令和2年3月 月例インターネット句会 Vol.97結果発表

木暮陶句郎 選

◎特選 9句

雲光りゆく末黒野のにはたづみ(須藤恵美子)

山門の隅の明るさ落椿(阿部ひで希)

料峭や蜂蜜色のホテルの灯(中野 千秋)

竹の秋誰も通らぬ道静か(髙橋千登世)

弁当のごはんの香り春の丘(里村 閑)

卒業の鞄の軽さ背負ひたる(杉山 加織)

春の航デッキをすべる鳥の影(須藤恵美子)

横丁に抜け道いくつ春の宵(中野 千秋)

航跡の光の育ち朝霞(杉山 加織)


〇入選 40句

人影の見ゆ頂へ野火駆ける(竹俣 修)

春めくやいつしか緩む肩の凝り(森田 遊馬)

柔らかい夫の寝息や春炬燵(鬼形 瑞枝)

春満月地球は碧き泪かな(星野 裕子)

春休みシャトル飛び交ふ体育館(鈴木由里子)

展示品みな古き物花ミモザ(堤 かがり)

涅槃雪掻き回されし森の底(杉山 加織)

名も知らぬ花の盛りの春田かな(森田 遊馬)

入魂の耕運機なり鳥雲に(鬼形 瑞枝)

梅東風や絆の一字見ゆる絵馬(星野 裕子)

卵焼き上手に焼けて春休み(岩佐 晴子)

春風の隣に座る木のベンチ(須藤恵美子)

木蓮のいまに飛び立つばかりなり(里村 閑)

輝ける六芒星や黄水仙(中野 千秋)

春の雪好きも嫌ひも受け止めて(杉山 加織)

高貴なる色を重ぬる紫木蓮(稲葉 京閑)

風そよぐ春田の果てに白き富士(森田 遊馬)

満開の河津桜の齢かな(鬼形 瑞枝)

さり気なく肩抱く君や春の宵(清水 檀)

揚雲雀日を千切つては撒き散らし(須藤恵美子)

果て読めぬ書淫の日々や春の風邪(ななさと紅緒)

春眠に在らず左手薬指(鈴木由里子)

凸凹に折り重なって鳥雲に(安部じゅん)

鳥の首傾ぎ通してゐる春愁(杉山 加織)

昼下がり若草を食む阿蘇の馬(竹俣 修)

春憂ふ感染症といふ魔物(清水 檀)

陽炎を割つて少年キックオフ(須藤恵美子)

啓蟄や茶柱まはす掌(ななさと紅緒)

春めくや中学校は坂の上(鈴木由里子)

亀鳴くや吾も母も耳遠くなり(安部じゅん)

春灯みんな仮面をした同士(中野 千秋)

穴窯と薪の隣の花菜かな(竹俣 修)

声変はりして卒業の答辞読む(稲葉 京閑)

ゆらゆらと紙飛行機の春めきぬ(森田 遊馬)

背伸びして届かぬ空よつくづくし(星野 裕子)

春寒や無観客なる大相撲(岩佐 晴子)

水音や青磁の皿のさくら餅(里村 閑)

湧き上がる凱歌のやうに雪解川(ななさと紅緒)

桜東風LEGOブロックの消防車(鈴木由里子)

誰か呼ぶ土筆の原の端に立ち(堤 かがり)


互選

6票

カクテルに添へる折鶴立子の忌 (木暮陶句郎)


5票

声変はりして卒業の答辞読む(稲葉 京閑)

オクラホマミキサー春風と手をつなぐ (里村 閑)

不意に鳴り出す朧夜の置時計 (木暮陶句郎)


4票

柔らかい夫の寝息や春炬燵(鬼形 瑞枝)

揚雲雀日を千切つては撒き散らし(須藤恵美子)

春泥やもう後戻りできぬ道(ななさと紅緒)


3票

沈丁の花の重さに応ふる香(稲葉 京閑)

補助輪の取れてスイスイ風光る(岩佐 晴子)

卵焼き上手に焼けて春休み (岩佐 晴子)

水音や青磁の皿のさくら餅(里村 閑)

果て読めぬ書淫の日々や春の風邪(ななさと紅緒)

料峭や蜂蜜色のホテルの灯(中野 千秋)

金色は太陽の色春氷柱(木暮陶句郎)


2票

論争の二人のベンチ花盛り(竹俣 修)

さり気なく肩抱く君や春の宵 (清水 檀)

春満月地球は碧き泪かな(星野 裕子)

会へば先づコロナの話春寒し(岩佐 晴子)

雲光りゆく末黒野のにはたづみ (須藤恵美子)

ひこばえのはしやぎ出づるや駅通り(山本 彩)

ややこしきものに男や白椿 (鈴木由里子)

横丁に抜け道いくつ春の宵 (中野 千秋)

春の雪好きも嫌ひも受け止めて(杉山 加織)


1票

人影の見ゆ頂へ野火駆ける(竹俣 修)

昼下がり若草を食む阿蘇の馬(竹俣 修)

高貴なる色を重ぬる紫木蓮(稲葉 京閑)

陽光の一樹眩しき白木蓮(稲葉 京閑)

風そよぐ春田の果てに白き富士(森田 遊馬)

ゆらゆらと紙飛行機の春めきぬ(森田 遊馬)

早春や希望の轍踏むあした(清水 檀)

春憂ふ感染症といふ魔物(清水 檀)

隠れ家のカフェから望む春の富士(松本由美子)

春夕焼眺め良きかな厨窓(松本由美子)

春の雪こはごは歩む家の犬(松本由美子)

梅東風や絆の一字見ゆる絵馬(星野 裕子)

背伸びして届かぬ空よつくづくし(星野 裕子)

これといふ名も無き雲や春の空(岩佐 晴子)

春風の隣に座る木のベンチ(須藤恵美子)

陽炎を割って少年キックオフ(須藤恵美子)

春の航デッキをすべる鳥の影(須藤恵美子)

ラジオの尾崎豊澄む雪解水(山本 彩)

丸ポストたたけば春の声をだす(里村 閑)

木蓮のいまに飛び立つばかりなり(里村 閑)

はひはひの雛灯りをめざしをり(ななさと紅緒)

春めくや中学校は坂の上(鈴木由里子)

桜東風LEGOブロックの消防車(鈴木由里子)

展示品みな古き物花ミモザ(堤 かがり)

誰か呼ぶ土筆の原の端に立ち(堤 かがり)

山門の隅の明るさ落椿(阿部ひで希)

猟銃の響く里山春の風(阿部ひで希)

春灯みんな仮面をした同士(中野 千秋)

真砂女忌の二日過ぎたる海の色(木暮陶句郎)

卒業の鞄の軽さ背負ひたる(杉山 加織)


互選結果

◎ 須藤恵美子 選

(14) 春泥やもう後戻りできぬ道

(42) 春の雪好きも嫌ひも受け止めて

(55) オクラホマミキサー春風と手をつなぐ

(56) 果て読めぬ書淫の日々や春の風邪

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌


◎ 森田遊馬 選

(1) 人影の見ゆ頂へ野火駆ける

(39) 山門の隅の明るさ落椿

(51) これといふ名も無き雲や春の空

(53) 揚雲雀日を千切っては撒き散らし

(72) 会へば先づコロナの話春寒し  


◎ 小暮肇 選

(2) 沈丁の花の重さに応ふる香

(7) 春満月地球は碧き泪かな

(26) 早春や希望の轍踏むあした

(45) 風そよぐ春田の果てに白き富士

(53) 揚雲雀日を千切っては撒き散らし  


◎ 星野裕子 選

(13) 丸ポストたたけば春の声をだす

(53) 揚雲雀日を千切っては撒き散らし

(62) 金色は太陽の色春氷柱

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌

(97) 水音や青磁の皿のさくら餅  


◎ 岩佐晴子 選

(4) 柔らかい夫の寝息や春炬燵

(47) さり気なく肩抱く君や春の宵

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌

(86) 声変はりして卒業の答辞読む

(91) 背伸びして届かぬ空よつくづくし


◎ 竹俣修 選

(9) 補助輪の取れてスイスイ風光る

(48) 隠れ家のカフェから望む春の富士

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌

(86) 声変はりして卒業の答辞読む

(103) 横丁に抜け道いくつ春の宵  


◎ 髙橋千登世 選

(2) 沈丁の花の重さに応ふる香

(4) 柔らかい夫の寝息や春炬燵

(86) 声変はりして卒業の答辞読む

(97) 水音や青磁の皿のさくら餅

(101) 誰か呼ぶ土筆の原の端に立ち  


◎ 松本由美子 選

(22) 論争の二人のベンチ花盛り

(30) 卵焼き上手に焼けて春休み

(36) ややこしきものに男や白椿

(44) 高貴なる色を重ぬる紫木蓮

(54) ラジオの尾崎豊澄む雪解水  


◎ 稲葉京閑 選

(14) 春泥やもう後戻りできぬ道

(20) 不意に鳴り出す朧夜の置時計

(35) はひはひの雛灯りをめざしをり

(62) 金色は太陽の色春氷柱

(74) 陽炎を割って少年キックオフ  


◎ 清水檀 選

(11) 雲光りゆく末黒野のにはたづみ

(14) 春泥やもう後戻りできぬ道

(20) 不意に鳴り出す朧夜の置時計

(65) 陽光の一樹眩しき白木蓮

(69) 春夕焼眺め良きかな厨窓  


◎ 堤かがり 選

(14) 春泥やもう後戻りできぬ道

(28) 梅東風や絆の一字見ゆる絵馬

(56) 果て読めぬ書淫の日々や春の風邪

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌

(86) 声変はりして卒業の答辞読む


◎ 鈴木由里子 選

(30) 卵焼き上手に焼けて春休み

(32) 春風の隣に座る木のベンチ

(47) さり気なく肩抱く君や春の宵

(56) 果て読めぬ書淫の日々や春の風邪

(61) 料峭や蜂蜜色のホテルの灯

  

◎ 鬼形瑞枝 選

(9) 補助輪の取れてスイスイ風光る

(12) ひこばえのはしゃぎ出づるや駅通り

(30) 卵焼き上手に焼けて春休み

(42) 春の雪好きも嫌ひも受け止めて

(55) オクラホマミキサー春風と手をつなぐ


◎ 山本彩 選

(17) 展示品みな古き物花ミモザ

(53) 揚雲雀日を千切っては撒き散らし

(64) 昼下がり若草を食む阿蘇の馬

(90) 春の雪こはごは歩む家の犬

(95) 春の航デッキをすべる鳥の影  


◎ 阿部ひで希 選

(4) 柔らかい夫の寝息や春炬燵

(9) 補助輪の取れてスイスイ風光る

(22) 論争の二人のベンチ花盛り

(68) 春憂ふ感染症といふ魔物

(83) カクテルに添へる折鶴立子の忌  


◎ 里村閑 選

(7) 春満月地球は碧き泪かな

(20) 不意に鳴り出す朧夜の置時計

(78) 春めくや中学校は坂の上

(82) 春灯みんな仮面をした同士

(102) 猟銃の響く里山春の風  


◎ ななさと紅緒 選

(2) 沈丁の花の重さに応ふる香

(20) 不意に鳴り出す朧夜の置時計

(34) 木蓮のいまに飛び立つばかりなり

(61) 料峭や蜂蜜色のホテルの灯

(103) 横丁に抜け道いくつ春の宵  


◎ 安部じゅん 選

(20) 不意に鳴り出す朧夜の置時計

(55) オクラホマミキサー春風と手をつなぐ

(84) 卒業の鞄の軽さ背負ひたる

(97) 水音や青磁の皿のさくら餅

(99) 桜東風LEGOブロックの消防車

  

◎ 中野千秋 選

(4) 柔らかい夫の寝息や春炬燵

(36) ややこしきものに男や白椿

(41) 真砂女忌の二日過ぎたる海の色

(55) オクラホマミキサー春風と手をつなぐ

(72) 会へば先づコロナの話春寒し  


◎ 杉山加織 選

(11) 雲光りゆく末黒野のにはたづみ

(55) オクラホマミキサー春風と手をつなぐ

(61) 料峭や蜂蜜色のホテルの灯

(62) 金色は太陽の色春氷柱

(86) 声変はりして卒業の答辞読む


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