令和2年2月 月例インターネット句会 Vol.96結果発表

木暮陶句郎 選 

 ◎特選 8句 

 日脚伸ぶ上がり框のランドセル(ななさと紅緒) 

 日当たりの干蛸に付く冬の蠅(稲葉 京閑) 

 目覚めたる如く薄氷流れけり(星野 裕子) 

 淋しさの指押し当ててレタス剥く(鈴木由里子) 

 外洋に出てよりの冷四温凪(稲葉 京閑) 

 歩きつつ触れる郷土史蕗の薹(中野 千秋) 

 文字化けのメール次々来し余寒(杉山 加織) 

 うららかや防災無線ぶつぶつと(里村 閑) 


 〇入選 26句 

 寒明けの潮の干満白砂光(稲葉 京閑) 

 山上湖星を零して春動く(星野 裕子) 

 野水仙陶句郎作一輪挿(松本 余一) 

 底冷すひねもす薪を焚きにけり(髙橋千登世) 

 白梅の人去りてより匂ひけり(里村 閑) 

友チョコといふ名の距離のバレンタイン(杉山 加織) 

鉢植ゑに水たっぷりと春立つ日(清水 檀) 

 陽光を一身に受け花の兄(松本由美子) 

 大屋根に四温の光満たす坊(松本 余一) 

 一階と二階の窓の親子猫(山本 彩) 

 からつぽの懐に入れ春の風(ななさと紅緒) 

 日本の銘酒育む雪解水(森田 遊馬) 

 爆音のヘリは二月の空を斬る(阿部ひで希) 

 立春のサッカー少年風蹴つて(星野 裕子) 

 梅二月隙間時間の星渓園(鈴木由里子) 

 梅咲きぬ松陰神社静かなり(岩佐 晴子) 

 子山羊よぶ指笛はるか草青む(ななさと紅緒) 

 薄氷のはなれ大河の端となる(堤 かがり) 

 枝先に子らの見上げる奴凧(竹俣 修) 

 痩身を舐め舐め帰る恋の猫(星野 裕子) 

 赤松の幹の鱗や春時雨(松本 余一) 

 春浅し動物園の空の檻(堤 かがり) 

 梅が香の玄関先に鬼も来て(竹俣 修) 

 途中下車したくなるよな梅日和(松本由美子) 

 けふ風の冷たく原野かがやかす(星野 裕子) 

 枕辺のぬるき恋歌春時雨(杉山 加織) 


 互選 

5票 

淋しさの指押し当ててレタス剥く(鈴木由里子) 

日脚伸ぶ上がり框のランドセル (ななさと紅緒) 

 春浅し動物園の空の檻 (堤 かがり) 

 呟きは風に消されて梅寒し(木暮陶句郎) 


 4票 

山上湖星を零して春動く (星野 裕子) 

初めてで最後のレギュラー卒業す (ななさと紅緒) 

消しゴムで消せざる記憶春寒し (木暮陶句郎) 


3票 

 目覚めたる如く薄氷流れけり (星野 裕子) 

 白梅の人去りてより匂ひけり(里村 閑) 

 うららかや防災無線ぶつぶつと (里村 閑) 

 薄氷のはなれ大河の端となる (堤 かがり) 

 あたたかや紙人形の陽に透けて (木暮陶句郎) 

水ありて水音ありて山笑ふ(木暮陶句郎)

 友チョコといふ名の距離のバレンタイン (杉山 加織) 


2票 

 梅が香を腹一杯に喰らひけり(森田 遊馬) 

 爆音のヘリは二月の空を斬る (阿部ひで希) 

 途中下車したくなるよな梅日和(松本由美子) 

夢を喰ふただそれだけの二月なり (天田あすなろう) 

子山羊よぶ指笛はるか草青む (ななさと紅緒) 

 吾の鼓動跳ね上げ春の土をゆく(杉山 加織) 


 1票 

 梅が香の玄関先に鬼も来て (竹俣 修) 

 上州の山路の日蔭雪僅か(阿部ひで希) 

 波の裏砕いて分かれ雪解川(阿部ひで希) 

日当たりの干蛸に付く冬の蠅(稲葉 京閑) 

遠き日や豆まく声は父のもの(清水 檀) 

ぽつねんと猫は日だまり春寒し(清水 檀) 

浅き春菜の花色に暮れゆけり(清水 檀) 

猫柳銀の産毛を陽にかざし(清水 檀) 

庭の梅綻ぶ先に青き空(松本由美子) 

痩身を舐め舐め帰る恋の猫 (星野 裕子) 

大屋根に四温の光満たす坊(松本 余一) 

下萌や土もりあげて玻璃の色(松本 余一) 

底冷すひねもす薪を焚きにけり(髙橋千登世)

少女等の声高らかに春立ちぬ(髙橋千登世) 

春障子程なく心真白くす (鈴木由里子) 

春一番バケツ駆け出し宙返り (安部じゅん) 

立春の卵を落とす湯気の上(里村 閑) 

常夜燈に寄る舟春の眠りかな(里村 閑) 

からつぽの懐に入れ春の風 (ななさと紅緒) 

埃立つ荒地に浸みる春時雨(堤 かがり) 

公魚の穴の深さを手繰る糸(堤 かがり) 

歩きつつ触れる郷土史蕗の薹 (中野 千秋) 

生くるとは前を向くこと東風強し(木暮陶句郎) 

枕辺のぬるき恋歌春時雨(杉山 加織) 


 互選結果 

 ◎ 森田遊馬 選   

白梅の人去りてより匂ひけり   

上州の山路の日蔭雪僅か   

少女等の声高らかに春立ちぬ   

夢を喰ふただそれだけの二月なり   

途中下車したくなるよな梅日和 


 ◎ 天田あすなろう 選   

山上湖星を零して春動く   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

友チョコといふ名の距離のバレンタイン   

薄氷のはなれ大河の端となる   

呟きは風に消されて梅寒し 


 ◎ 星野裕子 選   

あたたかや紙人形の陽に透けて   

波の裏砕いて分かれ雪解川   

消しゴムで消せざる記憶春寒し   

途中下車したくなるよな梅日和   

呟きは風に消されて梅寒し 


 ◎ 岩佐晴子 選   

山上湖星を零して春動く   

淋しさの指押し当ててレタス剥く   

爆音のヘリは二月の空を斬る   

子山羊よぶ指笛はるか草青む   

呟きは風に消されて梅寒し 


 ◎ 竹俣修 選   

庭の梅綻ぶ先に青き空   

山上湖星を零して春動く   

友チョコといふ名の距離のバレンタイン   

子山羊よぶ指笛はるか草青む   

初めてで最後のレギュラー卒業す 


 ◎ 髙橋千登世 選   

梅が香を腹一杯に喰らひけり   

春障子程なく心真白くす   

ぽつねんと猫は日だまり春寒し   

薄氷のはなれ大河の端となる   

痩身を舐め舐め帰る恋の猫 


 ◎ 松本由美子 選   

底冷すひねもす薪を焚きにけり   

水ありて水音ありて山笑ふ   

初めてで最後のレギュラー卒業す   

消しゴムで消せざる記憶春寒し   

下萌や土もりあげて玻璃の色 


 ◎ 稲葉京閑 選   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

友チョコといふ名の距離のバレンタイン   

目覚めたる如く薄氷流れけり   

公魚の穴の深さを手繰る糸   

呟きは風に消されて梅寒し 


 ◎ 清水檀 選   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

目覚めたる如く薄氷流れけり   

爆音のヘリは二月の空を斬る   

薄氷のはなれ大河の端となる   

吾の鼓動跳ね上げ春の土をゆく 


 ◎ 堤かがり 選   

遠き日や豆まく声は父のもの   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

歩きつつ触れる郷土史蕗の薹   

初めてで最後のレギュラー卒業す   

消しゴムで消せざる記憶春寒し 


 ◎ 鈴木由里子 選   

からつぽの懐に入れ春の風   

浅き春菜の花色に暮れゆけり   

夢を喰ふただそれだけの二月なり   

春浅し動物園の空の檻   

枕辺のぬるき恋歌春時雨 


 ◎ 山本彩 選   

日当たりの干蛸に付く冬の蠅   

常夜燈に寄る舟春の眠りかな   

春浅し動物園の空の檻   

梅が香の玄関先に鬼も来て   

うららかや防災無線ぶつぶつと 


 ◎ 阿部ひで希 選   

梅が香を腹一杯に喰らひけり   

春一番バケツ駆け出し宙返り   

大屋根に四温の光満たす坊   

水ありて水音ありて山笑ふ   

初めてで最後のレギュラー卒業す 


 ◎ 里村閑 選   

埃立つ荒地に浸みる春時雨   

生くるとは前を向くこと東風強し   

春浅し動物園の空の檻   

猫柳銀の産毛を陽にかざし   

呟きは風に消されて梅寒し 


 ◎ ななさと紅緒 選   

山上湖星を零して春動く   

白梅の人去りてより匂ひけり   

目覚めたる如く薄氷流れけり   

淋しさの指押し当ててレタス剥く   

春浅し動物園の空の檻 


 ◎ 安部じゅん 選   

白梅の人去りてより匂ひけり   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

淋しさの指押し当ててレタス剥く   

吾の鼓動跳ね上げ春の土をゆく   

春浅し動物園の空の檻    


 ◎ 中野千秋 選   

日脚伸ぶ上がり框のランドセル   

淋しさの指押し当ててレタス剥く   

立春の卵を落とす湯気の上   

あたたかや紙人形の陽に透けて   

うららかや防災無線ぶつぶつと 


 ◎ 杉山加織 選   

淋しさの指押し当ててレタス剥く   

あたたかや紙人形の陽に透けて   

水ありて水音ありて山笑ふ   

消しゴムで消せざる記憶春寒し   

うららかや防災無線ぶつぶつと

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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