒めた音して夜の長し(杉山 加織)

寂聴の声の明るさ女郎花(木暮陶句郎)


互選結果

◎岩佐晴子 選

(8) 秋の虹君たどり着け天国へ

(20) 曇天の朝一匹の虫の声

(31) 秋蝉の声の映りし潦

(98) 淋しさを指先にこめ千草摘む

(105) 秋雲のほかに白きは君の衿


◎小暮肇 選

(3) 風紋に触れ漣に触れ秋津

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(21) 待宵の磨き上げたる銀食器

(67) 月照らす波間に巣くふ闇のあり

(83) 曼珠沙華天守閣へと攻めのぼる


◎須藤恵美子 選

(38) 爽やかに肩書のなき名刺かな

(55) 鈴虫や文箱の父はセピア色

(60) 駅に挿す秋七草や陶の町

(61) 実を成さぬ蕊の奔放曼珠沙華

(73) 神の意のままに流るる星ひとつ


◎堤かがり 選

(38) 爽やかに肩書のなき名刺かな

(57) 秋天に伸びゆくトロンボーンかな

(91) 地の熱気さらりと流す秋の水

(95) 赤でなくくれなゐでなく曼珠沙華

(107) 露草や野辺のどこかに水の音


◎竹俣修 選

(2) さやさやと灯籠流れ追ふ童

(12) 秋桜で占う姉の幼き日

(55) 鈴虫や文箱の父はセピア色

(60) 駅に挿す秋七草や陶の町

(109) 振子時計醒めた音して夜の長し


◎星野裕子 選

(3) 風紋に触れ漣に触れ秋津

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(66) コテージの豊かなる森小鳥来る

(82) 野の草のひと色と消ゆ秋の蝶

(88) 木の実落つ銀のひかりとなりて落つ


◎稲葉京閑 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(44) 鉛筆を削る木の香や秋気澄む

(46) 終戦日母の話しの長くなり

(82) 野の草のひと色と消ゆ秋の蝶


◎木村佑 選

(23) トラバース紅葉なかの朝日岳

(38) 爽やかに肩書のなき名刺かな

(44) 鉛筆を削る木の香や秋気澄む

(73) 神の意のままに流るる星ひとつ

(87) 秋風に任せてをりぬ猫の髭


◎森田遊馬 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(38) 爽やかに肩書のなき名刺かな

(50) 狭庭にも水引の花咲きにけり

(97) それぞれに名を尋ねをり秋の草

(101) 葉脈に触れれば走る朝の露


◎清水檀 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(38) 爽やかに肩書のなき名刺かな

(50) 狭庭にも水引の花咲きにけり

(97) それぞれに名を尋ねをり秋の草

(101) 葉脈に触れれば走る朝の露


◎佐々木一栗 選

(5) 風の無く霧を留めて居る妙義

(20) 曇天の朝一匹の虫の声

(32) トラックの影に休める残暑かな

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(87) 秋風に任せてをりぬ猫の髭


◎井野紫 選

(31) 秋蝉の声の映りし潦

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(73) 神の意のままに流るる星ひとつ

(82) 野の草のひと色と消ゆ秋の蝶

(95) 赤でなくくれなゐでなく曼珠沙華


◎阿部ひで希 選

(19) 吾亦紅ここよここよと風さそう

(37) 箱庭の草引き抜かず一遍忌

(47) 木洩れ日にいとど露けき風化佛

(61) 実を成さぬ蕊の奔放曼珠沙華

(88) 木の実落つ銀のひかりとなりて落つ


◎髙橋千登世 選

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(63) 秋の雲ユーミンの歌口ずさむ

(66) コテージの豊かなる森小鳥来る

(78) 抱き寄せた影を重ねる月明かり

(106) 行商の母の背中やリンゴ買う


◎天田あすなろう 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(44) 鉛筆を削る木の香や秋気澄む

(82) 野の草のひと色と消ゆ秋の蝶

(101) 葉脈に触れれば走る朝の露

(107) 露草や野辺のどこかに水の音


◎鬼形瑞枝 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(24) 無念やな空襲直後終戦日

(32) トラックの影に休める残暑かな

(80) 新柄のブラウス一枚水の秋

(89) 日溜まりに姉さん被り豆叩く


◎安部じゅん 選

(11) 紅させど晴れぬ愁思の中にをり

(20) 曇天の朝一匹の虫の声

(57) 秋天に伸びゆくトロンボーンかな

(83) 曼珠沙華天守閣へと攻めのぼる

(100) 満月や裏の兎は瀑睡中


◎里村閑 選

(15) 一片や葉先に残り夜の木槿

(21) 待宵の磨き上げたる銀食器

(35) 鰯雲地球を丸く泳ぎけり

(41) 野末まで包む山影松虫草

(57) 秋天に伸びゆくトロンボーンかな


◎ななさと紅緒 選

(1) 電線の鳩は西向き秋の声

(3) 風紋に触れ漣に触れ秋津

(7) 獺祭忌裸電球昼灯す

(21) 待宵の磨き上げたる銀食器

(88) 木の実落つ銀のひかりとなりて落つ


◎鈴木由里子 選

(9) 変わり行く風を惜しみて秋の蝉

(34) 味見する度に恋するりんごジャム

(57) 秋天に伸びゆくトロンボーンかな

(74) 隣家のピアノレッスン宵の秋

(87) 秋風に任せてをりぬ猫の髭


◎杉山加織 選

(3) 風紋に触れ漣に触れ秋津

(17) 葛の風犬たちの耳とばさるる

(22) 寂聴の声の明るさ女郎花

(60) 駅に挿す秋七草や陶の町

(88) 木の実落つ銀のひかりとなりて落つ

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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