令和5年12月 月例インターネット句会 Vol.142

木暮陶句郎 選

◎特選 10句

鮟鱇の骨となりしも凄まじき(堤 かがり)

岳樺静かに雪の降りつづく(竹俣 修)

武蔵野へ天使の梯子降りて冬(佐々木一栗)

母植えし葉牡丹鉢にあふれけり(木下美樹枝)

山茶花や今日も一人の昼ごはん(高橋ちとせ)

シャーペンの芯バラバラと底冷す(大渕 洋)

ふたりぼっちもいいねと冬の動物園(木下美樹枝)

冬帽子追ひかけるには遠い人(星野 裕子)

子は父を見て空を見て冬ぬくし(木村 佑)

枯芝にひっくり返るポリバケツ(竹渕 昭彦)


○入選 22句

文字よりも声が聴きたし冬銀河(木下美樹枝)

肩つぼめ霙降る中夫帰る(高橋ちとせ)

結局は去年と同じ日記買ふ(岩佐 晴子)

木洩れ日へ紛れ込みゆく鴨の陣(小暮 蓮生)

貝塚の宝探しや石蕗の花(太田 直史)

北風の前髪めくる持久走(佐々木一栗)

年忘笑ふほか無き話など(星野 裕子)

朴落葉裏は白なり我もまた(小暮 蓮生)

空風の肩に力の後ろ影(堤 かがり)

固く鳴らして数へ日のキーボード(杉山 加織)

理科室のビーカー伏せて山眠る(星野 裕子)

雲重く山に被さり冬ざるる(清水 檀)

天に星地にピアノありクリスマス(天田あすなろう)

戯曲への挑戦新た薬喰ひ(小須賀正幸)

いつもの道いつもの位置に冬の星(星野 裕子)

ワイパーの固まってをり霜の朝(稲葉 京閑)

灯火のモザイクめきぬ冬木立(杉山 加織)

遠くから来る夫わかる冬帽子(高橋ちとせ)

湯を掛けて目覚める車霜の朝(稲葉 京閑)

値切ることさへ華となり酉の市(小暮 蓮生)

AIの計り知れぬ世去年今年(太田 直史)

山近く海遠く住み年暮るる(天田あすなろう)


互選

7点句

レノン忌のガザの少女の瞳かな(星野裕子)


4点句

美しき人を隠してゐるコート(鈴木由里子)

冬夕焼棒グラフめく街の影(木暮陶句郎)

星屑の太し霜夜の山ホテル(木暮陶句郎)


3点句

筆圧を上げねば書けぬ寒さかな(大渕 洋)

干布団溜りし憂さを叩き出す(太田 直史)

武蔵野へ天使の梯子降りて冬(佐々木一栗)

固く鳴らして数へ日のキーボード(杉山 加織)


2点句

年忘笑ふほか無き話など(星野 裕子)

また来ては喰んで糞する目白かな(下境 洋子)

綿虫の影より小さくとまりけり(木村 佑)

折れ釘に託す重みや古暦(稲葉 京閑)

木洩れ日へ紛れ込みゆく鴨の陣(小暮 蓮生)

値切ることさへ華となり酉の市(小暮 蓮生)

AIの計り知れぬ世去年今年(太田 直史)

粉雪よ初恋と云ふ切なさに(鈴木由里子)

天に星地にピアノありクリスマス(天田あすなろう)

山近く海遠く住み年暮るる(天田あすなろう)

マフラーの秘かに包む慕情かな(堤 かがり)

白線をはみ出す駐車年の暮(杉山 加織)

相槌の隙間に葛湯吹きにけり(杉山 加織)

蝋燭の甘き匂ひやクリスマス(木暮陶句郎)


1点句

文字よりも声が聴きたし冬銀河(木下美樹枝)

帰り路途切れる会話冬の月(木下美樹枝)

ふたりぼっちもいいねと冬の動物園(木下美樹枝)

山茶花や今日も一人の昼ごはん(高橋ちとせ)

赤ワイン程よく冷えて牡蠣を焼く(中島 圭子)

義父に似て夫後ろ手の日向ぼこ(中島 圭子)

亜麻色のショール引き上げ風の街(中島 圭子)

理科室のビーカー伏せて山眠る(星野 裕子)

いつもの道いつもの位置に冬の星(星野 裕子)

冬帽子追ひかけるには遠い人(星野 裕子)

落葉降るどんどん過去になってゆく(下境 洋子)

枯葉舞ふ刻を重ねし城址に(清水 檀)

石蕗活けて一輪だけの閑かさや(清水 檀)

病院の予約日悔む小春かな(大渕 洋)

シャーペンの芯バラバラと底冷す(大渕 洋)

凍月に雲を着せたる風ひとつ(木村 佑)

登校の縦一列や石蕗の花(木村 佑)

子は父を見て空を見て冬ぬくし(木村 佑)

一枚がぺらり師走のカレンダー(稲葉 京閑)

結局は去年と同じ日記買ふ(岩佐 晴子)

庭木皆雪囲とや友のLINE(岩佐 晴子)

喪の明けて赤きセーター袖通す(岩佐 晴子)

人参にひげ根あるまゝ直売所(岩佐 晴子)

波の間に刻のうつろふ冬の鳥(小暮 蓮生)

貝塚の宝探しや石蕗の花(太田 直史)

冬の鳥愁ひはやがて静けさに(鈴木由里子)

ゲレンデのフードコートの人集り(鈴木由里子)

テレビいやラジオもきらひお歳暮も(天田あすなろう)

戯曲への挑戦新た薬喰ひ(小須賀正幸)

熱燗の鼻にぬけたる心地かな(竹渕 昭彦)

鮟鱇の骨となりしも凄まじき(堤 かがり)

滝涸るや鈍き光のすぢとなり(堤 かがり)

クリスマスギフトのリボン大袈裟に(杉山 加織)

灯火のモザイクめきぬ冬木立(杉山 加織)

師走の駅に踏まれ続けてゐるマスク(木暮陶句郎)

冬深し森のチャペルの木のクルス(木暮陶句郎)


互選結果

◎星野裕子 選

(35) 美しき人を隠してゐるコート

(42) 冬深し森のチャペルの木のクルス

(63) 冬夕焼棒グラフめく街の影

(82) マフラーの秘かに包む慕情かな

(98) 粉雪よ初恋と云ふ切なさに


◎木下美樹枝 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(72) 登校の縦一列や石蕗の花

(84) 蝋燭の甘き匂ひやクリスマス

(104) 相槌の隙間に葛湯吹きにけり

(105) 星屑の太し霜夜の山ホテル


◎小暮蓮生 選

(10) 折れ釘に託す重みや古暦

(13) 貝塚の宝探しや石蕗の花

(45) 山茶花や今日も一人の昼ごはん

(62) 白線をはみ出す駐車年の暮

(63) 冬夕焼棒グラフめく街の影


◎鈴木由里子 選

(41) 固く鳴らして数へ日のキーボード

(84) 蝋燭の甘き匂ひやクリスマス

(88) 亜麻色のショール引き上げ風の街

(99) 山近く海遠く住み年暮るる

(105) 星屑の太し霜夜の山ホテル


◎稲葉京閑 選

(6) 落葉降るどんどん過去になってゆく

(34) 干布団溜りし憂さを叩き出す

(35) 美しき人を隠してゐるコート

(50) シャーペンの芯バラバラと底冷す

(82) マフラーの秘かに包む慕情かな


◎堤かがり 選

(26) 年忘笑ふほか無き話など

(51) 綿虫の影より小さくとまりけり

(62) 白線をはみ出す駐車年の暮

(92) 筆圧を上げねば書けぬ寒さかな

(93) 子は父を見て空を見て冬ぬくし


◎天田あすなろう 選

(1) 文字よりも声が聴きたし冬銀河

(10) 折れ釘に託す重みや古暦

(12) 木洩れ日へ紛れ込みゆく鴨の陣

(61) 滝涸るや鈍き光のすぢとなり

(98) 粉雪よ初恋と云ふ切なさに


◎下境洋子 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(28) 枯葉舞ふ刻を重ねし城址に

(57) 天に星地にピアノありクリスマス

(64) ふたりぼっちもいいねと冬の動物園

(91) 石蕗活けて一輪だけの閑かさや


◎岩佐晴子 選

(20) クリスマスギフトのリボン大袈裟に

(22) 帰り路途切れる会話冬の月

(25) 赤ワイン程よく冷えて牡蠣を焼く

(26) 年忘笑ふほか無き話など

(46) 義父に似て夫後ろ手の日向ぼこ


◎中島圭子 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(21) 師走の駅に踏まれ続けてゐるマスク

(41) 固く鳴らして数へ日のキーボード

(56) ゲレンデのフードコートの人集り

(96) 値切ることさへ華となり酉の市


◎木村佑 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(14) 冬の鳥愁ひはやがて静けさに

(35) 美しき人を隠してゐるコート

(41) 固く鳴らして数へ日のキーボード

(92) 筆圧を上げねば書けぬ寒さかな


◎竹俣修 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(27) また来ては喰んで糞する目白かな

(38) 武蔵野へ天使の梯子降りて冬

(53) 喪の明けて赤きセーター袖通す

(58) 戯曲への挑戦新た薬喰ひ


◎高橋ちとせ 選

(8) 病院の予約日悔む小春かな

(34) 干布団溜りし憂さを叩き出す

(74) 人参にひげ根あるまゝ直売所

(83) 灯火のモザイクめきぬ冬木立

(92) 筆圧を上げねば書けぬ寒さかな


◎清水檀 選

(32) 庭木皆雪囲とや友のLAINE

(34) 干布団溜りし憂さを叩き出す

(38) 武蔵野へ天使の梯子降りて冬

(51) 綿虫の影より小さくとまりけり

(63) 冬夕焼棒グラフめく街の影


◎小須賀正幸 選

(19) 鮟鱇の骨となりしも凄まじき

(27) また来ては喰んで糞する目白かな

(47) 理科室のビーカー伏せて山眠る

(78) テレビいやラジオもきらひお歳暮も

(97) AIの計り知れぬ世去年今年


◎太田直史 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(38) 武蔵野へ天使の梯子降りて冬

(68) いつもの道いつもの位置に冬の星

(96) 値切ることさへ華となり酉の市

(104) 相槌の隙間に葛湯吹きにけり


◎大渕洋 選

(11) 結局は去年と同じ日記買ふ

(19) 鮟鱇の骨となりしも凄まじき

(89) 冬帽子追ひかけるには遠い人

(97) AIの計り知れぬ世去年今年

(99) 山近く海遠く住み年暮るる


◎佐々木一栗 選

(12) 木洩れ日へ紛れ込みゆく鴨の陣

(30) 凍月に雲を着せたる風ひとつ

(63) 冬夕焼棒グラフめく街の影

(75) 波の間に刻のうつろふ冬の鳥

(105) 星屑の太し霜夜の山ホテル


◎杉山加織 選

(5) レノン忌のガザの少女の瞳かな

(31) 一枚がぺらり師走のカレンダー

(35) 美しき人を隠してゐるコート

(57) 天に星地にピアノありクリスマス

(105) 星屑の太し霜夜の山ホテル

ひろそ火 句会.com

「ひろそ火 句会.com」 木暮陶句郎主宰が2024年4月よりNHK Eテレ「NHK俳句」レギュラー選者として出演します。(毎月第3日曜日 朝6:35~) インターネット句会はどなたでも参加できます! (ひろそ火会員は参加費無料)詳しくはサイト内でご確認ください。

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