令和5年9月 月例インターネット句会 Vol.139

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

榛名湖の貸しボート場秋茜(竹俣 修)

秋灯重たき辞書をちかく置く(星野 裕子)

打球いま子規忌の空へまつしぐら(木村 佑)

法要の終ひは陽気曼珠沙華(堤 かがり)

マニキュアの薄むらさきに夢二の忌(杉山 加織)

終着の駅の賑はひ星月夜(竹渕 昭彦)

照紅葉山のやうなる家事育児(鈴木由里子)

よく浮かぶ笑窪の影や今日の月(佐々木一栗)

星とんで足裏に青き地球かな(木村 佑)

草の花貨物列車の通り過ぐ(竹渕 昭彦)


○入選 25句

秋晴や幼子駆ける声高し(佐藤 聡)

抽斗の古き栞や秋の夜(大渕 洋)

一投の竿の先なる鯊の影(稲葉 京閑)

純白の願の糸は古びけり(中島 圭子)

リュウグウノツカイは月に蒼く濡れ(木村 佑)

水澄めり山影落とす梓川(堤 かがり)

天と地の風が育てし花野かな(星野 裕子)

釣り上がる鯊橋桁の水陽炎(稲葉 京閑)

青空が好き風が好き秋桜(清水 檀)

新涼や外湯めぐりの下駄の音(中島 圭子)

敬老日ホームの祖母と食むプリン(木下美樹枝)

針を呑む鯊の口裂く南無阿弥陀(稲葉 京閑)

一回り宇宙を広げ秋の空(岩佐 晴子)

栗飯をよそひドラマも始まった(小須賀正幸)

生きるもの立ち上がりたる野分後(堤 かがり)

秋日濃しバウムクーヘン渦巻いて(星野 裕子)

踏み入れば全山の露動きけり(小暮 蓮生)

露草や古城の池の鯉跳ねる(竹渕 昭彦)

遠雷や車窓を濡らし遠ざかり(森田 遊馬)

父さがす集合写真秋灯下(堤 かがり)

ライブ終へ銀翼の発つ秋夕焼(竹俣 修)

赤蜻蛉逢魔が時を横切れり(星野 裕子)

大花野ひとつになれる息づかひ(下境 洋子)

あてもなくショート動画を見て夜長(木村 佑)

旋回のゆるく白露の滑走路(杉山 加織)


互選

4点句

秋灯重たき辞書をちかく置く(星野 裕子)

新涼や外湯めぐりの下駄の音(中島 圭子)

星とんで足裏に青き地球かな(木村 佑)


3点句

忘れっぽいところも長所夕化粧(木下美樹枝)

一投の竿の先なる鯊の影(稲葉 京閑)

踏み入れば全山の露動きけり(小暮 蓮生)

一回り宇宙を広げ秋の空(岩佐 晴子)

リュウグウノツカイは月に蒼く濡れ(木村 佑)

打球いま子規忌の空へまつしぐら(木村 佑)


2点句

老猫に若さ促す猫じゃらし(竹俣 修)

大花野ひとつになれる息づかひ(下境 洋子)

青空が好き風が好き秋桜(清水 檀)

アトリエの開かずの扉葛の花(小暮 蓮生)

どちらからともなくふゆるあきつかな(小暮 蓮生)

ほほづきを初めて食す信濃旅(佐々木一栗)

零るるも流るるもよき星月夜(佐々木一栗)

こだわりの箸でつるりと新豆腐(森田 遊馬)

法要の終ひは陽気曼珠沙華(堤 かがり)

生きるもの立ち上がりたる野分後(堤 かがり)

秋灯のまろき光の古手紙(堤 かがり)

内なる子内なる心持ちて秋(鈴木由里子)

マニキュアの薄むらさきに夢二の忌(杉山 加織)

花野ゆく度に草の名尋ねたる(杉山 加織)

人類も滅ぶさだめか流れ星(木暮陶句郎)

朔太郎生家の蔵や草の花(木暮陶句郎)


1点句

月草の花で染めたるちゅらの海(竹俣 修)

梨を剥く包丁既にみずみずし(高橋ちとせ)

秋の蝉哀しき程に鳴きにけり(高橋ちとせ)

天と地の風が育てし花野かな(星野 裕子)

秋日濃しバウムクーヘン渦巻いて(星野 裕子)

抽斗の古き栞や秋の夜(大渕 洋)

長幼の序には背かず敬老日(大渕 洋)

バス旅は葉月の越後平野行く(清水 檀)

朝露は草木の流す涙かな(小暮 蓮生)

朝露の湿原走る速さかな(小暮 蓮生)

鰯雲幼き日々へ想ひ涌く(天田あすなろう)

秋の雨それでも地球冷めやらず(天田あすなろう)

柿紅葉手箒置ひてティータイム(小須賀正幸)

栗飯をよそひドラマも始まった(小須賀正幸)

大阪に着きしその日は底紅忌(小須賀正幸)

終着の駅の賑はひ星月夜(竹渕 昭彦)

月明や地球は祈ること多し(木村 佑)

題名のない音楽会や虫の声(森田 遊馬)

水澄めり山影落とす梓川(堤 かがり)

蘭の花家庭的とは褒め言葉(鈴木由里子)

秋雲や上手くは行かぬ月曜日(鈴木由里子)

照紅葉山のやうなる家事育児(鈴木由里子)

宵闇の黙鍵穴の奥の奥(杉山 加織)

鉄色の海を残して野分過ぐ(木暮陶句郎)

ジーンズの膝の破けて涼新た(木暮陶句郎)

枸杞の実の滲む杏仁豆腐かな(木暮陶句郎)


互選結果

◎木下美樹枝 選

(32) 青空が好き風が好き秋桜

(36) ほほづきを初めて食す信濃旅

(43) 法要の終ひは陽気曼珠沙華

(62) 栗飯をよそひドラマも始まった

(87) 星とんで足裏に青き地球かな


◎佐藤聡 選

(2) 忘れっぽいところも長所夕化粧

(45) マニキュアの薄むらさきに夢二の忌

(65) こだわりの箸でつるりと新豆腐

(76) 長幼の序には背かず敬老日

(91) 花野ゆく度に草の名尋ねたる


◎星野裕子 選

(10) アトリエの開かずの扉葛の花

(38) 秋の雨それでも地球冷めやらず

(79) 踏み入れば全山の露動きけり

(105) 零るるも流るるもよき星月夜

(112) 秋灯のまろき光の古手紙


◎高橋ちとせ 選

(5) 秋灯重たき辞書をちかく置く

(7) 抽斗の古き栞や秋の夜

(33) 朝露は草木の流す涙かな

(56) 朝露の湿原走る速さかな

(65) こだわりの箸でつるりと新豆腐


◎中島圭子 選

(8) 一投の竿の先なる鯊の影

(18) リュウグウノツカイは月に蒼く濡れ

(46) 朔太郎生家の蔵や草の花

(47) 月草の花で染めたるちゅらの海

(114) 旋回のゆるく白露の滑走路


◎稲葉京閑 選

(2) 忘れっぽいところも長所夕化粧

(5) 秋灯重たき辞書をちかく置く

(24) 老猫に若さ促す猫じゃらし

(57) 一回り宇宙を広げ秋の空

(87) 星とんで足裏に青き地球かな


◎堤かがり 選

(2) 忘れっぽいところも長所夕化粧

(21) 蘭の花家庭的とは褒め言葉

(23) 人類も滅ぶさだめか流れ星

(87) 星とんで足裏に青き地球かな

(98) 大花野ひとつになれる息づかひ


◎小暮蓮生 選

(20) 水澄めり山影落とす梓川

(35) 新涼や外湯めぐりの下駄の音

(66) 生きるもの立ち上がりたる野分後

(73) 酔芙蓉淡い初恋胸の奥

(98) 大花野ひとつになれる息づかひ


◎鈴木由里子 選

(18) リュウグウノツカイは月に蒼く濡れ

(45) マニキュアの薄むらさきに夢二の忌

(63) 終着の駅の賑はひ星月夜

(92) ジーンズの膝の破けて涼新た

(105) 零るるも流るるもよき星月夜


◎竹渕昭彦 選

(5) 秋灯重たき辞書をちかく置く

(22) 宵闇の黙鍵穴の奥の奥

(91) 花野ゆく度に草の名尋ねたる

(108) 大阪に着きしその日は底紅忌

(115) 枸杞の実の滲む杏仁豆腐かな


◎木村佑 選

(23) 人類も滅ぶさだめか流れ星

(35) 新涼や外湯めぐりの下駄の音

(44) 秋雲や上手くは行かぬ月曜日

(69) 鉄色の海を残して野分過ぐ

(102) どちらからともなくふゆるあきつかな


◎小須賀正幸 選

(18) リュウグウノツカイは月に蒼く濡れ

(27) 梨を剥く包丁既にみずみずし

(36) ほほづきを初めて食す信濃旅

(46) 朔太郎生家の蔵や草の花

(66) 生きるもの立ち上がりたる野分後


◎下境洋子 選

(10) アトリエの開かずの扉葛の花

(19) 題名のない音楽会や虫の声

(24) 老猫に若さ促す猫じゃらし

(39) 柿紅葉手箒置ひてティータイム

(67) 照紅葉山のやうなる家事育児


◎清水檀 選

(15) 鰯雲幼き日々へ想ひ涌く

(35) 新涼や外湯めぐりの下駄の音

(41) 打球いま子規忌の空へまつしぐら

(57) 一回り宇宙を広げ秋の空

(79) 踏み入れば全山の露動きけり


◎天田あすなろう 選

(8) 一投の竿の先なる鯊の影

(41) 打球いま子規忌の空へまつしぐら

(102) どちらからともなくふゆるあきつかな

(112) 秋灯のまろき光の古手紙

(113) 内なる子内なる心持ちて秋


◎佐々木一栗 選

(8) 一投の竿の先なる鯊の影

(28) 天と地の風が育てし花野かな

(57) 一回り宇宙を広げ秋の空

(79) 踏み入れば全山の露動きけり

(113) 内なる子内なる心持ちて秋


◎大渕洋 選

(32) 青空が好き風が好き秋桜

(35) 新涼や外湯めぐりの下駄の音

(41) 打球いま子規忌の空へまつしぐら

(43) 法要の終ひは陽気曼珠沙華

(101) バス旅は葉月の越後平野行く


◎杉山加織 選

(5) 秋灯重たき辞書をちかく置く

(64) 月明や地球は祈ること多し

(74) 秋日濃しバウムクーヘン渦巻いて

(82) よく浮かぶ笑窪の影や今日の月

(87) 星とんで足裏に青き地球かな

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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