令和6年3月 月例インターネット句会 Vol.145

木暮陶句郎 選

◎特選 11句

先代のままの表札梅の花(岩佐 晴子)

能登町に薫る珈琲春来たれ(下境 洋子)

生みたくて君を産みけり桃の花(木村 佑)

もう少し待って桜の咲く日まで(鈴木由里子)

長閑さやジャイアンときに優しくて(木村 佑)

紫雲英田の座り心地よ榛名山(安部 呑歩)

往く人の何か呟き沈丁花(大渕 洋)

春眠やベル無く発車する列車(稲葉 京閑)

絹糸の絡ぐ指先涅槃西風(鈴木由里子)

父のゐた庭の記憶や春日満つ(天田あすなろう)

啓蟄のとりとめのなき立ち話(堤 かがり)


○入選 25句

春風や壊れかけたる洗濯機(鈴木由里子)

湯の町の錆川渡り三月へ(渡辺 真澄)

探梅の心で歩くどの道も(星野 裕子)

風に張る薄氷を踏む遊びかな(高橋ちとせ)

木漏れ日や光の躍る春障子(清水 檀)

麗らかや寝転んで観る鳳凰図(中島 圭子)

春眠や故郷の夢で目が覚めて(佐藤 聡)

ふらここの風押し返す背中かな(佐々木一栗)

糊洗ひ布干す川や花木五倍子(太田 直史)

山笑ふ捉へどころのなき吾が子(堤 かがり)

春雨に濡れて月形半平太(大渕 洋)

またここに灯ともせり黄水仙(小暮 蓮生)

百度石春日のなかにわたあめ屋(天田あすなろう)

シンプルに過ぎゆく日々や白子干し(小須賀正幸)

ひとつにはなれぬ心よ春愁(杉山 加織)

ある者は腕まくりしてあたたかし(稲葉 京閑) 

負け犬の遠吠えままこのしりぬぐい(安部 呑歩)

共に歩きし人の面影桜川(渡辺 真澄)

ふらここの鎖にしかと少女の手(星野 裕子)

卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子(木村 佑)

水温む水面のひかり膨らませ(堤 かがり)

春の風地球わずかに軽くなる(星野 裕子)

削除キー押して記憶も朧かな(中島 圭子)

初燕はにわの里を滑空す(安部 吞歩)

公休日二度寝の後の浅蜊汁(小須賀正幸)


互選

7点句

翼持つもの強東風を力とす(木暮陶句郎)


5点句

春の風地球わずかに軽くなる(星野裕子)

ふらここの風押し返す背中かな(佐々木一栗)

初つばめ上州の空うらがへし(木暮陶句郎)


4点句

卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子(木村 佑)

雲雀東風肩をかすめる髪を切る(杉山 加織)


3点句

湯の町の錆川渡り三月へ(渡辺 真澄)

物の芽のほどけて緩む猫の四肢(渡辺 真澄)

生みたくて君を産みけり桃の花(木村 佑)

木漏れ日や光の躍る春障子(清水 檀) 


2点句

旅に出るコートの重さ腕に掛け(稲葉 京閑)

千枚田地割れの畦の黄水仙(竹俣 修)

恋人に逢ひに行きます流し雛(星野 裕子)

長閑さやジャイアンときに優しくて(木村 佑)

初蝶の光と影を零しつつ(木村 佑)

夕暮やふらここの揺れ残りけり(小暮 蓮生)

ワイングラスのごとく生るチューリップ(小暮 蓮生)

糊洗ひ布干す川や花木五倍子(太田 直史)

山笑ふ捉へどころのなき吾が子(堤 かがり)

紫雲英田の座り心地よ榛名山(安部 呑歩)

天窓のひかりゆらして木の芽風(木暮陶句郎)

児は母を追ひ越したくて青き踏む(木暮陶句郎)

春昼の猫の横切る玻璃戸かな(杉山 加織)

初蝶や恋はじまつてしまひさう(杉山 加織)


1点句

春風や壊れかけたる洗濯機(鈴木由里子)

もう少し待って桜の咲く日まで(鈴木由里子)

懸りたる雲の軽さや春の富士(稲葉 京閑)

春眠やベル無く発車する列車(稲葉 京閑)

津波跡の青の洞窟黄水仙(竹俣 修)

探梅の心で歩くどの道も(星野 裕子)

啓蟄や昆虫たちの脚の数(星野 裕子)

人生はスイッチバック春の雪(岩佐 晴子)

好きなだけ泣けば良いよと朧月(岩佐 晴子)

蕗味噌を誉めぬ亭主の舌鼓(下境 洋子)

悠々と赤城峰背にす犬ふぐり(下境 洋子)

風に張る薄氷を踏む遊びかな(高橋ちとせ)

彩りを気にして春のランチかな(木村 佑)

春雨や雨雨ふれふれ八代亜紀(大渕 洋)

居酒屋で夢を肴に春の酒(佐藤 聡)

麗らかや寝転んで観る鳳凰図(中島 圭子)

包丁のリズム軽やか雛の家(中島 圭子)

削除キー押して記憶も朧かな(中島 圭子)

またここに灯ともせり黄水仙(小暮 蓮生)

雪解野や村は祭の競べ馬(太田 直史)

百度石春日のなかにわたあめ屋(天田あすなろう)

もう春よまだ寒いねと縁側で(天田あすなろう)

父のゐた庭の記憶や春日満つ(天田あすなろう)

金平のほどよき照りや彼岸会(堤 かがり)

水温む水面のひかり膨らませ(堤 かがり)

啓蟄のとりとめのなき立ち話(堤 かがり)

陽炎よ正義の味方現れよ(安部 吞歩)

シンプルに過ぎゆく日々や白子干し(小須賀正幸)

公休日二度寝の後の浅蜊汁(小須賀正幸)

山葵漬江戸や明治の朝餉にも(竹渕 昭彦)

狂ふのもまたよし風の枝垂れ梅(木暮陶句郎)

ひとつにはなれぬ心よ春愁(杉山 加織)

嘘つきの君の瞳の春の闇(杉山 加織)


互選結果

◎渡辺真澄 選

(10) 木漏れ日や光の躍る春障子

(15) ふらここの風押し返す背中かな

(25) 旅に出るコートの重さ腕に掛け

(97) 春の風地球わずかに軽くなる

(105) 削除キー押して記憶も朧かな


◎竹俣修 選

(6) 先代のままの表札梅の花

(23) 春昼の猫の横切る玻璃戸かな

(32) 長閑さやジャイアンときに優しくて

(62) 雪解野や村は祭の競べ馬

(112) 公休日二度寝の後の浅蜊汁


◎稲葉京閑 選

(6) 先代のままの表札梅の花

(18) 山笑ふ捉へどころのなき吾が子

(42) 紫雲英田の座り心地よ榛名山

(55) 彩りを気にして春のランチかな

(78) 卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子


◎小暮蓮生 選

(15) ふらここの風押し返す背中かな

(23) 春昼の猫の横切る玻璃戸かな

(52) 人生はスイッチバック春の雪

(97) 春の風地球わずかに軽くなる

(101) 初蝶の光と影を零しつつ


◎星野裕子 選

(10) 木漏れ日や光の躍る春障子

(46) ひとつにはなれぬ心よ春愁

(69) 雲雀東風肩をかすめる髪を切る

(81) 居酒屋で夢を肴に春の酒

(114) 翼持つもの強東風を力とす


◎中島圭子 選

(16) 糊洗ひ布干す川や花木五倍子

(28) 恋人に逢ひに行きます流し雛

(69) 雲雀東風肩をかすめる髪を切る

(96) 物の芽のほどけて緩む猫の四肢

(114) 翼持つもの強東風を力とす


◎下境洋子 選

(6) 先代のままの表札梅の花

(16) 糊洗ひ布干す川や花木五倍子

(69) 雲雀東風肩をかすめる髪を切る

(95) 津波跡の青の洞窟黄水仙

(106) ワイングラスのごとく生るチューリップ


◎高橋ちとせ 選

(5) 探梅の心で歩くどの道も

(10) 木漏れ日や光の躍る春障子

(74) ふらここの鎖にしかと少女の手

(78) 卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子

(110) 啓蟄のとりとめのなき立ち話


◎佐藤聡 選

(6) 先代のままの表札梅の花

(9) 生みたくて君を産みけり桃の花

(71) 春眠やベル無く発車する列車

(82) 包丁のリズム軽やか雛の家

(98) 好きなだけ泣けば良いよと朧月


◎竹渕昭彦 選

(4) 湯の町の錆川渡り三月へ

(8) 風に張る薄氷を踏む遊びかな

(40) 百度石春日のなかにわたあめ屋

(72) 千枚田地割れの畦の黄水仙

(106) ワイングラスのごとく生るチューリップ


◎鈴木由里子 選

(9) 生みたくて君を産みけり桃の花

(28) 恋人に逢ひに行きます流し雛

(32) 長閑さやジャイアンときに優しくて

(43) シンプルに過ぎゆく日々や白子干し

(51) 啓蟄や昆虫たちの脚の数


◎小須賀正幸 選

(1) 春風や壊れかけたる洗濯機

(4) 湯の町の錆川渡り三月へ

(11) 春雨や雨雨ふれふれ八代亜紀

(15) ふらここの風押し返す背中かな

(64) 金平のほどよき照りや彼岸会


◎堤かがり 選

(2) 懸りたる雲の軽さや春の富士

(45) 初つばめ上州の空うらがへし

(60) 夕暮やふらここの揺れ残りけり

(97) 春の風地球わずかに軽くなる

(101) 初蝶の光と影を零しつつ


◎清水檀 選

(18) 山笑ふ捉へどころのなき吾が子

(86) もう春よまだ寒いねと縁側で

(87) 水温む水面のひかり膨らませ

(96) 物の芽のほどけて緩む猫の四肢

(114) 翼持つもの強東風を力とす


◎天田あすなろう 選

(4) 湯の町の錆川渡り三月へ

(24) もう少し待って桜の咲く日まで

(45) 初つばめ上州の空うらがへし

(60) 夕暮やふらここの揺れ残りけり

(96) 物の芽のほどけて緩む猫の四肢


◎大渕洋 選

(22) 天窓のひかりゆらして木の芽風

(37) またここに灯ともせり黄水仙

(45) 初つばめ上州の空うらがへし

(78) 卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子

(114) 翼持つもの強東風を力とす


◎木村佑 選

(15) ふらここの風押し返す背中かな

(88) 陽炎よ正義の味方現れよ

(91) 狂ふのもまたよし風の枝垂れ梅

(114) 翼持つもの強東風を力とす

(115) 初蝶や恋はじまつてしまひさう


◎岩佐晴子 選

(22) 天窓のひかりゆらして木の芽風

(45) 初つばめ上州の空うらがへし

(68) 児は母を追ひ越したくて青き踏む

(74) ふらここの鎖にしかと少女の手

(76) 蕗味噌を誉めぬ亭主の舌鼓


◎佐々木一栗 選

(25) 旅に出るコートの重さ腕に掛け

(42) 紫雲英田の座り心地よ榛名山

(68) 児は母を追ひ越したくて青き踏む

(69) 雲雀東風肩をかすめる髪を切る

(115) 初蝶や恋はじまつてしまひさう


◎安部吞歩 選

(45) 初つばめ上州の空うらがへし

(74) ふらここの鎖にしかと少女の手

(92) 嘘つきの君の瞳の春の闇

(97) 春の風地球わずかに軽くなる

(114) 翼持つもの強東風を力とす


◎太田直史 選

(15) ふらここの風押し返す背中かな

(44) 山葵漬江戸や明治の朝餉にも

(72) 千枚田地割れの畦の黄水仙

(99) 悠々と赤城峰背にす犬ふぐり

(109) 父のゐた庭の記憶や春日満つ


◎杉山加織 選

(9) 生みたくて君を産みけり桃の花

(12) 麗らかや寝転んで観る鳳凰図

(78) 卒業の綺麗に並ぶパイプ椅子

(97) 春の風地球わずかに軽くなる

(114) 翼持つもの強東風を力とす

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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